『ワクワク“叶えた”ストーリー』虹ヶ咲アニメ13話「みんなの夢を叶える場所」感想
テレビアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」、通称虹ヶ咲のアニメ版「アニガサキ」が最終回を迎えました。
個人的にはアニガサキのクライマックスは12話であり、今回スクールアイドルフェスティバルが開かれた最終回はいわばエピローグであると思いました。ですが、感想記事も完走したいと思います。何卒最後までお付き合いください。それでは内容の振り返りと感想に移ります。
目次
内容の振り返り
冒頭にて、侑は12話で言った通り音楽科に転科することを同好会のみんなに伝えます。何気にここでしずくが珍しく侑に絡んできたところもポイントです。
侑はみんなに、『スクールアイドルとして頑張っているみんなを見ていたら、本当にやってみたいことはとにかくやってみようと思った』と言いました。音楽科に転科するのも、スクールアイドルフェスティバル(以下スクフェス)もそこに含まれているのでしょう。同好会のみんなの過ごした日々が侑の背中を押してくれました。そして、スクフェスもいよいよ翌日に迫っていました。
オープニング明けにて、いよいよスクフェスがスタートしました。お台場名物であるユニコーンガンダムの立像もがっつり映っていました。ある意味、サンライズだからなせることです。ガンダムのビルドシリーズ以外でお台場のユニコーンガンダムが映ったのがよりによって虹ヶ咲であったというのも驚きです。
スクフェス当日、歩夢とせつ菜が一冊のピンク色のノートを回していました。
侑には秘密であるらしく、彼女が部室に来た途端に隠していました。
部室に全員が揃ったところで、『私たちの虹を咲かせに』とみんなで円陣を組んで気合を入れます。ソロがメインだから仕方なかったことでありますが、ここに来てシリーズの伝統である円陣を組んで気合を入れるというシーンが出来ました。
続いてフェスティバルのシーンに移ります。まずは歩夢のステージから。アニメ挿入歌の『Dream with you』がバックで流れ、元気いっぱいに歌う歩夢の姿が映し出されます。
ここで、第12話で歩夢の前身に一役買った今日子もステージを見に来ているところもポイントです。彼女が所属する焼き菓子同好会で、同好会メンバーを象ったクッキーを販売していました。
続いて愛のステージ。参加する人達は愛にタオルを振り回していて、本人も観衆も共に元気いっぱいのステージです。
出し物は、愛の実家のもんじゃ焼き屋が出張してきていました。もしアニメに続編があるなら、同好会のみんなと一緒に愛の実家へもんじゃ焼きを食べに行く話も見てみたいです。
その次は彼方のステージ。大きなベッドが数多く並べられ、みんなで寝ていました。
第7話ではアルバイトや学業、そしてスクールアイドル活動を数こなしていてオーバーワーク気味なためによく寝てしまうということがわかりましたが、ステージのコンセプトとしてわざわざベッドを数配置するあたり、寝ること自体は普通に好きであることがわかります。
晴天のもとでベッドを置いて集団で眠る光景自体は異様であり、妹の遥も困惑していました。
彼方の次は璃奈のステージ。
歌った後は観客とゲームで対戦していました。その時に使っていたゲームキャラが、ちょぼらうにょぽみ氏の4コマ漫画に登場する歩夢のペットの蛇・サスケ、「にじよん」でかすみが投げていたネズミ、同じく「にじよん」に登場した猫型ロボットの“アランちゃん”であるというファンサービスがありました。
そして何より、璃奈が大勢の人とゲームで触れ合っているというところにグッとくるものがありました。
璃奈の次は果林のステージ。
ちょうどステージ交代の時間となったため、エマが来ていました。
このときエマが記念撮影に乱入してくるところも面白かったです。
そのままエマのステージに移行します。エマはフェスティバルに来てくれた子どもたち(※エマの子ではありません)と仲良くなり、一緒のステージで踊っていました。
エマ役の指出さんも、虹ヶ咲の1stライブでキッズダンサーと共にパフォーマンスを披露していたので、そのネタの回収であると思われます。
ユニコーンガンダムの立像の前では、何やら怪しい動きがありました。
かすみがコッペパン同好会と協力して作った『どこでもかすみん』なる移動型ステージに乗って、せつ菜のステージに攻めてきました。そのまま攻撃を仕掛け、せつ菜はなす術もありません。このときのかすみの表情や動きが悪役のそれで腹黒い一面がよく現れています。
せつ菜のピンチに『solitude rain』のサビと共にしずくが駆けつけ、『しずくスカイブルーハリケーン』なる必殺技を放ち、せつ菜の窮地を救いました。
やがてせつ菜も反撃に転じ、必殺技の『せつ菜スカーレットストーム』を放ってかすみを見事に退けました。
このとき、演劇部の部長が舞台の演出を操作しており、このヒーローショーのようなステージは演劇部と合同で行った出し物であることが分かります。
思えば第12話でせつ菜が生徒会副会長達と打ち合わせをしているときに、演劇部もそこに参加していました。
とにかく前半はお祭り騒ぎといった感じの内容でした。
同好会メンバーの各々のステージが終わったところで、今度は彼方とエマが先程のノートを回していました。
一方、歩夢は藤黄学園の姫乃達と合流した後、侑とも合流しました。
歩夢は侑に他のみんなのステージも見ていかないのかと聞くと、侑は『今から新しいことをやるとしたら、このフェスティバルをやり遂げたらなのかな』と答え、そのための自信が欲しいと言っていました。11、12話を見る限りでは自信満々に見えなくもない様子でしたが、やはり新しいことを始める上での恐れや不安もあるみたいです。
そのとき、愛のステージで機材トラブルがあったことを聞いたため、侑はそちらに駆けつけて行きました。
機材トラブルの方は、璃奈が解決してくれました。
機材が復旧した後に愛が璃奈を抱きしめると、璃奈は『もしかして、初めて愛さんの役に立ってる?』と愛に聞きました。愛はそんなことを気にすることはなく、笑顔で璃奈のことを撫でていました。第6話で多くの人と繋がることができるようになった璃奈ですが、友人関係を構築する上ではまだまだ未熟なためか、誰かの役に立つかどうかを重視しているきらいが見えました。そんな璃奈に対して何の見返りも求めない愛の姿勢が、璃奈視点で見ると心にくるものがありました。
一方その頃、しずくとかすみは…
しずくが第8話の演劇祭のお礼にと、かすみに三日月型のヘアピンをプレゼントしていました。
アニメ化前のかすみの立ち絵ではトレードマークでもある三日月型のヘアピンですが、アニメではしずくからのプレゼントというところがロマンチックに思えます。
そしてこの2人も、例の如くノートを回していました。
大盛況のスクフェスも順風満帆とは行かず、天気が雨に変わり、多くのステージを中止にせざるを得なくなってしまいました。
当然他の客も帰り、侑は落ち込みました。
雨は上がっても、使えるステージは残っておらず、スクフェスはこのまま終わるのかと思ったとき、歩夢が『終わりじゃないよ、これで終わりになんてしない。まだ伝えたいことがあるから』と侑を励ましました。
そんな侑の元に電話が入りました。なんと、副会長が学校にあと1ステージだけ支えるようにとりなしてくれました。それを聞いたみんなは、学校のステージへと駆けていきます。
このときのシーンでユニコーンガンダム立像のサイコフレームが、「ガンダムUC(ユニコーン)」本編の最終決戦仕様の緑色になっているところも特徴です。
学校のステージに着いた同好会のみんなは、ステージ上で思い思いのことを語ります。
このときの彼方の台詞が印象的で、自分達は『1人だけど1人じゃない』というのがまさにこのアニメ全体を通して培われたものだと思います。
歩夢の台詞もまた、このアニメ全体を通しての頑張りを感じられました。
これからもつまづきそうになることはあると思うけど、“あなた”が私を支えてくれたように、あなたには私がいる。この想いは一つ。
この場合の“あなた”というのは、高咲侑のことはもちろん、それ以外のステージに集まってきてくれたみんなのことであり、そして、我々視聴者のことも含まれているのではないかと思います。
祭りの熱量は最高潮に達し、お待ちかねの最後のライブシーンに突入します。
今回歌われた曲は『夢がここからはじまるよ』。わかりやすく盛り上がるというよりも、さわやかな印象のナンバーです。アニメの挿入歌としてははじめての全員で歌う曲です。イントロは12話Cパートで侑が弾いていた作りかけの曲が元となっております。
ライブシーンの途中途中に、今までの話を振り返るカットがあるところも素晴らしいと思いました。
せつ菜推しとしてはたまらない一枚もあり、感無量でした。
中には、『そんなこともあったんですか?!』と思うようなカットまでありました。
エマとのツーショットは、11話までの歩夢が見たらどんな反応をするか未知数です。また、しずくと侑の絡みは本編ではほとんど見られなかったためここで補完してくれるのは嬉しいですが、続編があるならがっつり絡んでいる様子をもっと見せて欲しいと思います。
ユニットシングルのネタを拾ったカットもあり、ファンサービスも見事に取り入れていると思いました。
(Diver Diva)
(QU4RTZ)
(A・ZU・NA)
他の学校のメンバーのカットもありました。
侑や他のファンの姿もありました。スクフェスを支えてくれたファンのみんなも、『みんなで叶える物語』の立派な一員です。
さりげなく、流しそうめん同好会のみんなの姿もありました。
流しそうめん同好会も、スクフェスで出し物をやっていたのでしょうか。
髪を下ろした生徒会書記の双子と思われる人物も写っておりました。
新聞部の子はたいそうなカメラを持参してきており、プライベートも本気すぎるガチカメコであることがわかります。
演劇部部長の彼氏面ぶりも何気に印象的で、“あまとうスタイル”の継承者がまさかの「ラブライブ!」シリーズに登場となりました。
アクシデントはあったものの、こうしてスクフェスは無事に閉幕することができました。スクフェスでの頑張り、そして、今までの同好会での活動で培った絆を胸に、侑は転科試験に臨みます。
侑はこのとき、『何事も全部上手くいくなんてことはなくて、実際は公開しちゃうことばかりなんだと思う』と思っていました。それでも、同好会での交流を通して生まれた何かを本気で始めたいという気持ちは侑自身にも止められません。
一方、同好会の部室では、スクフェスの反響がたくさん来ていました。
次の機会での参加を望む声もあり、彼方も第二回がやりたいと言っていました。そのとき、歩夢が何か変わった様子を見せており、璃奈が歩夢にそのことを尋ねると、『始めてよかったな』と満足げに言っていました。
感想・総括
ついにアニガサキも最終回になってしまいました。ひとまずアニメのスタッフの皆さんには『お疲れ様でした』と言いたいです。今回の最終回は、スクフェスの話もやりつつ、今までの同好会の活躍を軽く振り返っていく、ちょっとした総集編や物語がひと段落した後の追加コンテンツのような印象を受けました。
ただ、この最終回で歩夢達が回していたノートについて少し気になりました。おそらく、あのノートには『夢がここからはじまるよ』の歌詞やらが記されていたのかなと自分は解釈しています。ノートについては、しずくとかすみで回しているときも果林が『東雲とのコラボステージの後にみんなで集まる』という風に言っていたり、同好会のみんなが学校のステージに向かう前に歩夢が侑に『伝えたいことがある』と言っていたため、この文脈ならつまりはそういうことだろうと思いました。
あとはライブシーンで止め絵が多いのが気になりましたが、その分ファンサービスを交えたカットで埋め合わせなどはできていたのかなと思います。
アニメ全体を通しての感想ですが、10話の感想でも触れたように、これは高咲侑が同好会のみんなとの交流を通してスクフェスにせよ音楽にせよ自分のやりたいことを見つけるまでの話でした。とても小さな一歩に感じますが、その小さな一歩を踏み出すのにも意外と勇気と時間が要るのかなと思います。もう1人の主人公とも言える歩夢が侑と共にスクールアイドルの楽しさに目覚めていくところもよかったなと思います。最終回の最後の台詞がまさに、そのことを体現しています。
準主人公であるせつ菜の視点で見るなら、一度は幕引きのつもりでやったライブが侑と歩夢の心を動かし、スクールアイドルフェスティバルを開くまでの新しい“大好き”の原動力になっていったんだなと感じました。せつ菜推しとしては、彼女の言葉を借りるなら『大好きがいっぱいの世界』が少しずつ出来上がっていく様子は見ていて楽しいものでした。『誰かの大好きが誰かを動かし、新しい大好きが生まれる』、『我慢せずに好きを発信していれば、何かが変わるかもしれない』といったエンタメ全般に対する賛歌のような文脈も感じ取れました。まさに、『届け、トキメキ』というキャッチコピーにふさわしい話だと思います。せつ菜推しとしては、大好きなせつ菜が報われた気がするので本当に嬉しかったです。
終わり方自体は『俺たちの戦いはまだまだ続くぜ』的なものではありましたが、ひとまず一つのことをクリアすることはできたなと思います。ただ、せつ菜の親の話、エマのスクールアイドルのルーツ、彼方の母親、愛の祖母などの掘り下げられていない要素も多く、侑が音楽科に行った後の話も作れそうな気がするので、続編があるならそれらも含めて楽しみにしたいです。
余談になりますが、今回がっつり登場したユニコーンガンダムは、覚醒形態も含めてバトルスピリッツでカード化されています。ラブライバーの皆さんもバトスピ始めてみませんか?(強引)
それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。