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『お疲れ様、令和1号』劇場版仮面ライダーゼロワン-REAL×TIME感想

 初めまして。初めてではない方はお久しぶりです。澄田兼鈞と申します。

 

 新型コロナウィルスの影響で本来は夏に公開予定だったのを延期していた「仮面ライダーゼロワン」の劇場版、「REAL×TIME」が2020年12月18日に公開されました。

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 仮面ライダーゼロワンのテレビ本編の話については、最終回直後に上げた記事にも書いたように色々と思うことがありました。それでも、ゴーストみたいに追加コンテンツを最後まで追って面白いと思えたケースもあったにはあったため、とりあえず劇場版を見てみることにしました。

仮面ライダーゼロワン総括・感想『もうちょっと頑張れ、令和一号』 - 澄田さんは綴りたい®︎

 しかし、今回の劇場版自体は一応テレビ本編前提の話ではありますが一本の映画としては楽しめたと思います。話の方はテレビ本編の後日談です。

 今回はその感想を書いていきます。ちなみにゼロワンの同時上映で現行作品の「セイバー」の短編もありましたが、今回はゼロワンに焦点を当てていきます。当然のことながらネタバレ注意です。書きたいことが散らかっていると思いますが、何卒最後までお付き合いください。

 

目次

 

あらすじ

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「神が6日で世界を創造したのなら、私は60分でそれを破壊し、楽園を創造する。」突如姿を現した謎の男エス/仮面ライダーエデンは、賛同する数千人の信者と共に、世界中で大規模な同時多発テロを引き起こす。人々が次々と倒れ、世界中が大混乱に陥る中、飛電或人、不破諌、刃唯阿、天津垓、更に滅亡迅雷.netの迅、滅も、仮面ライダーとなり敵と戦いながら真相を究明しようと奮闘する。
果たして、圧倒的な強さを見せるエスの正体とは。エスが作り上げようとする楽園とは、いったい何を意味するのか?

 

大まかな感想

ストーリーの振り返りなど

 映画の序盤からいきなりゼロツーとエデンの戦闘が始まっており、最初は状況を理解するのに時間がかかりました。しかし、この映画は「REAL× TIME(リアルタイム)」のタイトルの通り現在進行形で人類滅亡を食い止めるための60分を描いているため、そのことについては徐々に気にならなくなっていきました。また、エスの計画が時間を経過するごとに進んでいくところも随時画面に表示しており、尚更臨場感がありました。監督がテレビ本編でも映像を撮っていた杉原さんということもあり、本編や彼の前作である「ルパンレンジャーvsパトレンジャー」でも見られた変態カメラワーク(褒め言葉)も健在で、戦闘シーンのクオリティの高さは相変わらずのゼロワンといった感じでそこも楽しめた部分でした。

 今回はボスキャラのエデンの他にも、エデンの配下である量産型ライダーの仮面ライダーアバドが登場します。劇中ではゼロワンがそのアバドン達を掻い潜り、エデンの待つスタジアムにいくなど、「仮面ライダー555/ファイズ」の「パラダイスロスト」を思わせるシーンもありました。

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 人物描写についての感想に入ります。主人公・飛電或人/仮面ライダーゼロワンは、本編ではヒューマギアの暴走などのことも問題を先送りにしがちで綺麗事を並べている夢見者という印象がいまいち拭えませんでしたが、劇場版では倒すべき敵がエスと彼が率いるシンクネットに絞られていたこともあり、人類とヒューマギアの夢を守るために戦うヒーローの姿をしっかり見せてくれたように思います。根本は本来そうであるはずなのですが、テレビ本編ではいまいち振り切れていなかった分、劇場版では明確に倒すべき相手が決まっていたためそちらの面がより強く出ていたと思います。また、ヒロインで秘書ヒューマギアのイズエスのもとに『私も行く』と言ったときに制止したシーンも印象的でした。テレビ本編でイズを一度破壊され、最終回で彼女を復元して一から元に戻そうとするという結末には思うところがあったものの、『もう2度とイズを失いたくない』という悲痛な心境が読み取れました。テレビ本編終盤以前にもイズを失いかけていることを思えば尚更です。ですが、当のイズは決して守られるだけのヒロインには収まりませんでした。

 映画終盤でイズはゼアの導きにより、なんとゼロツーに変身して戦いました。ゼロツーに変身したイズが、エデンの世界滅亡のキーの犠牲になるべく或人が変身したヘルライジングホッパーをゼロツーの姿で止める様子も驚きました。或人は一度イズを失った悲しみから仮面ライダーアークワンに変貌し、憎しみに身を任せて滅を倒そうとしていた経験があり、ヘルライジングホッパーになったことで再びそうなってしまいかけていたところをイズが止めてくれたのはよかったです。このときの或人役の高橋さんの演技も鬼気迫るものでした。最終決戦でエスの信者の1人・ベルが変身する仮面ライダールシファーが登場しますが、アバドン軍団とルシファーを前にゼロワンとゼロツーが肩を並べて戦う姿はとてもカッコいいものでした。

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 或人とイズ以外では、個人的には刃唯阿/仮面ライダーバルキリーの活躍がとても素晴らしいものだと感じました。迫り来るアバドン軍団を前に、A.I.M.S.の隊長として部下を率いて登場し、バルキリーに変身した後にバイクアクションを披露しつつアバドン達をバッタバッタアバドンがバッタモチーフということで、はい!アルトじゃぁ〜{以下略})と薙ぎ倒していく姿は、テレビ本編での不遇ぶりはどこ吹く風といった感じでした。ゼロワン最終回後の記事でも書きましたが、テレビ本編での唯阿は変身の機会も少ない上にキャラとしての方向性があやふやな印象が嫌でも拭えませんでしたが、ゼロワン映画の前作である「令和・ザ・ファーストジェネレーション」に引き続き、劇場版での活躍には恵まれていると思います。初期からいる女性ライダーとしてバルキリーの活躍にも期待していたこともあり、そこを今回の映画で抑えてくれていたのも嬉しかったです。

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 他のライダーの活躍も印象的で、唯阿と連携している仮面ライダーバルカン/不破諌は、今回はテレビ本編に比べると活躍は控えめでしたがテレビ本編と変わらぬかっこよさが出ていました。また、シンクネットから遣わされた戦闘機を力づくで止めようとするのも、相変わらずの不破らしさがありました。滅亡迅雷.netのも、他のキャラに比べると台詞が少なかったものの、かつての強敵だったが味方になると頼もしい人物という雰囲気が出ていてよかったです。滅が仮面ライダー滅に変身するときに落下しながらの変身シークエンスが映るのも良かったです。天津垓/仮面ライダーサウザーについては、味方としては頼もしくも愛されキャラに収まっている様子には笑いましたが、この映画の展開のことで再び罪状が増えてしまったため不完全燃焼な部分もあります。その細かいことは後程書いていきたいと思います。

 飛電の副社長・福添准はおやっさん枠に収まっていました。シンクネットにZAIAの技術を横流ししていたZAIA社員(アキラ100%)を尋問するときに弁護士ビンゴ(嘘発見機能付き)はともかく、腹筋崩壊太郎と白衣の天使ましろちゃん(看護師型ヒューマギア)を使うところは首を傾げましたが、それが良いかどうかはさておき中盤のゼロワンテイストを感じる部分ではありました。

 

仮面ライダーエデン、シンクネット関連

 ここからは、劇場版限定ライダーの仮面ライダーエデンとその周辺設定で印象に残った部分を書いていきたいと思います。

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 仮面ライダーエデンに変身するエスは、本名を一色理人といい、医療用ナノマシンの開発を行なっていた人物でした。その医療用ナノマシンの被験者にはエスの婚約者である遠野朱音が選ばれており、ナノマシンの実用化と同時に彼女の病気を治す目的もありました。しかし、ナノマシン人工知能搭載式で衛星アークの制御の元に動いていたため、デイブレイクでアークが暴走したときにナノマシンもその被害を受け、それで容体が変化した朱音は帰らぬ人となってしまいます。しかし、朱音の脳だけはまだ生きており、彼女の脳をコンピュータにつないで電脳世界の楽園に住まわせていました。一連の出来事に悲しんだエスは自らの身体をナノマシンの集合体に変え、朱音のための楽園を作ることとアークの根源となった人間の悪意を滅ぼすことを目的にアズから力をもらい、シンクネットを立ち上げ、劇場版の世界同時多発テロを起こします。

 エスの大まかな紹介が終わったところでシンクネットの話に移ります。シンクネットは、エスが破滅願望のある人々をインターネット上で募ってできた宗教で、世界を滅ぼし、自分達がエスと共に楽園に導かれることを目的としています。インターネットで新興宗教の信者を募る部分は現代的だなと思いました。アバドンの正体が、ナノマシンで信者達が作った遠隔操作式のアバターだったというのも、インターネット社会の負の面に対する風刺を感じました。アバドンという名前が、“蝗害”を神格化した悪魔に由来するのも特徴です。

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 しかし、エスの真の目的は電脳世界に全人類を導き、悪意の集合である信者達には滅んでもらうというものであり、やがて真実を知った信者達からは離反されています。エスの目的については、『自分だけが朱音の元に行くのではダメだったのか』と思える部分もありますが、朱音を奪ったアークの根源である人間の悪意を滅ぼす目的もあったためにそういう手段を取ってしまったのでしょう。それに、『明日』をこの先も迎えられるかすらもわからない電脳世界に勝手に導かれる人間達からすれば大変迷惑なのは間違いないです。そういう意味では彼も“悪意”を持った敵であり、アークの使者たるアズが目をつけるのも必然であったと言えるでしょう。

 ただし、エスには朱音が死して尚寄り添おうとしてくれていました。エスとの初戦闘の後に或人も電脳世界に導かれ、そこでであった朱音からエスのことを止めてほしい』『私はちゃんと元気だ』というエス=一色に対する気持ちを聞かされます。これは仮面ライダーエデンの変身シークエンスにも現れていると考えられます。エデンの変身シークエンスでは、人間の女性の身体を象ったライダモデル(ゼロワン世界でライダーの装甲パーツの元となる物体)が身体に絡みついて変身します。これは、エスがいつまでも恋人の死を引きずっている心境を表しているとも受け取れますし、死して尚朱音がエスに寄り添おうとしてくれていることを示しているとも個人的には受け取れます。エスの信者・ベルがエスからエデンキーとエデンドライバーを強奪して変身した仮面ライダールシファーの変身シークエンスでは、巨大な骸骨のライダモデルが変身者に食らいついて変身するというものであり、寄り添ってくれる人がいて、たとえ人間を捨てても添い遂げたいという希望を持っていたエスに対し、『寄り添ってくれる人も守るべきものもない空っぽの破滅願望』、『その破滅願望に身を任せ、生きながらにして死んだ者という面』を表しているようにも見えます。エデンとルシファーはフォルムがとても似ていますが、エデンのカラーリングは赤を使っていて血が通っているように見えるのに対し、ルシファーは白が基調で白骨遺体を思わせます。個人的にはベルの掘り下げも欲しいところでしたが、エスとは違って同情の余地もない悪として描かれていたのかなと思いました。そのことは唯阿が他のシンクネット信者に対してもエスに比べれば同情の余地もない』と言い捨てており、他の信者共々ベルもやがて倒され、等しくお縄についていました。

 最後、エスは電脳世界で朱音と共に念願の結婚式を挙げており、そのまま幸せそうに退場していきました。

 

その他の感想-テレビ本編の内容も添えて

 「仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」は確かに一本の映画としては楽しめました。ただ、いまいち不完全燃焼に思えた部分もあります。一つは天津垓/仮面ライダーサウザーについてです。

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 彼はテレビ本編で衛星アークに人間の悪意をラーニングさせ、デイブレイク、ひいては滅亡迅雷.netのサイバーテロの原因を作りました。そして、今回明らかになったエスナノマシンの不具合もアークの暴走によるものであり、『天津が余計なことをしなければエスは朱音さんと平和に暮らせていたかもしれないのに…』と嫌でも思ってしまいます。それと、仮面ライダーエデンのシステムの出所もアークであったと思えば、シンクネット事件の遠因も作ってしまっていたことになります。一応テレビ本編では子供向けのヒーローものである以上、彼が良いようにばかりしている展開が許されるはずもなく、一度或人から飛電社長の座を奪った後はボコボコにされ続け、それこそ読んで字のごとくの“鉄拳制裁”も食らい、最終的には飛電社長の座を或人に返した上にZAIAジャパンの社長の座も降格ささられるという仕打ちを受けた上で味方になってはいますが、映画の展開も相まってしこりが残った視聴者も居るんじゃないかなと思います。

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   (読んで字のごとくの鉄拳制裁)

 劇場版ではバルカンとバルキリーの変身能力を復旧させるという働きもしており、無職の不破に自社への誘いをかけるのを断られるといった愛嬌を見せていたりするだけに、今更裁きを受けて欲しいとかではなく、もはやメタ的な話になってしまいますが、きちんとケジメをつけられるならまだしも、味方になる前提のキャラに『全ての元凶』みたいな過剰な悪役要素や取り返しのつきづらい要素を背負わせるのはあまり良くないのではと言いたいです。もちろん天津に限った話ではありません。今までの作品ならエボルト仮面ライダービルド)や我望仮面ライダーフォーゼ)みたいなラスボスとして倒されているような人物がやっているようなことだと思います。天津のリスペクト先と思われる檀黎斗仮面ライダーエグゼイド)も全ての元凶でありながら味方についていたこともあったものの利害の一致で手を組んでいただけで最終的にはVシネマ、小説版とで再び主人公達の前に立ち塞がり、そのまま倒されています。それだけに天津の扱いは色々と引っかかりました。ある意味彼も不幸なキャラクターだと思います。

 

 アズとの決着もまだ先延ばしになりそうだと思いました。

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 もし、仮面ライダールシファーに変身したのがアズだったらアークとの戦いにも綺麗な決着がついたのかなと思います。しかし、彼女としては自ら行動を起こし戦うよりも、誰かを唆し、悪意に身を焦がしていく様を見るのを楽しんでいるという節はあるのかもしれません。ですが、悪意に身を任せ破滅願望の赴くままに動いているという点は彼女もエスやシンクネットのメンバー達に通ずるものがあり、ルシファー、ひいてはアークワンやアークスコーピオンのようなアークの仮面ライダーに変身できる資質は備わっていたと思います。おそらくこれから発売されるVシネマでそこは触れられるのでしょう。映画単体としてはゼロワン本編前提でも楽しめましたが、本編で回収されなかったことまで解決したわけではありませんでした。ヒューマギアを含む人工知能や、その他のテクノロジーとの共存にはまだまだ課題がありそうです。そこについては気長に見守っていこうと思います。

 

あとがき

 劇場版仮面ライダーゼロワンは、テレビ本編が終わった8月から実に4ヶ月経ってからの上映であったため、テレビ本編の展開には思うところがあったものの、まずは『あ、久しぶり〜』という感想が真っ先に浮かびました。或人の『お前を止められるのはただ1人、俺だ!』という台詞やプログライズキーの電子音を劇場で聞くたびにそう思いました。

 本文でも書いた通り、まだ続きがあるような気がします。しかし、自分の中のゼロワンは一旦これで区切りを迎えられました。だからひとまず、『お疲れ様、令和1号』と言いたいと思います。西川貴教さんとJさんが歌う主題歌も素晴らしかったです。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。