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とりあえず、これで良いだろ結ヶ丘『ラブライブ!スーパースター!!』7,8話感想

 初めまして。初めてではない方はお久しぶりです。アグネスデジタルが引けません。澄田兼鈞と申します。

 今回は「ラブライブ!スーパースター!!」第7、8話の感想を書きました。因みに、前回の感想以上に苦い感想を多く書いております。苦手な方は注意です。それでも、極力オブラートに包んだ文章を書くよう、最善は尽くしました。

 前置きはこれくらいにして、本文に移ります。

 

目次

 

第7話

 前回の第6話でかのんの幼馴染の嵐千砂都が音楽科から普通科に転科したところで、作品の方向性が自分の期待していたものからは外れ始めていると感じました。それ以上に、「スーパースター!!」の第7話は個人的に引っかかるポイントが散見されました。

 

1.生徒会長選挙とその後

 まずはサブタイトルにもあった生徒会長選挙とその後の展開についてです。生徒会長が不在だった結ヶ丘はついにその候補者を募り、まずは音楽科の葉月恋が立候補しました。しかし、恋は主人公・澁谷かのんらスクールアイドル同好会のことを快く思ってはおらず、仲間の唐可可は恋が生徒会長になれば同好会に危機が迫ると踏み、サスペンス映画の様な妄想までしていました。

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 そうなってはいけないと、かのんを対抗馬として推そうとしました。当のかのんは立候補したがらず、目立ちたがり屋な仲間である平安名すみれが名乗り出たため、彼女が恋の対抗馬になりました。

 ここですみれが出馬するにあたり、可可はそれを嫌がってひたすらにかのんを立候補させようとしていました。それどころか、すみれに対しては辛辣な言動が目立ちました。千砂都もそれを止める様子がなく、むしろすみれ弄りに加担していました。Twitterなどではこの様子について、『すみれ弄りが過剰過ぎる』という意見も見られました。すみれは第4話でも影が薄いことが触れられ、それがコンプレックスになっているのに、可可がしきりに弄りをやめない様子や、その可可は第6話の料理の場面ですみれに助けられていただけにすみれへの態度が礼節を欠いているという意見も見られました。加えて、過去作ですみれと似たポジションの矢澤にこ津島善子のように、弄られてもフォローできる材料が現在は足りていないことも指摘されていました。筆者はすみれ弄りの過剰さよりも、折角すみれが立候補しているのに可可達は素直に応援してあげないのかと思いました。まして、恋が会長に就任することで同好会に危機が迫ると思っているのなら、尚更真面目に応援するべきだったと思います。ただし、そのすみれも選挙で勝つべく、千砂都と協力して作ったたこ焼きで生徒を釣ったため、-20票のペナルティを課せられました。また、すみれ自身も何か政策を示した上で立候補した方が良かったと思います。

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 選挙は恋の圧勝、そのまま会長に就任しました。因みに恋は、会長選に臨むにあたって普通科と音楽科が手を取り合う学校を作る』という公約を掲げていました(ここ重要)。しかし、普通科の生徒の間では、『恋は普通科を見下している』という噂もありました。劇中でも普通科の生徒に辛く当たる描写が見られましたが、それはスクールアイドル同好会のかのん達だけに見られた態度であり、その他の普通科生徒にはどのように接しているかは不明です。ですが、第1,2話の台詞で普通科であるかのん達が『音楽』であるスクールアイドルを結ヶ丘でやろうとすることに反対寄りの態度をとっていたことから、『できるなら普通科は音楽に関係することをやらないでほしい』くらいには思っているでしょう。

 めでたく会長に就任したと思われる恋ですが、選挙直後の文化祭に向けた会長挨拶でとんでもないことをしでかします。公約では『普通科と音楽科の融和を目指す』と言っていた恋ですが、文化祭は『音楽科をメインに行う』と公約を反故にする発言をしました。

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 当然普通科の生徒からは反感を買い、かつての対抗馬だったすみれに至っては普通科内で恋のリコールを提案する始末です。この挨拶の前に、恋は理事長から来年度の結ヶ丘の入学希望者の数について教えられており(但し具体的な人数は現在不明)、そのことで何か思うところがあったのでしょう。挨拶当日も、挨拶文を読むのを途中で躊躇っていたため、好きで今の決定を下した訳ではないと思います。

 しかし、物語序盤からずっと、恋は母が作った結ヶ丘のために活動していました。何か複雑な事情があったとはいえ、今回の公約違反は恋の考えとは真逆の行動に他なりません。加えて、すみれの発言から普通科の生徒は音楽科の3倍いると判明しました。そう思えば、学校中の生徒の大半を敵に回す行いでもあります。音楽科の中でも、公約違反をした恋を不誠実に思う生徒は少なからずいるでしょう。そもそも、音楽科の人数が普通科よりも少ないのなら、尚更音楽科を贔屓して普通科を差別するメリットがありません。

 

2.まさかの廃校疑惑(廃校とは言ってない)

 1.でも触れた通り、恋はかのん達のスクールアイドル活動を快く思っておらず、かのん達もその理由を知りたいと思っていました。さらに、『学校のためを思えば(スクールアイドルは)無い方がいい』と、存在価値の否定までしています。そのため、かのん達はついに恋を彼女の実家まで尾行してしまいました。

 恋の家は大豪邸であり、とても裕福な家柄であることがわかります。かのん達は恋の家で、一冊のアルバムを見かけます。他人の家で勝手にアルバムを見る行為はデリカシーに欠けると思いますが、そこには今の結ヶ丘のような制服を着た女子生徒と、若かりし頃の理事長の姿がありました。加えて、恋に似た雰囲気の少女も写っていました。

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 しかし、大豪邸でありながらも、家にいるのはメイドと大型犬のチビ、それから恋の3人だけです。そのメイドも恋からは何故か退職金を渡されようとしていました。そして、尾行がバレて恋に見つかったかのん達は驚くべき事実を知ります。

 まず、学校の創始者である恋の母は既に帰らぬ人でした。ラブライブシリーズで故人の存在について触れたのは初めてです。だからこそ、恋は母の遺志を受け継いで学校を引っ張っていこうとしていたのでしょう。

 続いて、葉月家は現在財政が逼迫しており、学校経営も思うようにいかないとのことです。

 ここで結ヶ丘の設定をおさらいしておくと、『かつて廃校になった神宮音楽学校を地元の名士が買い取り、新設校としてスタートした』というものです。そのため、まず『新設校なのに経営難?』という疑問が浮かびます。但し、恋の台詞からは本当に結ヶ丘が存続の危機に瀕しているのか、あるいは葉月家が結ヶ丘の運営に携わるのが困難というだけなのかはわかりません。前者なら当初の資金繰りはきちんと考えられていたのか、そもそもそのような学校に銀行は何を思って融資したのかと疑問に思います。文部科学省も、きちんと仕事をしていたのか疑問に思います。後者なら理事長は何か対策をとっているのかという疑問が挙がります。もし結ヶ丘が明光義塾河合塾のような個人経営の企業ならば、経営者1人の財政難で経営が困難になることもわかります。当然そんなことはなく、結ヶ丘はれっきとした学校法人として設定されているのでしょう。過去作の音乃木坂や浦の星のような年数が経った上での廃校の危機ならまだ無理がないですが、新設校で存続の危機というのは設定として無理があります。

 また、もし本当に廃校の危機が迫っているとしても、本来なら恋が背負うべき問題ではないと思います。もし学校の行く末にまで恋が働きかけなければいけないのならば、理事長を含む大人達は仕事をしていないことになります。

 あとは、恋の母は故人だとして、父の方はどうしているのかが不明です。おそらく母と同じく帰らぬ人か、離婚して葉月家から離れているかのどちらかでしょう。『恋ちゃんパパ』という不穏な響きのニックネームが付けられそうですが、ラブライブシリーズの世界で原典ほど暗い事情はないでしょう。

 

 さらに、学校存続の危機といえば今までのラブライブシリーズの作品で2回もやってきたことです。しかも、廃校を阻止できたパターンとできなかったパターンとで2通りの結末が描かれました。もし今作でもその話を描くのなら、流石に引き出しが少ないのではと思ってしまいます。

 それに、過去作の廃校問題は、多かれ少なかれ学校の魅力を描いており、視聴者に『この学校を廃校にさせたくない』と思わせる工夫ができていました。結ヶ丘はというと、新設校を謳いながら音楽科と普通科で序列があり、普通科の設備は音楽科よりも古いという差別を行っています。また、今までの話では部活動の自由が認められないということで留学生が抗議運動を起こしたり、目玉であるはずの音楽科からあっさり普通科に転科した生徒がいたりしました。そのような学校に、少なくとも自分は魅力を感じません。恋は大切な母が遺した学校ということで守らない気持ちがあるのはわかりますが、それに共感しづらくなっているように思います。

 

 第7話の感想はここまでにしておきます。

 

第8話

1.学校の状況について

 第7話は恋の過去が明かされたところで終わりましたが、第8話ではまた新たな事実が明かされます。恋の母は亡くなりましたが、父親の方はどうしているかというと、仕事で海外に行っているらしいです。しかも、恋の母が神宮音楽学校の校舎を買い取って学校を設立することに反対し、家を出て行きました。妻が帰らぬ人になった後は恋と一緒に暮らさないかと声をかけていたものの、恋は日本に残って母の遺志を継ぐと決めました。

 ここでいくつか疑問点が生じますが、第7話で恋は使用人を雇えなくなるくらい困窮していることがわかりました。それでも、父親が離婚して出て行ったにしても、養育費は払われているはずです。まして母を亡くした恋と共に暮らそうと提案してくれるぐらいですから尚更そのことには事欠かないでしょう。にも関わらず、恋の生活が困窮していることについては、彼女がきちんと暮らしていけるだけの資金が提供されていたのかが疑問に思います。なんとか15まで暮らしていけていたにしても、食事や衛生面の面倒を見てくれるであろうメイドさんを雇えないほどならばどの道恋を苦しめているとしか思えません。

 恋の母が亡くなってから日本に帰ってこなかった理由については、大方仕事が忙し過ぎるのか、葉月家に愛想が尽きたかのどちらかでしょう。父親が結ヶ丘設立に反対していたということは、その計画自体がかなり無理のあることだった可能性があります。一応学校法人には地方公共団体からの助成が出ます。しかし、それを加味しても無理のある計画だったとすれば、恋の母の行動も夫の目にはあまりにも無謀な行動に映ったのではないでしょうか。確かに一度廃校になった学校と同じ場所で学校を新しく始めるつもりだったと考えれば、恋の父もさぞかし戸惑ったことでしょう。結局恋の母は学校運営も1人で切り盛りせねばならず、心労も祟ったのか帰らぬ人となりました。

 こうして見ると、葉月家の悲劇の本質は恋の父が出て行ったことにあるとも考えられます。しかし上記の考察と父の行動の背景を考えれば、そもそも結ヶ丘設立自体が悲劇のトリガーになってしまったとも言えます。きつい言い方をすると、高校生の身分で無理をして学校を背負おうとしている恋はその十字架を背負う羽目になっているという見方もできてしまいます。

 そして、第7話で恋が葉月家の現状について『このままでは学校を経営することも難しい(意訳)』と言っていました。この詳しい内容が、『本当に学校が存亡の危機に瀕している』のか、それとも『葉月家が学校経営に携わるのが困難になっている』というだけなのか、最後まで触れられることはありませんでした。理事長は入学希望者の数を知っているはずでしょうが、そのことも詳しく触れられず、焦る恋とは反対に危機感が薄いという印象を受けます。なお、少なくとも『廃校の危機』というわけではなさそうです。流石に新設校が廃校の危機という無理のある設定ではありませんでした。

 大方、お話の中でこれらの設定を上手く活かしきれなかったのでしょう。

 

2.恋とスクールアイドルについて

 第7話では『普通科と音楽科が手を取り合って学校を作る』という公約を反故にしてしまった恋ですが、案の定生徒達からは反発がありました。特に普通科では、本気で彼女を嫌った生徒もいました。第7話の感想でも述べましたが、音楽科よりも人数が多い普通科を冷遇することは政策として悪手です。何より、学校を盛り上げたいという恋本来の目的に反する行いです。しかし、挨拶文を読むのを躊躇うシーンもあり、公約を反故にしたことには理由があるだろうと踏んでいました。結局、その『理由』も明かされませんでした。恋が理事長から聞かされていた入学希望者のことが関係していると思いましたが、1.でも触れた通りそれについても詳しく明かされなかったのでなんとも言えません。恋の家庭のことといい、公約違反の背景といい、未回収の要素が多かったです。そのため、設定を持て余しているように見えました。

 普通科と音楽科にも、7、8話以前から溝はあったのでしょうが、恋の公約違反によって余計に助長されたようにしか見えませんでした。

 

 また、恋はかのん達のスクールアイドル活動にも反対していました。表立って妨害等を行ったわけではないですが、『学園のためには無い方がいい』、『この学園で活動して欲しくない』と存在価値を否定していました。

 一体、どうして恋がそこまで思うのかと言うと、彼女の母のことが背景にありました。恋の母は、かつて神宮音楽学校で『学校アイドル部』として活動していました。スクールアイドルというジャンルが生まれる前のことらしいので、おそらくμ'sの時代よりも前の出来事でしょう。神宮のアイドル部は、学校の廃校の危機を救うために活動していました。しかし、廃校は阻止できず、学校アイドル部の記録も目立って残されることはありませんでした。娘の恋にもそのことを詳しく話しませんでした。

 この一連の出来事から、恋は『母はスクールアイドルをやっていたことを後悔している』と思い込み、かのん達の活動にも文句を言っていました。しかし、エレン・イェーガーの実家よろしく秘密の部屋から見つかった学園の記録をかのんに見せられたとき、それは勘違いだとわかりました。

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 ここで突っ込みどころが生じましたが、そもそも自分の身内の問題や勘違いで他人の活動を辞めさせたがるのは身勝手な行動に見えてしまいます。本当にそれだけでかのん達に文句を言っていたなら、とばっちりも良いところです。あまりにも根拠として弱過ぎるため、かのん達と恋の対立構造を作るために無理して取り入れられた設定であるかのように見えてしまいます。

 恋の行動は、スクスタの三船栞子を彷彿とさせます。栞子も、自分の姉がスクールアイドルにのめり込み過ぎて三船家の立場も約束された将来も失ったと思い込みました。その思い込みから、同好会を廃部にしようとしたり、他人の適性に合った進路を無理に勧めようとしたりしていました。後に明かされた情報では、別に姉はスクールアイドルにのめり込んで苦しんでいる訳でもなく、結局栞子の勘違いだったことがわかりました。「スーパースター!!」は他にもスクスタを意識した描写が度々見られますが、これでは肝心の主要メンバーがスクスタと同じ轍を踏んでしまったようにも見えます、ただし、確かに恋も栞子に通じるものがありますが、栞子と違って実害を出し、その禍根を残している(*1)わけではありません。学校のモブ達も恋に不満を言っている様子が見られ、視聴者のストレスを軽減する工夫はできていました。加えて、恋は最終的に今までの行動を生徒に謝りました。それらを悪びれず、むしろ作中では正しいことにされていた栞子よりは救いがあると思います。視聴者の中には、『栞子は公約“だけ”は守ったけど恋はそれすらしなかった』と栞子以上に恋を厳しく評価する声もありますが、自分はそこまでは思いません。

 

 ちなみに、ここで結ヶ丘の由来についても触れられました。創始者の恋の母は、音楽を通じて人と人が繋がる場所を作りたいと思い、学校を作りました。理事長が入学式の挨拶で『特に音楽科の生徒は』と発言したのも、かつての友の意志を汲み取った発言なのでしょうが、言い方が悪かったと思います。恋も恋で、普通科の生徒がスクールアイドルを始めることに反対していた様子や、2つの科に少なからず溝があったことも大概です。そう思えば、(恋も色々誤解しており、事情を知らない生徒もいたとはいえ)果たして母の遺志は大切にされていたのかという疑問も生じます。

 そもそも、あそこまで用意周到に隠していれば、恋もスクールアイドルが母の黒歴史くらいに思う可能性も出てくるでしょう。「サンシャイン!!」において、音乃木坂学院に何も残していかなかったμ'sを意識した展開だとは思いますが、『そこまでして隠さなくても…』と思う気持ちもありました。

 疑問点や突っ込みどころをあげてもキリがないので、これくらいにしておきます。

 

3.そしてライブへ

 かのん達が全校集会の壇上で恋を説得したことで、恋も自らの行いを生徒に謝り、なんとか自体は丸く収まりました。音楽科と普通科の対立が激化していた割にはあっさり解決したように感じますが、めでたく恋もグループに加入しました。ただし、全校集会で恋の家の事情が明かされたからといって全校生徒が許してくれたような流れはだいぶ話が飛躍したと思います。そして、文化祭のライブに向けて5人は特訓を開始します。

 恋の加入にあたって、恋は『入学希望者、増えるでしょうか』と言っていたことについてまたも引っかかるポイントがありましたが、詳しくはあとがきで触れましょう。

 

 ライブで披露された曲は『wish song』、テレビアニメでは初のフルメンバーでの楽曲です。ここでは特殊エンディングが使われました。アニメの最初のシーズンとしては、贅沢な要素だなと思います。そして、サブタイトルの表示の仕方もとても良かったです。これは演出の賜物でしょう。

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 第8話の感想はここまでです。最後のあとがきで、感想のまとめと余談に入ります。

 

あとがき

 第7話で最後のメンバー・恋の過去が掘り下げられ、第8話でLiella!が揃いました。残り5話だと思われますが、頑張ってほしいです。

 

 色々突っ込みどころを挙げましたが、第8話はトータルでは良い回だと思いました。第7話は雲行きが怪しかった分、第8話がこの作品の評価の明暗を分けると思っていました。蓋を開けてみれば、そこそこカタルシスのある落とし所には持って行けたと思います。また、思った形ではなかったものの、Liella!を通じた2つの科の融和という自分が期待していた方向性の話を描いてくれたことも嬉しかったです。第6話で千砂都が音楽科に残っていればもっと自分好みな展開でしたが、本当にそこは個人の好みの話なのでこれくらいにしておきます。

 ただ、本文にも挙げたように、持て余している要素も多い印象でした。葉月家の経済事情であったり、公約違反の背景であったり、それから葉月家と学校の今の関係などの未回収の要素が目立ちました。現実味のない設定が悪いとは言っていません。むしろ半端に現実味がある分、きちんと回収・解消した方が気持ちよかったのではないかと思います。

 

 最後は余談になりますが、恋が加入したときに言っていた『入学希望者、増えるでしょうか』という台詞についてです。一応、結ヶ丘は廃校の危機に瀕しているというわけではないと思います。しかし、この台詞は少なからず『学校のために頑張らなければいけない』という路線が組み込まれたことの表れに思います。あくまでこれは恋自身の目標だと思います。しかし、スクールアイドルは果たして学校に尽くさなければいけないのかとも思います。これらはμ'sやAqoursが既に通った道です。加えて第8話までの結ヶ丘に守るべき魅力を感じるかと言うと、自分は少なくとも違います。

 音楽科と普通科の間には差別意識があり、花形であるはずの音楽科からはあっさり転科した生徒も出ました。その上葉月家の事情から推理するに、そもそも設立までの経緯自体が恋の身に起こった悲劇のトリガーとなった可能性もあるので尚更です。

 それから、普通科の生徒の中で、『一番結果を出しているのはスクールアイドル部なのに』という発言がありました。他の部活の描写や説明はなされていないのでなんとも言えない部分もありますが、正論でしょう。しかし、スクールアイドル部は普通科の部活です。これでは音楽科の立場がない気がします。

 

 以下は余談の余談になります。

 ラブライブ!」は『友情・努力・勝利』の文法に忠実ながらも、『勝利』にはあまり拘らず、主人公達が頑張ってきた時間に価値があるという落とし所を用意していました。その価値観こそが、個人的に「ラブライブ!」の見ていて面白い部分であり、特有の気持ち良さであったと思っています。同時にそれが多くの人に受け入れられた要素であると思います。決して、廃校を止めるために闘うから、学校のために尽くす話だから受けたとは思っていません。「スーパースター!!」でも、恋の母がその理念を大事にしていた様子がありました。ただし、作品単位で大事にされているのかといえば、少し首を傾げます。

 「スーパースター!!」はシリーズでも史上初の挫折から始まる主人公、全員一年生で新設校が舞台といった『新生ラブライブ!』的な要素を押し出しているように見えただけに、第7、8話の内容から少し肩透かしを喰らった気持ちになりました。ただそれでも、まだ5話残っているので、これから先の展開がどうなるかはわかりません。

 それから、音楽科と普通科で溝がある設定ですが、今のところかのんのキャラ付けにしか役に立っていないように見えます。千砂都があっさり転科したことを思えば、尚更そう見えます。

 今回はここまでにしておきます。それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

*1 優木せつ菜(中川菜々)から生徒会長職を剥奪、その流れもせつ菜への個人攻撃であった。加入後は鐘嵐珠の軍門に下り、彼女に言われるがままに監視委員会を組織、同好会の活動を妨害した。etc…