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super start & super restart「ラブライブ!スーパースター!!」第1〜3話総括

 初めまして、初めてではない方はお久しぶりです。澄田兼鈞と申します。

 今回からラブライブ!シリーズの4作品目となる「ラブライブ!スーパースター!!」の感想を書いていきたいと思います。「スーパースター!!」では4代目のグループ、Liella!を主役にしています。

 以前感想を書いていたアニガサキと違い、無印やサンシャインのような一つの目標に向けて動くタイプの話であるため、山場の話ごとの感想を書いていきます。今回は1〜3話を扱います。

 前置きはこれくらいにして、本題に移ります。

 

目次

 

第1話

 第1話は、1人歌を歌う澁谷かのんのシーンから始まります。とても綺麗な歌声で、周囲の生徒を魅了していました。

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 とても歌が好きなはずのかのんですが、今までは『いざ』というときに声が出ず、人前で歌うことが苦手になっていました。それにより、これから入学する結ヶ丘の音楽科の試験で落ちてしまいました。そのために家族にはやさぐれた態度をとっています。『制服(普通科の)、似合っているよ』と言われても何の気休めにもなりません。幼馴染の嵐千砂都やその他にかのんを知る人も、それだけにかのんの音楽科不合格を残念がっていました。

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 澁谷かのんの物語は挫折から始まったといえます。歴代でも史上初の要素であり、前作の高咲侑とは違った意味で異色の主人公といえるでしょう。

 人前で歌うことは苦手でも、感情が昂ったときは持ち前の歌唱力を無意識に発揮します。ある朝、その様子を中国からの留学生・唐可可に目撃され、『スバラシイコエノヒト』と呼ばれて付き纏われることになります。

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 可可はスクールアイドルが好きで、自身もスクールアイドルをやるために日本の結ヶ丘に留学してきました。かのんの歌唱力に魅了され、共にスクールアイドルをやらないかと勧誘してきます。「スーパースター!!」では可可がグループの発起人となりました。主人公でこそないものの、歴代主人公の要素を一部継承しているように見えます。その他にも、感情が昂ると母国語(中国語)が出るところも可愛いと思いました。

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 可可はかのん以外の子もスクールアイドルに誘っており、そのためにビラも配っていました。そのビラ配りが葉月恋にバレて注意を受けることになります。彼女は学校の創始者の娘で、生徒の中でも重役に就いているそうです。なお、学校の理事長と恋の母は別の人です。

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 結ヶ丘は音楽に力を入れており、創始者の娘・恋もその理念を重んじています。また、結ヶ丘では入学式の理事長挨拶で『特に音楽科の生徒は』と、普通科と音楽科での序列を感じさせるような発言がありました。入学式でも、音楽科の生徒が普通科の生徒よりも前の位置に並んでいました。魔法科高校の劣等生」や「暗殺教室」のクラスごとの序列に近いものですが、まさかラブライブシリーズでそれを見るとは思いませんでした。とはいえ流石に上の2つほど露骨ではないと思います(特に暗殺教室に比べれば…)。恋自身もその思想を拗らせ過ぎているためか、普通科の生徒はスクールアイドルをやるのはやめておけ(意訳)』と可可に言い捨てます。頭ごなしに自分の気持ちを否定された可可が可哀想になったためか、かのんも恋に反発しました。納得のいく根拠を示して欲しいと迫ると、『学校に相応しくないからです』と返されました。この口喧嘩では明らかにかのんが優勢だったものの、恋に『あなたはスクールアイドルをやらたいのか』と問われると、特にそんなことを考えていなかったかのんは黙ってしまいます。口喧嘩の勝敗はともかく、理不尽に正面から立ち向かえる主人公らしい姿勢を見せてくれたと思います。

 かのんは可可から何度も勧誘されるものの、『きっと才能ないんだよ』と遠慮してしまいます。しかし、かのんの歌に惚れ込んだ可可はそのことを伝えた上で、『好きなことを頑張ることに、お終いなんてあるんですか?!』と問いかけます。

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 かのん自身は可可の誘いを結局断ったものの、可可の夢は応援したいと彼女に協力します。しかし可可は、『かのんさんは歌が好きな人を応援してくれる、そんな人とスクールアイドルがしたい』と諦め切れない様子でした。かのんもそのことでついに声を荒げてしまいましたが、可可は『かのんさんが歌えるようになるまで諦めない』と言いました。可可の元から離れたかのんは、自分の歌を肯定してくれる人が現れたのにあんな態度をとってよかったのかと悩んでいました。覚悟を決めたかのんは、再び可可の元へやってきて、彼女に手を差し伸べました。このときに可可から差し伸べられた手を取るのではなく、自ら可可に手を差し出すところが主人公らしいと思いました。可可が今までのシリーズ通りの『新しいことに挑戦する主役』なら、かのんは『挫折の後で再挑戦する主役』といえるでしょう。この2人の対比しつつ、2人で新しいことを始める構成が素晴らしいと思いました。

 覚悟を決めたかのんがリードし、ラブライブシリーズ1話恒例の劇中歌が披露されます。

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 披露されたのは『未来予報ハレルヤ』。新しいことが始まることを予感させる明るい曲調でした。ここではかのんの心象風景を描いていたためか、Liella!メンバー全員で歌っていました。ただ、曲が終わった後にかのんが『歌えた!?』と言っていたところは引っかかりました。曲そのものは心象風景の中の出来事だったのか、それとも冒頭の無意識に歌っていたときと一緒の状態だったのかはわかりません。今一つ整合性が取りづらいと思います。μ'sの『ススメ→トゥモロウ』やAqoursの『決めたよhand in hand』もこのポジにある曲ですが、こちらは完全にイメージ描写でした。アニガサキの『Dream with you』はあれで劇中のPVができたそうなのでどうともいえない部分もあります。ただ、これを機にかのんもスクールアイドルを始め、物語は次のステップに移ります。

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第2話

 第2話では、かのんと可可がスクールアイドル部を結成したため生徒会に申請しにいきます。しかし、当然恋に反対されてしまいます。恋がスクールアイドルに反対する理由は、『結ヶ丘は音楽において他校に引けをとってはならない。スクールアイドルも音楽であり、そこで中途半端な真似をされればこの学校の価値が下がる(要約)』というものでした。その上で、『スクールアイドルがしたいなら他の学校に行けばいいのでは(意訳)』と言い捨てました。部活動設立の自由が個人の意思で認められないどころか、『嫌なら他の学校に行け』という理屈は横暴にも程があると思います。それを間に受けた可可はかのんと共に退学を図るものの、流石に反対されました。当然かのんの家族も驚きましたが、杞憂に終わりました。

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 スクールアイドルを始めるために千砂都も交えて作戦会議を行いました。会議では、『一旦別の部活動を作ってからしばらく後にスクールアイドルを始める』、『他の部活に入って、その中でスクールアイドルをやる』といった案が出ましたが、かのんは『それではあの学校は全て恋の思い通りになる、それだけはダメ』と反対しました。やはり部活動は自由であるべきだと思った可可は、かのんを無理やり誘って学生運動やデモ活動を思わせる行為に出てしまいました。

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 学校が一生徒の思いのままになってしまう展開で直近の出来事といえば、スクスタのストーリーのことが思いやられます。ある者は任期を待たない生徒会選挙に加えて私情で同好会廃部を目論み、ある者は学校の催し物の手柄を奪った挙句に監視委員会で主役サイドを妨害する……やってることだけでもかなりものですが、ロクにヘイトも解消されずに加害者が仲間化という理不尽な展開が連なっていました。そんな展開の数々を滅多刺しにせんとばかりのかのんの台詞には恥ずかしながら笑いました。恋の言動にはスクスタのキャラの所業の片鱗が見られますが、スクスタ本編で読み手のストレスになっていた部分について主役サイドがはっきりと指摘している様子には好感が持てます。

 これらの展開は恋自身の性格や考え方によるものだと想像できますが、あえて上記のような台詞回しを行うのには何か理由があるのでしょう。スクスタを踏まえた上であえて理由を推測するなら、ラブライブは決して理不尽や不正が許されるような作品ではない』という製作陣なりの意思表示だと思います。また、結ヶ丘の序列やそれに対するかのん達の反応も加味すれば、ラブライブは才能や環境に恵まれた者だけが勝つ話ではない』という意思表示も含まれていると思います。

 恋の言い分についてはスクーアイドル部設立を反対するには根拠が弱過ぎます。流石にそれを理事長も許すはずがなく、かのん達の申請はひとまず通りました。しかし、『存続のためには代々木のイベントで一位を取れ』という難題を課せられます。

 躍起になった2人達はダンスが得意な千砂都にコーチを頼み、練習と作曲に挑みました。このとき可可は千砂都もグループに誘っていますが、かのんが『ちぃちゃんはダンスがあるから邪魔しちゃ悪い』と言って返答を待たずに事が進んでしまいました。そのときの千砂都の顔つきは、何か思うところがあるようにような素振りでした。

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 練習では、可可の運動音痴がバレてしまいました。千砂都も『それでよくスクールアイドルやろうと思ったね』と厳しくしごきます。ダンスの方も、かのんにさえ追いつきません。誰かが新しいことを始めることを止める権利は誰にもありませんが、やりたい気持ちだけでは務まらないのだなと思います。

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 それでも日々練習をこなし、何とかパフォーマンスが務まるくらいには技術も体力もつきました。

 一方で、作曲の方も進んでいました。歌詞は可可が書き、曲はかのんが付けます。この曲の歌詞は『あきらめない気持ち』がキーワードになるらしく、かのんもそれを意識して曲作りに励みました。

 やがて曲が完成し、可可にも聴いてもらうことにしました。そして、一度歌ってみないかと可可に言われ、そこで次回に移ります。

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第3話

 いよいよラブライブシリーズでは序盤の山場となる第3話に突入しました。これが放送されるまでに、オリンピックで2週間放送休止となっていました。

 第1話で何とか人前で歌えたかに思えたかのんでしたが、やはりそう簡単に苦手意識を克服することはできません。そこで千砂都も協力して、あの手この手でかのんが人前で歌えるように手助けしようとします。このとき千砂都がバイト先のたこ焼き屋でかのんを厨房に立たせていましたが、現実世界で見るなら無茶なことだと思います。それに、千砂都自身も1話でバイト初日と言っていましたが、既に厨房に1人で立っています。たこ焼き自体はそこまで難しくない料理だとはいえ、そこはかなり不思議に思います。

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 その後は可可と千砂都がかのんを服屋に連れて行きますが、2人が暴走して着せ替えごっこと化してしまいました。

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 2人が手を尽くしても人前で歌えそうにないかのんに、可可は『今は歌えなくてもいいから、歌えるようになるまで諦めない』と言ってくれました。可可のかのんを信じる気持ちはブレなくて良いと思いますが、かのんの方は自分のせいで可可の夢を壊してしまうのではないかと申し訳なさそうにしていました。

 今回は可可の背景についても少し触れられました。可可の実家は教育熱心な家庭で、可可自身も親の言うことをよく聞いて育ってきました。しかしあるとき、日本のスクーアイドル・サニーパッション(以下サニパ)の映像を見て、自分のやりたいことはこれだと思い、日本に来たそうです。ちなみにサニパが、今作のライバル枠になると思われます。余談になりますが、このサニパは神津島(東京都の離島)出身ながらも一年前のラブライブ大会で東京都の代表に選ばれています。このことはスクーアイドル文化の広まり具合を感じさせるとともに、第2話の段落で触れた『ラブライブは才能や環境に恵まれた者だけが勝つ話ではない』という側面をより強固にしています。

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 また、可可はもう一度千砂都をグループに誘ってみましたが、『私にはダンスがあるから』と断られてしまいました。しかし、千砂都自身はスクーアイドルに興味を持っていました。千砂都とかのんの間の話は、まだまだ引っ張ると思います。

 一方、かのんは自分も変わらなければいけないと思い、自分も可可と同じステージで歌う決意をしました。そのとき可可に『かのんって呼んでよ』と呼び捨てを許可しました。この台詞ひとつで、2人が同じステージに立つ対等の関係になれたことがわかりました。

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 そして迎えたライブ本番、サニパも急遽参戦することとなり、ランキング1位は厳しい見通しになりました。このときの可可の反応が強敵が来たときの焦りではなく、好きなグループが来た喜びが先行していました。明らかにファン目線の反応で面白かったです。また、本作の舞台は原宿ですが、そこの女子高生の間でもスクーアイドルが流行っている様子でした。μ'sからアニガサキ、「スーパースター!!」と時代が進むにつれて、ラブライブ世界でもスクーアイドル文化が浸透していっている様子は微笑ましいです。

 自分達の番が来たとき、気丈に振る舞っていた可可も初陣なだけあったか怖がっていました。そこでかのんが可可を励ませたところは、彼女の成長を感じる場面でした。このとき何者かによって照明の電源が落とされるというトラブルがありましたが、事前に配っていたペンライトのスイッチを観客が入れることで舞台に光が灯りました。そして、お待ちかねのライブシーンに入ります。

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 今回披露されたのは『tiny stars』。和訳すると『小さな星』という意味であり、何かが始まる予感と小さな気持ちから物語が動き出す様子を歌った良曲でした。再挑戦のかのん、新たな挑戦の可可、そんな2人の初陣にふさわしいナンバーです。また、今回は夜空の下でライブが行われました。夜空の下のライブといえば、μ'sの『ユメノトビラ』や『kira-kira sensation』、虹ヶ咲の『vivid world』や『夢がここから始まるよ』などの山場の展開で見られることが多かっただけに、序盤からクライマックスのような雰囲気を感じました。また、ライブの衣装がμ'sの『僕たちはひとつの光』と似たデザインである気がしましたが、これも何か理由があるのでしょうか。


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 また、先程照明を止めてしまった何者かは、力技でコードを繋いでステージを元通りにしていました。

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 フェスの結果は特別新人賞で1位には届きませんでした。しかし、この結果は序盤でライバル枠の格を落とさず、その上次のステップにもきちんと繋がりやすいものであり、良い落とし所だったと思います。

 ラブライブシリーズの第3話の中では随分と苦味がある結末だと思いましたが、それ以上にかのんと可可の成長に焦点を当てていたと思います。そのためか、見ていて気持ちの良い回でした。かのんと可可がスクーアイドルを続ける上ではまだ課題がありそうですが、これからの話を楽しみにしたいと思います。

 

あとがき

 今回は「ラブライブ!スーパースター!!」の1〜3話の感想を書きました。見た感じスタートは好調だと思います。記事を書いてて気がつきましたが、アニガサキは各話ごとにライブシーンのある話が多かったのに対し、「スーパースター!!」を含むその他の作品は数話ごとの山場でライブシーンを用意しているというパターンが多かったです。そのため、「スーパースター!!」は数話ごとの山場を迎えたときに感想を書く方が書きやすいと思いました。

 これは知り合いと話したときに出たことなのですが、『今までは主人公が挫折するのは山場の展開が多かっただけに、スーパースターはこれからどうなるか楽しみ』という感想が出ました。そういう意味では、「スーパースター!!」の話は『最初からクライマックス』という言葉が似合うでしょう。ちなみに上記の感想は自分が直接言った訳ではないので、ありがたく拝借させていただくという形で記事に載せています。

 また、記事本文にも書きましたが、歴代主人公よろしく新しいことに挑戦する可可と、挫折からの再挑戦を図るかのんの対比は素晴らしいと思いました。思えば「サンシャイン!!」の千歌と梨子、アニガサキの侑とせつ菜の流れから今回のかのんと可可を見ると、ラブライブも『ガールミーツガール』色が強くなってきたように見えます。

 そして、かのんが歌えるようになったのは彼女自身の技術や度胸の成長もあると思いますが、一番の決め手は可可やライブの観客のように自分の歌を肯定してくれる存在がいたことだと思います。『tiny stars』歌唱直前の2人の会話がまさにそれを表していると思います。まずは序盤の山場を乗り越えました。4話以降の展開も楽しみです。

 

 次回の第4話では、『ギャラクシー』が口癖の平安名すみれが加入すると思われます。照明を止めたあの人です。諏訪部順一さんは関係ありません。

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 一方で、千砂都の加入はもう少し先になる気がします。とはいえ次回も楽しみにしています。

 それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。