『熱く優しい姉妹愛』虹ヶ咲アニメ第7話「ハルカカナタ」感想
虹ヶ咲のアニメも第7話に突入し、物語は後半戦に入ります。
今回の第7話は、3年生メンバー近江彼方の個人回でした。
今回の話は、前回の璃奈回とは別の意味で虹ヶ咲ならではの話だと思いました。また、今回は第5話と同様にシリーズ構成の田中仁さんではなくサブライターの人が担当しました。
TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第7話の脚本を担当させていただきました。彼方ちゃん回です。どうぞよろしくお願いいたします!
— 平林佐和子 (@sui_sui_sei) 2020年11月14日
それでは前置きはこのくらいにして、本編の振り返りと感想に進みたいと思います。
目次
内容の振り返り
彼方の家は、控えめに言っても経済的に豊かであるとはいえない環境であり、彼方が学業の傍らでアルバイトをして家計を支えたり、母が忙しいので自ら妹のために料理を作ったりしながら生活していました。
彼方の妹・遥も、東雲学院でスクールアイドルをやっており、彼方は家庭のことや学業、それから自身のスクールアイドル活動を頑張りつつ彼女の夢も応援していました。
ある日の晩御飯、いつも頑張っている姉の姿を少し不安そうに見ていた遥は『お姉ちゃんの同好会を見学したい』と言います。彼方としては可愛い妹が自分の活動に興味を持ってくれることはとても嬉しく、快く承諾してくれました。
翌日、彼方は妹・遥を連れて同好会にやってきました。
冒頭でも述べたように、遥は東雲学院のスクールアイドルであり、スクールアイドル好きの侑もリサーチ済みでした。しかもその東雲学院のスクールアイドル部といえば、果林が『知名度はうちの同好会と天と地ほどの差』というくらいとても有名らしく、遥はその有名なスクールアイドル部の期待の新星であり、そういった意味でも侑は遥に会えることを喜んでいました。
こちらのカットでは同じく東雲学院に所属するスクフェスのモブライブである支倉かさねとクリスティーナが映っていました。
東雲学院の知名度は伊達ではなく、同好会(自称)部長のかすみは『敵情視察だ』と警戒していました。そこで果林が『敵じゃないでしょ』となだめるところも『スクールアイドルはライバルであっても敵ではない』という理念の表れとして好感が持てるポイントなのですが、かすみは頑として譲りませんでした。
見学に来た遥は、まず練習風景を見せてもらうことにしました。彼方はというと、可愛い妹にいいところを見せようと必死です。
ランニングのシーンでは、お姉ちゃんがあんなに走ってると遥が驚いており、練習以外で普段は運動をしないことがよくわかりました。
柔軟の方はあまり向上していないようで、かなり苦戦していました。そのとき、第4話のときのようなここだけ見るといかがわしいシーンに見えるカットを再び披露してくれました。
その隣で柔軟をやっている璃奈は人並みに上半身を前に倒せるようになり、成長を感じます。
続いて腕立て伏せのシーンに入りますが、ここでもまたいかがわしいシーンに見えるカットを披露してくれました。今度は柔軟のときなんてものではなく、左肩をはだけさせている服装をしており、汗をかいていて目線も上によっていることもあってますますグレードアップ(?)しています。
バランスボールを使ったトレーニングのときも苦戦しており、またも倒れ込んでしまいました。そのときの表情もなかなか素晴らしいです。
朝香果林が虹ヶ咲のお色気担当なら、彼方は無自覚にその片鱗を見せている『隠れお色気担当』といったところでしょうか。少しアブナイ話はここまでにして次に進みます。
練習がひと段落したところで、部室でお菓子やお茶をたしなむシーンもありました。
音楽を題材にしたアニメで、部室でお茶をするシーンとなると、「けいおん!」を連想します。
お茶のシーンにて、遥は虹ヶ咲の同好会のことを『それぞれの個性に合った練習メニューもやっていて面白い』と評していました。遥のいう通り、そこも虹ヶ咲の面白いところだと思います。
練習の疲れもあり、お茶の後で気が抜けたのか、彼方は寝てしまいました。遥は同好会のメンバーに、『お姉ちゃんはいつもこんな感じで寝ているのか』と聞いたところ、しずくは『練習中もよく寝る』、愛やエマが『時々みんなが膝枕をやってあげている』とまで言いました。そのことを聞いた遥は、何か思うところがある様子でした。
そのまま彼方は夕方まで寝ており、目覚めたときは『遥ちゃんにカッコ悪いところをみせちゃった』と焦っていました。
そこで遥は、姉に対しての胸の内を明かします。遥は『お母さんが忙しい中で、家庭のことやアルバイトを頑張っている傍らでスクールアイドルをやっていては、このままではお姉ちゃんは体を壊して倒れてしまうのではないか』と心配していました。そして『お姉ちゃんには好きなことをちゃんと続けてほしい』と思っており、これ以上は姉に無理をさせたくないがために、自分はスクールアイドルを辞めようとしていました。
彼方は妹がやりたいことをできなくなるのは嫌であるためにそれを止めようとし、自分は無理なんてしていないとなだめようとしますが、『お姉ちゃんのわからずや』と逃げられてしまいます。部室から出て行った遥を侑が追いかけ、『本当にそれでいいの?』と問いかけるも、遥はそれでいいとそのまま帰ってしまいました。
翌日、昼食にてみんなが彼方の相談に乗っていました。遥の同好会見学の日の晩御飯にて、遥は『次回のライブが私の出る最後のライブになるから絶対来て』と姉に言っていました。
彼方はそんなことになるくらいなら自分が辞めようと言い出そうとしたところ、エマに『本当にそれを望んでいるの?』と聞かれ、違うと答えました。彼方としては、自分が好きなスクールアイドルとしての活動を続けたいと思っており、同時に妹・遥にも自分の夢を大切にしてほしいと考えていました。彼方はそんな自分のことを『わがままだ』と言いましたが、みんな『そんなことはない』、『二人とも似たもの姉妹だ』といった具合に彼方を励ましてくれました。『自分の夢も大切にしたいけど家族にも自分のやりたいことを大切にしてほしい』というのは年長者ほど考えることであり、そんな彼方自身も家族のことをとても大事にしていることが伝わってきました。それを聞いた侑が、『遥ちゃんはもう守ってもらうだけの人じゃないと思うよ』と彼方を励ましました。遥だって、お姉ちゃんのために何かしたいからこそ考えてしまうのです。侑の説得を聞き、ここで彼方自身もあることを決めました。
東雲学院スクールアイドル部のライブ当日、同好会メンバーもそこに集まっていました。
実はこの会場、かすみ、璃奈、彼方、エマの4人からなるユニット・QU4RTZの1stシングルの背景となったヴィーナスフォートです。
さらにここで、遥と同じく東雲学院のメンバーであるかさねとクリスティーナも声付きで登場しました。
スクフェスのネタもこうして回収しているところは本当に愛を感じます。
実は東雲学院のライブの前に、ある人物のステージが用意されていました。遥が舞台の上を見上げると………
そのにはステージ衣装に身を包んだ姉・彼方の姿がありました。
そのままお待ちかねのライブシーンに突入します。
今回披露された曲は『Butterfly』、「デジモンアドベンチャー」ではありません。彼方には珍しくややアップテンポな曲ですが、『眠れる森にいきたいな』、『My own fairy tale』、『Märchen star』で培われてきた彼方曲のメルヘンチックで優しいテイストを伴奏で表現できていた良曲でした。
さらに、『Butterfly』のライブシーンはダンスパートが映ることは少なく、ボーカロイド曲のMVを思わせるファンタジックな映像が流れていました。
ボーカロイド曲だけでなく、シャフトのアニメでよく見かけるような演出であるとも思いました。それから、この映像にてモブライブの絵を担当していた藤丸さんの4コマ時代のイラストを意識した絵も用意されており、尚更スタッフの作品愛を感じました。
アニメスタッフさんへ pic.twitter.com/vgO7H5515G
— 藤丸:191227単行本『ユアソング』 (@fujimaru_24) 2020年11月14日
シャフト的な演出が彼方の曲の雰囲気にマッチングしており、大変良きライブシーンでした。さらにこのライブ自体も、突然乱入してきた感じではなくあらかじめ用意されていたものであったと説明があった部分も何気に高評価ポイントです。ライブ中に遥が映るカットがあった部分も好感が持てます。
彼方のライブの後、彼方は妹・遥に自身の胸の内を明かします。そして、お互いの好きなことをこれからも続けていくために姉妹二人で助け合っていくことを決めました。彼方は遥にも家のことを手伝ってほしいと言い、そこから遥も家事に少しずつ参加するようになりました。卵焼きを作るシーンで四苦八苦している様子も微笑ましいです。
彼方自身も、遥がお手伝いをしてくれるようになってからアルバイトの作業効率が上がったみたいです。
それから、彼方と遥の母についてですが『娘二人にこんな大変な思いをさせて…』と思う視聴者もおそらくいると思います。そこで、第7話終盤のカットで二人の母からの置き手紙がありました。そのことから、決して母と娘達の絆は解けてはいない、母も二人のことを想っているということが伝わってきました。
感想・総括
今回は彼方の家庭事情や彼方の年長者ならではの悩みに踏み込み、彼方と遥の姉妹愛を丁寧に描き切った回でした。そしてその姉妹愛に心打たれた30分でもありました。
今回のお話は、自分達の生活を守りながら好きなことを続けることの難しさを説いていました。それと同時に、自分の生活を守ることも、好きなことを続けることも両方同じくらい大切なことであり、そのために助け合っていく必要がある、そうすることも好きなことを続けるための努力のうちだということも伝えていた回であったように思います。この話も、グループではなくソロを主体とする虹ヶ咲だからやりやすかった回であったと思います。また、家庭のお手伝いやアルバイトもそうですが、側からみれば辛そうでも本人は意外と苦にしていないことも多いのかなとも思いました。近くに頑張っている人がいるからこそ、その人のために自分も頑張れるという家族愛に満ちた近江彼方のお話でした。
また、彼方も遥もモブライブ出身のキャラであるためか、今回はさらにその辺のネタの回収が充実していました。相変わらずアニメスタッフは愛に満ちていてとても信用できます。
その他にも、彼方のライブシーンの後で、彼方は『スクールアイドルとしてはライバルだよ』と遥に言っていました。虹ヶ咲の内部の出来事でこそないものの、まさしく『仲間でライバル』というこの作品のコンセプトを姉妹二人で体現してみせた瞬間でもありました。
next虹ヶ咲
物語は次回へ移ります。同好会の部室で台本を読むしずく、その表情は物憂げに感じられ、高校一年生とは思えない凛々しさを湛えています。
予告を見る感じだと、演劇部の部長と一悶着あるみたいです。
タイトルも『しずく、モノクローム』と、何かシリアスの予感がします。次回も楽しみです。
それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。