『正解のない世界への挑戦』虹ヶ咲アニメ第4話「未知なるミチ」感想
虹ヶ咲アニメ第4話は、スマイル系スクールアイドル・宮下愛の加入&個人回でした。
第1〜3話までは、侑と歩夢のスクールアイドルとの出会いからスクールアイドル同好会廃部騒動とスクスタ序盤のストーリーをなぞるような展開でしたが、第3話で廃部問題が解決したため、4話からは完全オリジナル展開となりました。1〜3話までに掘り下げがあった歩夢、かすみ、せつ菜以外の6人のメンバーは、原作スクスタでは見せ場に乏しかったためアニメでこうして掘り下げや幅広い活躍が見られることはありがたく思います。
前置きはこれくらいにして、具体的な感想に移りたいと思います。
目次
内容の振り返り
まずは前回第3話におけるせつ菜の『DIVE』のライブシーンの時系列から話がスタートします。屋上で歌うせつ菜を見ていた情報処理学科の宮下愛と天王寺璃奈、彼女達も侑と歩夢同様にせつ菜の歌に衝撃を受け、スクールアイドル同好会に入部を希望します。
第1話のときもそうでしたが、初めて見た人に衝撃を与え、ときに自らもスクールアイドルを始めたいと思う気を起こさせるという点に関しては、『それでこそせつ菜だ』とせつ菜推しとしては思わずにいられません。それから、このときに愛だけでなく璃奈も同好会に入部するというところがまた大事な部分です。
かすみ、せつ菜、彼方、しずく、エマの旧メンバーに侑と歩夢を交えて生まれ変わった同好会、そこは愛と璃奈も加わりましたが、まだこの同好会が何をするのか9人は決めていませんでした。
新部長のかすみからは、やはりライブがしたいという提案が出ました。そこで、どんなライブにしたいかという話し合いにおいて、しずくからは『ライブに台詞を入れてみたい』、エマからは『みんなで輪になって歌いたい』、彼方からは『お昼寝タイムが欲しい』という意見が出ました。せつ菜に至っては、『火薬もドーンと使いましょう』と思い切っており、歩夢は『普通に可愛いのがいい』と落ち着いた返答でした。何気ない発言でしたが、ここにも彼女達の個性や好きなことがよく現れています。
しずく、エマ、彼方だけでなく、全員やりたいことがバラバラであったため、結局いくつかのグループに分かれてやりたいことをそれぞれやってみることにしました。
ストレッチのシーンでは、エマの友人である果林が手伝いに来ていました。
モデルの仕事をやっているだけに、効率の良い柔軟体操等には詳しいようです。彼方と璃奈は前屈で苦戦しており、普段はあまり運動をしていないことがよくわかりました。反対に、愛は運動部の助っ人として度々活躍しているためか運動慣れしているらしく、前屈もお腹まで地面につくほどこなせていました。そのため、果林も知っているほど愛は有名人だということもわかりました。このとに前屈で苦戦しているときの彼方の表情ですが、柔軟体操が終わった後の『彼方ちゃん壊れちゃうよぉ〜』という台詞も相まって、ここだけ見ると何やらいかがわしいシーンに見えてしまいます。
ストレッチに付き合っていた果林は、彼方に『果林ちゃんも同好会に入らないのか』と聞かれると『私はただ、エマの悲しむ顔が見たくなかった』と言っていましたが、このときのデレ顔も素敵です。
お次はかすみによるスクールアイドル概論の授業のシーン。『概論』を『害論』と書き間違えるのは流石にまずいです。ついでにせつ菜から眼鏡を無断で借りるのもまずいです。
参加者は璃奈、愛、しずくでした。かすみはここで3人にスクールアイドルに大切なことは何かと聞き、しずくは『自分を表現すること』、璃奈は『ファンの人と気持ちを繋げること』と答え、愛だけは『わからない』と具体的な答えを出しませんでした。しかしかすみは、全ての返答を『正解』だと言いました。そして、ファンの人が楽しんでくれるならどんなことも正解だと3人に解きました。第2話にて自分や他人の大好きが共存できる場所を作りたいと願ったかすみだからこその考えでもあると受け取れ、彼女の成長を感じます。
その上でしずく、璃奈、愛の答えを全て『合格♡』としました。
続いて歌唱トレーニングのシーン、歩夢が歌い終わったところから始まります。せつ菜がある曲を選択すると、璃奈があるアニメのエンディングだと気付きます。璃奈がそのアニメを知っているとわかった途端に大喜びし、璃奈にノリノリでアニメの話をし出しました。璃奈自身も表情はわかりづらいものの、例えばある展開の話に対し『激熱だった』などとせつ菜の話について行けている様子でした。
スクスタやにじよんでも触れられていたせつ菜のアニメ好き設定はここでも活きていました。璃奈もそのような設定がありましたが、そちらも活かされていました。中川菜々のときのような義務に忠実な様子とは程遠く、自分の好きなことを嬉々として語るせつ菜が大変可愛らしいです。
このシーンにて、せつ菜の家庭ではスクスタ同様にアニメを禁止されていることが判明しました。第3話のせつ菜の母はスクスタほどの毒親ではなさそうな様子でしたが実際はそんなことはなく、やはり偽名を使ってスクールアイドルをする理由は明確にありました。そこはこれからの話で掘り下げていくのでしょうか。それはさて置き、せつ菜と璃奈のアニメ好きがわかったところから『アニソン縛りで行こう』と言う愛の順応性の高さは、いかにも友人が多そうな性格の愛らしさがあると思いました。
さらに、愛のおばあちゃんが作ってくれたぬか漬けの実食シーンもあり、ここでもおばあちゃんとの繋がりを確認できました。かすみがぬか漬けの匂いに困った顔をするところも、ぬか漬け初見あるあるみたいで面白かったです。
夕方、せつ菜がかすみにある相談事を持ちかけます。その内容は、『自分たちは一人一人がソロアイドルという体裁で活動しないか』といったものでした。それこそが第2話と第3話て挙げられたお互いの大好きを尊重しつつスクールアイドルを続けられる方法なのですが、そうなったとき、それぞれがどの方向を目指したらいいかわからないことにかすみとせつ菜は悩んでいました。
同じ頃、残りの7人も似たようなことで悩んでいました。実はみんなの心の中にも、ソロでやるという選択肢自体はありました。しかし、ソロでやるということはグループと違ってステージ上では誰も助けてくれないだけに、課題が多いとも感じていました。
このときのシーンにて、同好会は楽しいかと聞かれた璃奈の様子を見た愛が『こんなにうきうきしているりなりーは久しぶりに見た』と言っていました。璃奈は表情から感情を読み取るのが難しい人物ですが、長い間彼女と接してきた愛には璃奈の気持ちがよくわかる、まさに理解者といったポジションです。
放課後、愛は自分の今までのことを振り返っていました。回想シーンから、テストではいい点を取り、バスケットボールの試合では豪快なシュートを決めるなど、天才肌な人物であることがわかります。それに対して愛自身は、『勉強やスポーツの試合はちゃんとルールがあって、それの通りにやっていれば良い。でもスクールアイドルはそうじゃない』と考えていました。
翌日、練習の集合場所に向かうべく、ランニングに励む愛の姿が。
ここで愛の実家はスクスタ同様にもんじゃ焼きの店であることがわかりました。いつか聖地にも行ってみたいです。それから、愛の走る姿は柔軟体操のシーン同様にいかにも運動に慣れているといった様子が伺えました。
ちなみに、お台場ということもあってかフ○テレビの建物も映っていましたが、球体を取られていました。権利等の関係でこうなってしまったのでしょうか。
走っている道中でエマに会い、ソロアイドルは不安ではないかと聞かれます。愛自身は助っ人として参加してきたスポーツが団体競技ばかりだということもあり、1人で何かをするのは初めてだと言っていました。入部早々ソロアイドルというのは確かに厳しいと感じることもあるだろうと思います。
ここでエマが偶然発した『そろそろ行こうか』という言葉から『ソロだけにそろそろ』というダジャレを思いついたりと、いつもの調子を取り戻していました。また、エマに『愛ちゃんが来てから同好会のみんなの笑顔が増えた』と言われ、そんな自覚はないと返すと、『自覚がないからすごいんだよ』と言ってもらえました。かすみからスクールアイドルには正解がないことを学び、エマからは自分が無意識の内に周囲に笑顔を与えていると気づかされた愛は、『楽しいことをみんなと分かち合えるスクールアイドルになれたら、未知なるミチが開ける』と確信し、第4話はクライマックスに突入します。
そしてお待ちかねのライブシーン。今回愛が歌った『サイコーハート』は、『めっちゃgoing』の頃からあるダジャレ的な韻の踏み方を活かしつつ、アップテンポで激しいナンバーでした。
ライブシーンが始まるときに、いつものファンタジック演出が展開されますが、このとき愛がまるで自らそのような空間を開いているかのような演出がなされていました。
第3話のせつ菜のライブシーンもそうでしたが、1,2話とは打って変わり、同好会メンバーを含む多くのギャラリーが集っていました。そしてこの心象風景は、まるで侑以外の人々にも見えているかのようにも思えました。
まさしく、老若男女みんなを巻き込み、自然と周囲を笑顔で満たし、彼らと共に同じ目線で『楽しい』を分かち合える愛にぴったりな演出であると言えます。
また、何気にこのライブシーンにてニジガクデートの内容も拾っているところにも好感が持てます。
愛のパフォーマンスを見た侑は、一人一人違っているけど、そんなみんながライブをやったら何かすごいことが起きそうだと、同好会のソロ路線を後押しする一言を発しました。
感想・総括
以上が虹ヶ咲アニメ第4話の内容の紹介となります。愛の人柄もあって、3話までのシリアスな雰囲気を一気に明るくしてくれました。世が世なら彼女も主人公を張っていてもおかしくないでしょう。キズナエピソードなどはともかく、スクスタでは出番の少なかった愛をより深く掘り下げ、見事に脚色した回であったと思います。愛はそれまで、スポーツや勉強などのルールやゴールがある程度決まった場所で活動し成果を上げていることが多いだけに、これといって決まった正解のないスクールアイドルの世界には驚いている様子でした。しかし、決まった正解がないということは、ある意味自分で正解を作り出せてしまうということでもあると思えます。せつ菜のライブに感銘を受け、興味本位でスクールアイドルを始めましたが、一人一人、それぞれ違った『正解』の形も持つ同好会のみんなとの交流を深めていくことによってスクールアイドルの世界に惹かれていったのだと思います。だから、他の運動部には助っ人というポジションに収まっていたのがスクールアイドルだけは本気で始めようと思えたのかなと思います。宮下愛は未知であることを恐れずに楽しめるような、自らも楽しい人物であるとも受け取れました。愛自身も、スクールアイドル同好会のことを他の部活動とは違うと言っていました。また、今回は愛以外の同好会のメンバーも、ソロ路線に切り替えていく上でその行き先やソロで活動することそのものについて悩み始めた話でもありました。『ソロでやって行こう』となったら『じゃあそうしよう』と即決せず、まだまだ考えることが多いとするのもリアリティを感じます。まさに今回の話は、宮下愛とスクールアイドル同好会が『正解のない世界への挑戦』を始めた回であると思います。同時に、「ラブライブ!」のコンテンツとしても虹ヶ咲が初であるソロ路線への挑戦とも重なり、尚更面白い回だなと思いました。2、3話で示した方向性が4話以降でさらに強固になっていくと思うと楽しみです。同好会のアイドル達はこうしてソロ路線へ向かっていくわけですが、その中でスクールアイドルではない侑がこれからどんな関わり方をしているのかも楽しみです。
それと、1〜3話に比べ、主要にスポットを当てられるキャラ以外のメンバーにもきちんと見せ場を与えている話の作りも見事だと思いました。その台詞一つ一つにも、各メンバーの個性を上乗せしているところも素晴らしいです。
それから、愛のおばあちゃんはこれから先登場するのでしょうか。また、スクスタ同様に近所のお姉さんである美里も出てくるのでしょうか。いずれも愛の人格形成に大きく関わった人物であるため、のちの掘り下げが楽しみです。
一方で、愛のダジャレによって侑の笑いのツボがスクスタの主人公同様に赤ちゃんレベルであることもわかりました。
4話からはスクスタのストーリーをなぞらないオリジナル展開に移行したものの、このようにしてスクスタの要素も大事にしようという姿勢は原作への敬意の表れであり、スクスタを引退した身でありながらも天晴れに思います。ですが、引退者には引退者なりの言い分があるだけに、変な要素までは拾わないで欲しいなという気持ちもあります。その辺の話については、『無敵級*ビリーバー』でもわかるようにちょぼらうにょぽみさんの分室4コマのネタさえも上手く活用しているスタッフなので、無理のない範囲で拾っていければいいなと思います。
next虹ヶ咲
そして物語は次回に移ります。物憂げに空を見つめるエマ、故郷のスイスのことを考えているのでしょうか。
次回の虹ヶ咲アニメも楽しみにしています。
それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。