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『正解のない世界への挑戦』虹ヶ咲アニメ第4話「未知なるミチ」感想

虹ヶ咲アニメ第4話は、スマイル系スクールアイドル・宮下愛の加入&個人回でした。

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 第1〜3話までは、侑と歩夢のスクールアイドルとの出会いからスクールアイドル同好会廃部騒動とスクスタ序盤のストーリーをなぞるような展開でしたが、第3話で廃部問題が解決したため、4話からは完全オリジナル展開となりました。1〜3話までに掘り下げがあった歩夢、かすみ、せつ菜以外の6人のメンバーは、原作スクスタでは見せ場に乏しかったためアニメでこうして掘り下げや幅広い活躍が見られることはありがたく思います。

 前置きはこれくらいにして、具体的な感想に移りたいと思います。

 

目次

 

内容の振り返り

 まずは前回第3話におけるせつ菜の『DIVE』のライブシーンの時系列から話がスタートします。屋上で歌うせつ菜を見ていた情報処理学科の宮下愛天王寺璃奈、彼女達も侑と歩夢同様にせつ菜の歌に衝撃を受け、スクールアイドル同好会に入部を希望します。

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 第1話のときもそうでしたが、初めて見た人に衝撃を与え、ときに自らもスクールアイドルを始めたいと思う気を起こさせるという点に関しては、『それでこそせつ菜だ』とせつ菜推しとしては思わずにいられません。それから、このときに愛だけでなく璃奈も同好会に入部するというところがまた大事な部分です。

 

 かすみ、せつ菜、彼方、しずく、エマの旧メンバーに侑と歩夢を交えて生まれ変わった同好会、そこは愛と璃奈も加わりましたが、まだこの同好会が何をするのか9人は決めていませんでした。

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 新部長のかすみからは、やはりライブがしたいという提案が出ました。そこで、どんなライブにしたいかという話し合いにおいて、しずくからは『ライブに台詞を入れてみたい』、エマからは『みんなで輪になって歌いたい』、彼方からは『お昼寝タイムが欲しい』という意見が出ました。せつ菜に至っては、『火薬もドーンと使いましょう』と思い切っており、歩夢は『普通に可愛いのがいい』と落ち着いた返答でした。何気ない発言でしたが、ここにも彼女達の個性や好きなことがよく現れています。

 

 しずく、エマ、彼方だけでなく、全員やりたいことがバラバラであったため、結局いくつかのグループに分かれてやりたいことをそれぞれやってみることにしました。

 ストレッチのシーンでは、エマの友人である果林が手伝いに来ていました。

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 モデルの仕事をやっているだけに、効率の良い柔軟体操等には詳しいようです。彼方と璃奈は前屈で苦戦しており、普段はあまり運動をしていないことがよくわかりました。反対に、愛は運動部の助っ人として度々活躍しているためか運動慣れしているらしく、前屈もお腹まで地面につくほどこなせていました。そのため、果林も知っているほど愛は有名人だということもわかりました。このとに前屈で苦戦しているときの彼方の表情ですが、柔軟体操が終わった後の『彼方ちゃん壊れちゃうよぉ〜』という台詞も相まって、ここだけ見ると何やらいかがわしいシーンに見えてしまいます。

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 ストレッチに付き合っていた果林は、彼方に『果林ちゃんも同好会に入らないのか』と聞かれると『私はただ、エマの悲しむ顔が見たくなかった』と言っていましたが、このときのデレ顔も素敵です。

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 お次はかすみによるスクールアイドル概論の授業のシーン。『概論』を『害論』と書き間違えるのは流石にまずいです。ついでにせつ菜から眼鏡を無断で借りるのもまずいです。

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 参加者は璃奈、愛、しずくでした。かすみはここで3人にスクールアイドルに大切なことは何かと聞き、しずくは『自分を表現すること』、璃奈は『ファンの人と気持ちを繋げること』と答え、愛だけは『わからない』と具体的な答えを出しませんでした。しかしかすみは、全ての返答を『正解』だと言いました。そして、ファンの人が楽しんでくれるならどんなことも正解だと3人に解きました。第2話にて自分や他人の大好きが共存できる場所を作りたいと願ったかすみだからこその考えでもあると受け取れ、彼女の成長を感じます。

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 その上でしずく、璃奈、愛の答えを全て『合格♡』としました。

 

 続いて歌唱トレーニングのシーン、歩夢が歌い終わったところから始まります。せつ菜がある曲を選択すると、璃奈があるアニメのエンディングだと気付きます。璃奈がそのアニメを知っているとわかった途端に大喜びし、璃奈にノリノリでアニメの話をし出しました。璃奈自身も表情はわかりづらいものの、例えばある展開の話に対し『激熱だった』などとせつ菜の話について行けている様子でした。

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 スクスタやにじよんでも触れられていたせつ菜のアニメ好き設定はここでも活きていました。璃奈もそのような設定がありましたが、そちらも活かされていました。中川菜々のときのような義務に忠実な様子とは程遠く、自分の好きなことを嬉々として語るせつ菜が大変可愛らしいです。

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 このシーンにて、せつ菜の家庭ではスクスタ同様にアニメを禁止されていることが判明しました。第3話のせつ菜の母はスクスタほどの毒親ではなさそうな様子でしたが実際はそんなことはなく、やはり偽名を使ってスクールアイドルをする理由は明確にありました。そこはこれからの話で掘り下げていくのでしょうか。それはさて置き、せつ菜と璃奈のアニメ好きがわかったところから『アニソン縛りで行こう』と言う愛の順応性の高さは、いかにも友人が多そうな性格の愛らしさがあると思いました。

 

 さらに、愛のおばあちゃんが作ってくれたぬか漬けの実食シーンもあり、ここでもおばあちゃんとの繋がりを確認できました。かすみがぬか漬けの匂いに困った顔をするところも、ぬか漬け初見あるあるみたいで面白かったです。

 

 夕方、せつ菜がかすみにある相談事を持ちかけます。その内容は、『自分たちは一人一人がソロアイドルという体裁で活動しないか』といったものでした。それこそが第2話と第3話て挙げられたお互いの大好きを尊重しつつスクールアイドルを続けられる方法なのですが、そうなったとき、それぞれがどの方向を目指したらいいかわからないことにかすみとせつ菜は悩んでいました。

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 同じ頃、残りの7人も似たようなことで悩んでいました。実はみんなの心の中にも、ソロでやるという選択肢自体はありました。しかし、ソロでやるということはグループと違ってステージ上では誰も助けてくれないだけに、課題が多いとも感じていました。

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 このときのシーンにて、同好会は楽しいかと聞かれた璃奈の様子を見た愛が『こんなにうきうきしているりなりーは久しぶりに見た』と言っていました。璃奈は表情から感情を読み取るのが難しい人物ですが、長い間彼女と接してきた愛には璃奈の気持ちがよくわかる、まさに理解者といったポジションです。

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 放課後、愛は自分の今までのことを振り返っていました。回想シーンから、テストではいい点を取り、バスケットボールの試合では豪快なシュートを決めるなど、天才肌な人物であることがわかります。それに対して愛自身は、『勉強やスポーツの試合はちゃんとルールがあって、それの通りにやっていれば良い。でもスクールアイドルはそうじゃない』と考えていました。

 

 翌日、練習の集合場所に向かうべく、ランニングに励む愛の姿が。

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 ここで愛の実家はスクスタ同様にもんじゃ焼きの店であることがわかりました。いつか聖地にも行ってみたいです。それから、愛の走る姿は柔軟体操のシーン同様にいかにも運動に慣れているといった様子が伺えました。

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 ちなみに、お台場ということもあってかフ○テレビの建物も映っていましたが、球体を取られていました。権利等の関係でこうなってしまったのでしょうか。

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 走っている道中でエマに会い、ソロアイドルは不安ではないかと聞かれます。愛自身は助っ人として参加してきたスポーツが団体競技ばかりだということもあり、1人で何かをするのは初めてだと言っていました。入部早々ソロアイドルというのは確かに厳しいと感じることもあるだろうと思います。

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 ここでエマが偶然発した『そろそろ行こうか』という言葉から『ソロだけにそろそろ』というダジャレを思いついたりと、いつもの調子を取り戻していました。また、エマに『愛ちゃんが来てから同好会のみんなの笑顔が増えた』と言われ、そんな自覚はないと返すと、『自覚がないからすごいんだよ』と言ってもらえました。かすみからスクールアイドルには正解がないことを学び、エマからは自分が無意識の内に周囲に笑顔を与えていると気づかされた愛は、『楽しいことをみんなと分かち合えるスクールアイドルになれたら、未知なるミチが開ける』と確信し、第4話はクライマックスに突入します。

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 そしてお待ちかねのライブシーン。今回愛が歌ったサイコーハートは、『めっちゃgoing』の頃からあるダジャレ的な韻の踏み方を活かしつつ、アップテンポで激しいナンバーでした。

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 ライブシーンが始まるときに、いつものファンタジック演出が展開されますが、このとき愛がまるで自らそのような空間を開いているかのような演出がなされていました。

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 第3話のせつ菜のライブシーンもそうでしたが、1,2話とは打って変わり、同好会メンバーを含む多くのギャラリーが集っていました。そしてこの心象風景は、まるで侑以外の人々にも見えているかのようにも思えました。

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 まさしく、老若男女みんなを巻き込み、自然と周囲を笑顔で満たし、彼らと共に同じ目線で『楽しい』を分かち合える愛にぴったりな演出であると言えます。

 また、何気にこのライブシーンにてニジガクデートの内容も拾っているところにも好感が持てます。

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 愛のパフォーマンスを見た侑は、一人一人違っているけど、そんなみんながライブをやったら何かすごいことが起きそうだと、同好会のソロ路線を後押しする一言を発しました。

 

感想・総括

 以上が虹ヶ咲アニメ第4話の内容の紹介となります。愛の人柄もあって、3話までのシリアスな雰囲気を一気に明るくしてくれました。世が世なら彼女も主人公を張っていてもおかしくないでしょう。キズナエピソードなどはともかく、スクスタでは出番の少なかった愛をより深く掘り下げ、見事に脚色した回であったと思います。愛はそれまで、スポーツや勉強などのルールやゴールがある程度決まった場所で活動し成果を上げていることが多いだけに、これといって決まった正解のないスクールアイドルの世界には驚いている様子でした。しかし、決まった正解がないということは、ある意味自分で正解を作り出せてしまうということでもあると思えます。せつ菜のライブに感銘を受け、興味本位でスクールアイドルを始めましたが、一人一人、それぞれ違った『正解』の形も持つ同好会のみんなとの交流を深めていくことによってスクールアイドルの世界に惹かれていったのだと思います。だから、他の運動部には助っ人というポジションに収まっていたのがスクールアイドルだけは本気で始めようと思えたのかなと思います。宮下愛は未知であることを恐れずに楽しめるような、自らも楽しい人物であるとも受け取れました。愛自身も、スクールアイドル同好会のことを他の部活動とは違うと言っていました。また、今回は愛以外の同好会のメンバーも、ソロ路線に切り替えていく上でその行き先やソロで活動することそのものについて悩み始めた話でもありました。『ソロでやって行こう』となったら『じゃあそうしよう』と即決せず、まだまだ考えることが多いとするのもリアリティを感じます。まさに今回の話は、宮下愛とスクールアイドル同好会が『正解のない世界への挑戦』を始めた回であると思います。同時に、ラブライブ!」のコンテンツとしても虹ヶ咲が初であるソロ路線への挑戦とも重なり、尚更面白い回だなと思いました。2、3話で示した方向性が4話以降でさらに強固になっていくと思うと楽しみです。同好会のアイドル達はこうしてソロ路線へ向かっていくわけですが、その中でスクールアイドルではない侑がこれからどんな関わり方をしているのかも楽しみです。

 それと、1〜3話に比べ、主要にスポットを当てられるキャラ以外のメンバーにもきちんと見せ場を与えている話の作りも見事だと思いました。その台詞一つ一つにも、各メンバーの個性を上乗せしているところも素晴らしいです。

 それから、愛のおばあちゃんはこれから先登場するのでしょうか。また、スクスタ同様に近所のお姉さんである美里も出てくるのでしょうか。いずれも愛の人格形成に大きく関わった人物であるため、のちの掘り下げが楽しみです。

 

 一方で、愛のダジャレによって侑の笑いのツボがスクスタの主人公同様に赤ちゃんレベルであることもわかりました。

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 4話からはスクスタのストーリーをなぞらないオリジナル展開に移行したものの、このようにしてスクスタの要素も大事にしようという姿勢は原作への敬意の表れであり、スクスタを引退した身でありながらも天晴れに思います。ですが、引退者には引退者なりの言い分があるだけに、変な要素までは拾わないで欲しいなという気持ちもあります。その辺の話については、『無敵級*ビリーバー』でもわかるようにちょぼらうにょぽみさんの分室4コマのネタさえも上手く活用しているスタッフなので、無理のない範囲で拾っていければいいなと思います。

 

next虹ヶ咲

 そして物語は次回に移ります。物憂げに空を見つめるエマ、故郷のスイスのことを考えているのでしょうか。

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 次回の虹ヶ咲アニメも楽しみにしています。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

『本気系スクールアイドルの復活』虹ヶ咲アニメ第3話「大好きを叫ぶ」感想

 テレビアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第3話は、自分の推しである優木せつ菜の個人回にして同好会加入回でした。

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 スクスタのストーリーなどの事前情報もあり、多少の先入観があった故にまさか3話でせつ菜を加入させるというのは意表を突かれました。それでも待ちに待った個人回、今回はその感想を書いていきたいと思います。

 

目次

 

内容の振り返り

 冒頭は前回第2話の続き、果林が生徒会室に旧同好会メンバーを連れて乗り込んできたところから始まります。

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 優木せつ菜こと生徒会長中川菜々は、第2話のかすみ回でも触れられた自分の大好きを押しつけてメンバーの大好きを傷つけてしまったことを申し訳なく思っていました。そのために自らはスクールアイドルを辞めて、同好会を維持するには部員が足りず、廃部にせざるを得なかったようです。廃部にする前にも、グループとしての同好会は解散していたことがしずくの口からわかりました。

 さらにこの場面で、このアニメにもスクールアイドルの甲子園としてラブライブ大会』が前作、前々作同様に存在することがせつ菜の口から明らかになりました。せつ菜達旧同好会も、もともとそこを目指していたようです。そして、もしラブライブに出たいなら、残りの4人で出てくれという旨を言っておりました。これについては後ほど触れますが、この作品における『ラブライブ大会』の扱いが第2話で示されたこの作品の方向性をより強固なものにしたと自分は考えています。

 

 時は翌日に移り、校内で愛と璃奈に校則に反して匿われていた猫のはんぺんを生徒会業務として菜々は捕まえようとしていました。幸いはんぺんは飼い主の璃奈に助けられましたが、もし捕まっていたら別の里親を探してもらっていた、それが叶わなければ保健所に連れて行かれてしまったのでしょうか。このシーンでせつ菜は最終的にはんぺんを匿うことを認めていますが、このときに『名前、なんて言うんですか』と璃奈にはんぺんのことを聞く辺りの描写から、生徒会長・中川菜々としての彼女は決して義務に忠実なだけの冷血漢ではないことがよくわかります。

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 それはひとまず置いておき、音楽室での出来事に移ります。主人公・高咲侑が、そこのピアノでせつ菜の持ち歌である『CHASE!』を弾いていました。素人なため、人差し指でぎこちなく弾いていましたが、菜々にはそれがかつての自分の持ち歌だとわかりました。音楽室で侑は自分が優木せつ菜のライブを見て感動したことを菜々に熱く語ります。しかし、菜々は『優木せつ菜は自分の大好きを追求するあまり、他のメンバーの“大好き”を傷つけてしまった。だからせつ菜はスクールアイドルなんてやらない方が良かった』と言い、第1話冒頭のライブについても『いい幕引きだった』と言っていました。その上侑に、『幻滅したでしょう』とも言っており、自責の念に苛まれている様子がひしひしと伝わってきました。侑からはかすみを部長にして新しく同好会を作ることを告げられ、それに対しては特に何の文句も言いませんでしたが、自分はそこに参加する資格は無く、その同好会が新しく出来ることだけが自分のわがままだと思っていました。

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 自分の理想を追求するあまり仲間にもそれを押し付けていたとはいえ、せつ菜がこのように自分を責めている様子はせつ菜推しとしては見ていて辛いなと思う部分もありました。

 

 この話では、せつ菜の家庭の様子も描かれました。家庭では本来の姿である中川菜々として過ごし、模試に向けての勉強に励んでおりました。親がいない間に自分の衣装を眺め、親が部屋に来た途端に勉強しているポーズをとる様子は割と高校生あるあるな感じがして人間味があります。それと同時に、親にも自分がスクールアイドルをやっていることは秘密にしていることもわかりました。

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 原作(スクスタ)のせつ菜の親は、昔から一切の趣味活動を禁止しており、『強いリーダーシップを発揮してほしい』と自分の理想の生き方を娘に押し付けるというまさしく毒親といった人物でした。しかし、今回の話ではそのような印象を強く与える発言はなく、『模試があるんでしょう』といった発言から娘に少し大きすぎる期待をかけているように思える節はあるものの至って普通の親といった印象でした。そのため、親との関係で苦しんでいるがための二重生活というよりは、せつ菜自身が周囲の期待を感じ取る能力が高く、それに応えているといった印象を受けました。要するに『できた娘』といったところでしょうか。ですが、果林も『どうして生徒会長が偽名を使ってスクールアイドル活動をしているのか気になる』と言っており、せつ菜自身も、『期待されることは嫌いじゃない』と言いつつも、『少しぐらい自分の大好きなこともやってみたかった』と言っていたため、彼女なりに何か複雑な理由があることは間違いないでしょう。ただ少なくとも、あえて実名の中川菜々ではなく、『優木せつ菜』という偽名を使って活動している彼女の心境は、実生活で自分にかけられている期待とは別にやりたいことをやりたいというものであると思います。家庭事情についての詳しいことは、おそらく後の話で掘り下げがあるだろうと踏んでいます。

 さらに、この『期待』というものがせつ菜を縛っていた考えでもありました。自分にかけられた期待とは別に、ただ純粋に『大好き』なこととして始めたはずのスクールアイドルですが、活動を続け、ファンが増えていく中でそこでもまた期待をかけられるようになっていったのでしょう。実際に第1話で披露した『CHASE!』のライブ動画にも、そのようなコメントが寄せられており、中にはラブライブ大会への出場を希望する声もありました。

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 それでも、スクールアイドルが純粋に好きだという気持ちは変わっていなかったと思いますが、ファンからの期待に応えなければならないと焦り、同好会に亀裂を入れるきっかけになってしまったのだと思われます。かつてなりたかった自分からはかけ離れて行ってしまった見たいです。そしてせつ菜は、『自分の大好きはファンどころか仲間にも届いていなかった』と絶望しました。

 せつ菜自身がとにかく周囲からの期待に応えたいと強く思う性格なために同好会に亀裂を生むきっかけになってしまったとするストーリーの流れは、スクスタから上手くアレンジしたと思います。

 

 時はさらに流れて同好会の練習場面にて。果林がスクールアイドル同好会のせつ菜を除く旧メンバーと侑達新同好会を集めてせつ菜の正体について話していました。かすみはそのことにとても驚いていた様子でした。このとき、果林がかすみからもらったコッペパンを半分こにして親友のエマに分けている様子がとても印象に残っており、果林の好感度をさらに上げる描写だと思いました。

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 そして果林のドヤ顔が素晴らしかったです。

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 同好会のかすみを含む旧メンバー達は、廃部前のせつ菜の態度を悪く言っている様子はなく、むしろ素晴らしい同好会を作るためにはせつ菜の力が必要だと言っていました。特にかすみは、自分とは違う考え方のせつ菜の存在をより必要としていました。

 

 そして放課後、侑は校内の放送で中川菜々と優木せつ菜を屋上に呼び出します。そこで2人は改めて話し合いました。せつ菜は侑に、自分がいてはダメだとまだ言い、その上ラブライブ大会はどうするのかと言います。しかし侑は、『せつ菜ちゃんが幸せになれないのが嫌だ』といい、自分がいたらラブライブ大会に出られないとまで言うせつ菜に、ラブライブなんて出なくていい』と答えました。この台詞によってせつ菜を『期待』の呪縛から解放しました。また、その役割も同じスクールアイドルキャラである歩夢やかすみ達旧同好会メンバーではなく、ファン目線のキャラである侑だから出来たことだと思います。もしかすみ達がこれをせつ菜に言っていたら、『自分が彼女達にラブライブ大会を諦めさせた』とまたせつ菜が負い目を感じるかもしれません。そのため、ファン目線で行動している侑がこれを言ったからこそ、せつ菜の心を救うことができたと思います。

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 この後に菜々が髪の毛を解き、『優木せつ菜』に変身を遂げるシーンも印象的でした。

 

 侑の言葉でスクールアイドルへの信念を取り戻したせつ菜は、新曲DIVEを大勢の生徒がいる中で披露します。

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 第1話の『CHASE!』とは反対に、炎ではなく水属性を強調した演出とステージ、しかしそこには炎も時々発生しており、自分の大好きに正直になるそして広い海のように、形を自在に変える水のように新たな同好会で他人の大好きも包み込んでいくというせつ菜の心情が読み取れました。本来水と炎は共存できませんが、その壁すら越えていこうという意思を感じます。また、炎と水の演出はせつ菜と菜々の二面性を表しているようにも見えました。大好きを情熱的に叫ぶせつ菜が炎、常に冷静で本心を隠している菜々が水であると思います。

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 ライブシーンの演出は、せつ菜が一度歌を捨てた背景も相まって、童話の「人魚姫」を連想しました。また、海を思わせる風景に白いワンピースはという服装はボーカロイド曲の『深海少女』のMVも連想しました。

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 深海に潜む“大好き”を引っ張り出していく、そして新たな同好会でスクールアイドルとして返り咲く、まさに優木せつ菜の『復活』を描き切ったお話でした。曲自体も『CHASE!』の頃からのかっこよさを引き継いでおり、またCDが欲しくなりました。

 

感想・総括

 今回の第3話は、廃部云々の下りなどは正直何も廃部にまでする必要はあったのかなど少しだけもやもやした部分もあります。ただし、顧問の教師もいない上に部員不足で校則上廃部にせざるを得なかったと考えれば納得できないことはなく、実際劇中でも制度上の都合で廃部自体はせつ菜の本意ではなかったことは伝わってきたと思います。せつ菜が同好会を抜けることをメンバーに相談しなかったことについても少し引っかかりましたが、もしせつ菜が『同好会をやめます』と他のメンバーに言ってしまえば、『せつ菜は自分たちに愛想を尽かした』あるいは『自分たちのせいでせつ菜はやめてしまった』と負い目を感じさせてしまっただろうとも考えられます。特にせつ菜と真っ先に衝突したかすみなんかは、尚更そう感じると思います。せつ菜個人としても、そのようなことになるのは望ましくなかったはずです。

 原作スクスタでの同好会再結成におけるせつ菜の行動もプレーヤーにいい印象を与えづらいものであり、それをアニメで調理するのは難しかったと思います。実際アニメ第3話を見ていて、尺の都合などもあり『あ、ここを上手く辻褄合わせるのは苦労したんだな』と思う痕跡もいくつかありましたが、その辺も含めてアニメはより『優木せつ菜』という1人の人間に向き合えているシナリオ自体は描けていたと思います。それ以外に気になるところは特にありません。

 

 これはスクスタ経験者ならではの感想となりますが、せつ菜推しとしてはせつ菜の本当の笑顔をようやく見ることができたような気がします。第3話終盤で侑が言った『せつ菜ちゃんが幸せになれないのが嫌だ』という旨の発言は、自分の今の心境を代弁してもらったような気持ちになりました。スクスタにおけるせつ菜の顚末といえば、ここではあえて多くを触れないことにしますが、『目も当てられないくらいの惨状』としか言えませんでした。だからこそ、主人公にしてファンの代表ともいえる高咲侑に、せつ菜の生き様を肯定してもらえたことは心にくるものがあります。また、今回までの話ではどちらかと言えば『中川菜々』としての優木せつ菜により焦点が当てられていたという印象があるため、スクールアイドル・『優木せつ菜』として描かれるのはこれからの話が本番だという風にも思えました。それから、せつ菜に本当の幸せが訪れるのはやはり二重生活を解消できたときだと自分は踏んでいるので、そこも気長に待つことにします。ただしそれもやり方次第です。

 

 そして、あえてラブライブ大会には出ないことで、より純粋に『それぞれの大好きを追いかける』という姿勢が読み取れ、この作品の方向性がより強固になったと思います。そしてこれが虹ヶ咲のソロ路線なら繋がっていくというのは尚更見事に思えます。ある意味、虹ヶ咲が本来なら外伝ポジションとして作られたコンテンツだからこそできる試みともいえるでしょう。侑の台詞はある種の解放感すら感じました。同時に、ラブライブ大会に出なくても、勝ち負けや勝負事に拘らなくてもスクールアイドルとして活動できる』、『ラブライブ大会に出ず、ただ楽しいからやるスクールアイドル活動も無意味なものではない』というスクールアイドルのまた一つの可能性を示してくれたようにも思えます。虹ヶ咲のソロ路線も、スクスタでは昨今のソシャゲよろしくキャラをどんどん追加していくためのものというシステム・商業展開的な事情のようなものを強く感じましたが、アニメではこれを、2話と今回の3話で上げられた『一つの場所で別々の価値観が共存していくにはどうすればいいか』という物語の根幹をなす考えとしてソロ路線につなげていくところが見事としか言えません。

 

next虹ヶ咲

 次回からは、愛、璃奈、しずく、エマ、彼方、果林の掘り下げを行うと思われます。この6人はスクスタでは活躍の場に乏しいメンバーであったため、アニメの掘り下げはとても楽しみにしています。特に1〜3話を見る限り果林の描写は『スタッフに果林推しがいるのでは』と思うくらい気合が入っているため、尚更楽しみです。またスクスタの設定に基づく話になりますが、これから掘り下げられるメンバーはそれぞれおばあちゃんと近所のお姉さんのいる愛、妹の遥がいる彼方といった誰かしらの周辺人物が自身に影響を与えたキャラや、それぞれ演劇、モデルと何かしらの別の仕事とスクールアイドルを兼業しているしずくと果林、海外から来たエマといったメンバーは、この先の物語のスケールを広げるのにうってつけなメンバーであると思います。だからこそスクスタでは非常にもったいないことをしたなと思うと同時に、アニメではそこを上手く使えることを期待しています。璃奈もまだ璃奈ちゃんボードが完成していないので、それを作る話の内容次第では面白くなりそうです。

 スクスタをなぞるような展開はここまでで、次回からは完全にオリジナル展開に移行すると踏んでいます。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

炎柱・煉獄杏寿郎、心を燃やし続けた男の話「鬼滅の刃-無限列車編-」

【注意】この記事には「鬼滅の刃-無限列車編-」やそれ以降の話の原作ストックおよび、特典の『煉獄零巻』のネタバレが含まれます。

 

 

 

 大ヒットアニメ、漫画の「鬼滅の刃」、その劇場版である「無限列車編」が2020年10月16日に公開となりました。「無限列車編」は、原作でいうとコミックス7,8巻のエピソードになります。

 今回は、その「無限列車編」の目玉キャラ、煉獄杏寿郎という人物の話をしたいと思います。

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 煉獄といえば、原作を読んでいる方は言わずもがな、アニメを見ている人もご存知だと思いますが、炎の呼吸の使い手で鬼殺隊の上級剣士・柱のメンバーの一人、炎柱です。主人公・竈門炭治郎の兄貴分ともいえる面倒見の良い人物で、後述する少ない出番ながらも高い人気を誇ります。アニメ版の主題歌を担当しているLiSAさんも杏寿郎がお気に入りのキャラだと言っていました。自分は霞柱の時透無一郎が推しなのですが(関係ない)、杏寿郎のこともとても好きです。今回はそんな煉獄杏寿郎の魅力について書いていきたいと思います。

 

目次

 

1.他人の努力や誠意を認め敬意を払う姿勢、人間を愛する心

 劇場版の特典『煉獄零巻』では、杏寿郎の初任務のことが描かれていました。その任務に出る前に、当時の炎柱であった父親から『お前も千寿郎(杏寿郎の弟)も大したものではない、炎柱は俺の代で終わりだ』と言い捨てられてしまいます。予め言っておくとこの頃煉獄父は(原作の話によると)とある任務で自分の力不足を痛感する出来事に遭い、その上最愛の妻(煉獄母)にも先立たれてしまうという不幸が重なり、自暴自棄になっていました。このとき杏寿郎は父の気持ちは父にしかわからないと思いつつも父がこのように言ってきた理由として『死なせたくないから』という風に考えていました。剣士としての実力がなくとも神崎アオイや“カクシ”の様な形で隊のために働く道もなくはないですが、実際実力のない者から早く倒れていくのが鬼殺隊なので、その様に思う気持ちもわからなくはありません。しかし杏寿郎自身は最終選別でであった同期の隊士に『あなたみたいな立派な人になりたい』とまで言われる実力者で本編の時系列では柱の一角となっており、当然実力がないなんてことはあり得ないでしょう。一方、弟の千寿郎は兄とは反対に日輪刀の色が変化しないほど剣術の才能に恵まれませんでした。初任務の日の昼間、杏寿郎はそんな千寿郎の修行の様子を見て、『才能に恵まれない人の努力や他人のためになりたいという気持ちに、本当に意味がないといえるのだろうか』と考えます。その初任務にて、多くの仲間たちが倒れている様子があり、その中にはかつて最終選別で出会った同期もいました。彼らが残してくれていた指文字で鬼の能力を見破り、見事討伐に成功しました。さらに、最終選別で出会った同期は、現場にいた女の子を庇っていたこともわかりました。杏寿郎はこの様子を見て、『誰かの命を守るために精一杯戦おうとする人は、ただただ愛おしい。清らかでひたむきな想いに才能の有無は関係ない』と考え、自分自身も『彼らのような立派な人になりたい』と考えます。これがある意味、3.で触れる母の教えと併せて杏寿郎を突き動かしていた原動力であるといえます。

 この考え方が杏寿郎の根底にあったからこそ、本編にて父が修行を放棄してもなお柱に登り詰め、『俺も柱になれば認めてもらえるでしょうか』と言っていた千寿郎に『剣士でなくともお前は立派な人間になる』という言葉をかけ、『強さとは肉体に対してのみ宿る言葉ではない』と自分に実力は及ばないであろう炭治郎達の“強さ”を認め、鬼でありながら体を張って人を守っていた炭治郎の妹・禰豆子のことも鬼殺隊の立派な一員として認めることができたのではないかと思います。その初任務で会った人達の誠意に応えねばという気持ちもあったからこそ、暴れる無限列車で乗客全員を助けるという離れ業にもつながったと思います。また初任務で芽生えた考え方や、本編での『老いるから、死ぬからこそ人間は尊い』という台詞から、ある意味で彼は人間というものを愛していたとも受け取れる気がします。だから、上弦の参・猗窩座の『お前も鬼にならないか』という誘いに乗らなかったのだと思います。

 

2.彼もまた『長男』である

 この段落では引き続き基本真面目な話をしますが半分ネタみたいな部分もあります。

 「鬼滅の刃」では、主人公・炭治郎の名言(迷言)として『俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢なかった』という台詞があります。しばしこの台詞は『長男だから耐えられた』と要約されることもあり、長男だったら肋骨の痛みすらも耐えられるそうです(嘘です)

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 話を杏寿郎に戻しますが、杏寿郎もある意味『長男だから耐えられた』を炭治郎とは別の意味で体現している人物といえます。だからこそ、炭治郎の兄貴分にふさわしい人物だといえます。ここからは無限列車で杏寿郎が見た夢のシーンにおける過去の回想の話になります。炎柱に昇格したことを報告しに実家に帰ると、1.で述べた出来事を引きずっていた煉獄父は床の間で酒を飲みら『俺もお前も大した人間にはなれない』と杏寿郎が柱になってもなお言い捨てます。その後千寿郎に会い、『父上は認めてくれましたか?俺も柱になれば認めてもらえるでしょうか』と質問されます。このとき杏寿郎は千寿郎にはっきりと『認めてくれなかった』と答え、その上で『そんなことで俺の情熱は消えたりしない』と確固たる信念を見せ、『お前には兄がいる。兄は弟を信じている』、『どんな道を歩んでも、お前は立派な人間になる』と千寿郎を励ましました。結果を出し、他人に認められることも大切ですが、杏寿郎はそれ以上に千寿郎の今までの努力を見てきており、1.で述べた出来事で芽生えた『人が一生懸命なにかをするのに才能の有無は関係ない』という考えもあって、自分のような剣士の道を行かずともそのときの頑張りが役に立つときが来ると信じていたのだと思います。また、このように声をかけていた背景には、父が修行を放棄しているために千寿郎がかわいそうだという気持ちもあったために、せめて父の次の年長者(兄)である自分は千寿郎を励ましてやらねばと考えていました。だからと言って1.で述べた出来事が彼の根幹にあるために、肩肘を張っているという印象はありませんでしたが、彼もまた長男だなという風に思えるワンシーンでした。

 余談になりますが、夢のシーンでは炭治郎達が自分の理想を見ていたのに対し、杏寿郎だけは現実にあった(と思われる)出来事を見ていました。このことから、彼のリアリストな一面も伺えます。一方で、弟の千寿郎のことはとても心配していたと同時に期待をかけていたこともわかります。

 

3.胸に生き続ける母の教え

 煉獄杏寿郎を語る上で欠かせない人物が一人います。それは、杏寿郎の母こと煉獄瑠火です。

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 瑠火は病気により、杏寿郎が幼いころに帰らぬ人となってしまいました。しかし、杏寿郎の心の中には彼女の教えが生き続けていました。瑠火は杏寿郎に、『自分が人より強く生まれた理由は弱き人を助けるためであり、その力は世のため人のために使わなければならない。天から賜りし力で人を傷つけること、私服を肥やすことは許されない』と説いていました。瑠火は鬼殺隊員ではありませんが、その強き心で息子達に人としての正しいあり方を説き、杏寿郎の精神性を築いていきました。まさしく彼女こそが、『強さとは肉体に対してのみ使う言葉ではない』という杏寿郎の台詞を体現していた人物であるといえます。瑠火が亡くなった後、父・眞寿郎は鬼殺隊を辞め、酒浸りな生活に入り杏寿郎達の修行を放棄してしまいます。杏寿郎は自分のことよりも千寿郎のことを案じていましたが、今まで熱心に稽古をつけてくれていた父が稽古を放棄し酒に溺れている姿を見て、その父に自分の今までの頑張りを否定されて、何も思わなかったはずはないでしょう。下弦の壱・魘夢には柱になったことを父に報告しに来た時の夢を見せられましたが、その時の父の態度を目に無表情に沈んだ顔をしており、そんな内に秘めた心の傷を表すかのように夢の中の無意識領域の地面も所々ひび割れておりました。しかし、1.の初任務のときに芽生えた考えや、母の教えが心に生きていたからこそ、父に裏切られたとしても折れることなく柱まで登り詰めたのだと思います。無限列車が壊れた後の上弦の参・猗窩座との戦いでは、猗窩座にその強さを賞賛され、『お前も鬼にならないか』と誘われましたが、『ならない』と一蹴しています。「鬼滅」世界の鬼は、(禰豆子、珠世、愈史朗はともかく)圧倒的な力を誇りながらも人を殺して喰らい、他人の人生を理不尽に奪っていく、まさに瑠火が杏寿郎に説いていた教えとは真逆の存在です。杏寿郎自身も1.でも挙げた『老いるからこそ、死ぬからこそ人間は尊い』という台詞からわかるように鬼が持つ永遠の命には興味がないのでしょうが、母の教えを胸に、長男として弟を守るために、柱として部下を守るために強くなった杏寿郎だからこそ、猗窩座の誘いには乗らなかったのだとも考えられます。

 

4.炭治郎達に遺したもの

 無限列車が崩壊した後、上弦の参・猗窩座が襲来し、杏寿郎は彼と戦います。幹部クラスである上弦の鬼を相手に互角に戦った杏寿郎ですが、瀕死の重症を負わされ、応急処置も間に合わずそのまま帰らぬ人となってしまいました。共に任務に当たっていた炭治郎、善逸、伊之助にも大きな傷が残る出来事となりました。しかし、同時に彼らが杏寿郎から大切なものを受け継いだ出来事でもありました。

 例えば杏寿郎が死に際に残した『心を燃やせ』という言葉は、炭治郎がストーリー後半の上弦との戦いや柱稽古のときも意識し、やがて物語終盤への戦いに臨む原動力となりました。同じく終盤の無限城戦にて炭治郎は杏寿郎の仇敵である猗窩座と対峙したとき、彼に『強き者が弱き者を淘汰することが自然の摂理だ』と言われたのに対し、『強き者は弱き者を守る、そして弱き者は強くなり自分より弱き者を守る。これが自然の摂理だ』と言い返します。

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 この台詞は、煉獄母の『強く生まれた者は弱き者を守るためにその力を使わねばならない』という教えに重なるものであり、それを発展・先鋭化させたものであるとも受け取れます。炭治郎自身は煉獄母に直接会ったことはありませんが、杏寿郎の戦う姿を見てその教えに基づく思想を受け取ったといえるでしょう。魘夢役の平川大輔さんも煉獄零巻でのインタビューにて、『杏寿郎は言葉で聞けば教えてくれるかもしれないけど、彼が伝えたいことは彼の背中を見ていればしっかりと伝わる』、『背中で語る男だ』とおっしゃっていました。自分もまさしくその通りだと思いますし、炭治郎と杏寿郎の関係もまさにそういうものであると思います。

 炭治郎の他に、伊之助も杏寿郎と猗窩座の戦いをその目で見ていました。杏寿郎の死を前に『自分も煉獄さんみたいになれるのか』と落ち込む炭治郎に対し、『信じると言われたならそれに応える以外考えるんじゃねぇ!』『どんなに惨めで恥ずかしくても生きていかなきゃならねぇんだぞ!』と励まします。こちらの台詞は『誰かの命を守るために精一杯戦おうとする人は、ただただ愛おしい。清らかでひたむきな想いに才能の有無は関係ない』という杏寿郎の思想に対応しているものだと思います。伊之助もまた、杏寿郎の背中を通して彼のメッセージを受け取った1人といえるでしょう。

 大切な人を失い鬼殺隊に入った炭治郎達は、今回の無限列車の戦いのように鬼殺隊に入ってからもそこで得た大切なものを失うような出来事に遭遇しました。そこで色々な人たちの生き様を胸に刻み、やがて彼らは上弦の鬼との戦いに身を投じていきます。

 

あとがき-無限列車編感想その他

 今回は、「無限列車編」の目玉キャラ・煉獄杏寿郎について書かせていただきました。「無限列車編」自体は公開初日の翌日に見に行きました。テレビシリーズと同じく、アニメの動きで作品の魅力を底上げし、原作の穴を埋める補完描写も充実していて面白かったです。目玉キャラの杏寿郎も、原作以上のかっこよさが際立っており、担当声優の日野さんの鬼気迫る演技も印象的でした。今回の映画の裏ボスである猗窩座の担当声優が石田彰さんだったことは驚きましたが、実際にお芝居を聞いてみるとぴったりであったと思います。個人的に猗窩座戦の方がこの話の本番であると思い込んでいましたが、前半の魘夢戦も思った以上に激しいアクションシーンや平川さんのねっとりとした演技もあって面白かったです。

 冒頭でも触れた通り、「無限列車編」は原作7、8巻の内容を映像化したものであり、おそらくこれをテレビシリーズでやっても構わないような気はしていましたが、実際に作品を見て、やはり映画だからこそ映えるエピソードなのかなと思いました。魘夢に失った家族の夢を見せられていた炭治郎が最終的に彼の夢を打ち破り現実に戻る決意をした下りは、猗窩座戦の後の杏寿郎の『君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない、共に寄り添って悲しんではくれない』という台詞に重なります。つまり、無限列車の戦いは全体を通して一本の筋・テーマが通った話であり、映画にするにはうってつけの話であったと思います。杏寿郎自身も、「鬼滅の刃」が作品全体を通して大事にしているテーマの一つである『人間愛』を体現している人物であるため、劇場版の花形として申し分ないキャラでもあります。

 LiSAさんが歌う劇場版の主題歌『炎』も、杏寿郎の生き様、炭治郎達が彼から受け継いだ思いがしっかり歌われている名曲だと思います。LiSAさんのお気に入りのキャラが杏寿郎であるというのもあるのでしょうが、彼に寄り添う歌詞が書けていると思います。なので、自分もCDを買いました。

 テレビアニメの二期もこの調子なら作られると思いますが、そちらも楽しみにしております。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

『かわいいもカッコいいも共存できる場所のために』虹ヶ咲アニメ第2話「cutest☆ girl」感想

 前回に引き続き、今回も虹ヶ咲アニメの感想を書いていきたいと思います。

『“やっと来れたね”、でいいんだよな?』虹ヶ咲アニメ第一話感想 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

 前回は第1話だったので、今回は第2話となります。

 

 今回のお話は虹ヶ咲のかわいい担当、愛すべき三枚目である『かすみん』こと中須かすみが仲間になる話でした。

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 それだけでなく、前回に引き続き他キャラの見せ場も作りつつ、そして、スクールアイドル同好会の方向性、その根底にある考えを提示することができた素晴らしい回でもあると思いました。

 前置きはこのくらいにして、感想に入りたいと思います。

 

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内容の振り返り

 かすみは自分の“かわいい”を追求できる『ワンダーランド』を目指していました。ここでもう、虹ヶ咲2ndアルバムに収録されていた彼女の持ち歌である『ワンダーランド』の要素も引っ張ってきており、良い演出だと思いました。そんなワンダーランドのために、スクールアイドル同好会に入ったかすみでしたが、きつい練習に疲弊し、さらに部長であるせつ菜との目指している方向性の違いから衝突してしまいました。

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 せつ菜は自分以外のメンバーのパフォーマンスが客に見せられるものではないと考え、『そんなパフォーマンスではファンの皆さんに大好きを伝えられない。スクールアイドルが大好きなんでしょ?』と押し付けがましい言い方をしてしまいました。それに耐えかねたかすみも、『こんなの全然かわいくないです』とムキになって言い返してしまいました。そうこうしている内に同好会は空中分解し、ついに生徒会から廃部を言い渡されてしまいます。このときの描写ですが、せつ菜だけが自分の考えを押し付けているのではなく、かすみも似たような感じに自分の考えを譲れないが故に衝突してしまったと受け取れるように描かれている点が、両者の株を下げない良い手法だと思いました。また、そのことについて侑がかすみに『誰だって譲れないものがある、それ故に衝突してしまうこともある』といった旨の発言でフォローしているところも良かったと思います。かすみもせつ菜も我の強い人物ですが、個々人の性格的な話ではなく誰にでもそのようなことは起こりうるものだと扱っているところが素晴らしいと思いました。

 

 主人公・侑と歩夢、そして今回の目玉キャラとなったかすみの絡みも、微笑ましくも素晴らしいものであったと思います。

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 かすみを『かわいいかわいい』とベタ褒めする侑に複雑な表情を抱く幼馴染歩夢。スクスタでも見られた絡みとなっており、微笑ましく思いました。さらに、かすみがスクールアイドルの先輩として侑と歩夢を引っ張っていこうとしているところも、スクールアイドル経験者という点を活かせていたと思います。そんな感じに先輩として2人をリードしようとしていたものの、歩夢には『かわいさが足りない』といった旨の発言を行い、『語尾を“ぴょん”を付けろ』だのと紹介ビデオでキャラ付けをしつこく迫ってしまいます。

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 かすみの押し付けがましい態度、アイドルとしては初心者なこともあり恥ずかしがる歩夢の表情から、もはや羞恥プレイの域にまで達しかけてしまいました。おかげで歩夢は一時『かわいい…コワイ』とつぶやくくらい落ち込んでしまいます。その後侑にせつ菜のことを愚痴りましたが、そこでかすみはふと、『自分もかつてのせつ菜のように、自分の考えを他人に押し付けているのではないか』と気がつきます。そこで上記にもあげた『誰だって譲れないものがある、それ故に衝突してしまうこともある』という旨の台詞で侑がかすみをフォローし、どちらが悪いとも言わなかったことも素晴らしいと感じました。

 また、歩夢がかすみに言われたキャラ付けの練習をなんだかんだでやっていたところも、彼女の努力家な面が現れていたと思います。

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 さらにここで、実際に(モデルとして)芸能活動を行なっている果林にアドバイスをもらうところもよかった点です。それもあって、最終的に自分で考えた自己紹介スタイルも『かすみんほどじゃないけどかわいい』とかすみが認めてくれました。

 

 そしてお待ちかねのライブシーン。かすみの新曲であるPoppin' Upが披露されました。

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 前回に引き続き、侑の心象風景によるファンタジックな演出が光ります。今回はお菓子が多めに登場し、よりかすみらしい可愛さが引き立てられています。曲自体も、かすみの前作である『無敵級*ビリーバー』で培われた伴奏のオシャレさと共に、『ダイアモンド』や『ワンダーランド』でのキュートな雰囲気が盛り込まれており、素晴らしい一曲でした。

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 このライブシーンの後、かすみは『かわいいもカッコいいも共存できる場所、それこそが自分の目指すワンダーランド』なのだと確信します。ここで、スクールアイドル同好会のソロの集まりという設定の根幹にある考え、そして、このアニメの目指すべき一つの場所がはっきりしたと思っています。

 

感想・総括

 アニメ版の中須かすみは、自分の『かわいい』に一生懸命なところとスクールアイドルに対する情熱はスクスタや今までの媒体と変わりませんが、メンバーと方向性の違いで揉めたことを気にしていた点や、自分も他人に自己の考えを押し付けてしまっているのではないかと悩んでいたことなどから、他者に気遣いができる、今までの媒体に比べると感傷的というか、より繊細な面が表に出ている性格になっていたと思います。また、顔芸もとい表情が豊かなところも良いと思いました。

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next虹ヶ咲

 一方そのころ、生徒会サイドでは……

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 果林が生徒会室に何やら下りを入れていました。ある日の放課後、エマ、彼方、しずくといったスクールアイドル同好会の元メンバーを集めて生徒会室に乗り込みます。果林はなんと、優木せつ菜という名前は生徒の名簿を見てもどこにも存在しない、そして、部長のせつ菜がいないのになぜ生徒会長が同好会廃部の決定を下したのか、それは生徒会長・中川菜々こそが『優木せつ菜』その人であるからだと見抜きました。

 せつ菜の正体については、スクスタをやっているファンなら多くの人が知っているでしょうし、スクスタをやっていなくとも勘のいい視聴者ならすぐに気づくと思います。つまりはある種見え透いたフラグなのです。それをだらだらと引っ張らずに、2話でサクッと解決するのは良き判断であると思います。他にも、これからは13話という限られた話の中で“スクールアイドルとしての”優木せつ菜を掘り下げ描いて行かねばならないため、正体不明ネタを引っ張っている暇はなかったのでしょう。さらにここで果林の株も上げているところもポイントです。もはや探偵や諜報員顔負けの情報収集力と推理能力です。

 その後、次回の第3話ではせつ菜回をやると思われます。

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 キャラの立ち位置や第2話で描かれた背景から、せつ菜は今のところ下手をすれば視聴者のヘイトを集めやすい人物であると思います。そのヘイトが溜まり切る前に、掘り下げからの加入(おそらく)をやってしまおうというのは名采配です。とにかくせつ菜推しとしては、次回の話も楽しみです。

 

 また、今回でオープニングも初披露となりましたが、全員曲ながら同好会の各メンバーの個性が表れていて良かったです。

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 今回の第2話は、かすみの掘り下げとともに同好会の方向性をはっきりと示せた回であったと思います。前回でも触れましたが、田中仁さんはいい話を書きますね。これなら次回の虹ヶ咲はもちろん、来年の「ゆるキャン△」二期も楽しみになります。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

『“やっと来れたね”、でいいんだよな?』虹ヶ咲アニメ第一話感想

初めまして。初めてではない方はお久しぶりです。澄田兼鈞と申します。

 

 2020年10月3日、いよいよ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメが始まりました。

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 元々アニメ化の予定がなかった虹ヶ咲、期待と不安が入り混じる中で迎えた第1話は、スタートとしては最高のものだと思いました。

過去の記事でも触れましたが、シリーズ構成の田中仁氏はいい脚本を書きますね。

虹ヶ咲アニメと同じスタッフの作品の感想まとめ - 澄田さんは綴りたい®︎

 

虹ヶ咲アニメと同じスタッフの作品の感想まとめ② - 澄田さんは綴りたい®︎

 

 田中仁氏は、序盤で作品のテーマとなる部分を提示し、それを最後まで貫き通してくれるタイプの脚本家だと思います。虹ヶ咲第1話では、主人公・高咲侑も度々口にしていた『トキメキ』というワードが重要であるかのように触れられていたため、あくまで侑視点ではおそらくそれを作品のテーマとして通していくのでしょう。

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 それで、肝心のアニメの感想はというと…

 まず開幕での優木せつ菜のソロ曲『CHASE!』。既存曲ではありますが、見せ方がとても新鮮であったように思います。

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 バトルアニメを思わせるファンタジックなライブシーンの演出。まさか「ラブライブ!」でこのような演出を見ることになるとは思いませんでした。燃え盛る炎の中で力一杯歌う様子もせつ菜のイメージとマッチングしており、彼女の個性を存分に発揮していたと思います。

 侑の幼馴染である上原歩の『Dream with you』も、『CHASE!』のようなファンタジックな演出が使われていました。

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 歩夢のライブシーンは、『無敵級*ビリーバー』でも見られたダンスを挟まない歌唱パートなど、特に従来の「ラブライブ!」とはかけ離れた演出が見られました。

 これらは侑の心象風景なのですが、虹ヶ咲のメンバーがソロだから、そして、侑が我々視聴者に作中人物からスクールアイドルを見たときの視点を与えてくれる人物だからこそ光る演出であると思います。そしてソロであるからこそ、尚更贅沢に感じます。このようなライブシーンが各メンバーで見られると思うと、楽しみで仕方ありません。

 

 お次はストーリーの話。今回の第1話は、スクスタ序盤でもあった主人公と歩夢がスクールアイドルに魅了される話と、同好会の空中分解を少しなぞっている感じですが、それがより洗練された完成度となっております。

 まずは最初の『CHASE!』のシーン、アニメ版の時空ではスクスタと違ってμ'sとAqoursは登場しないため、侑と歩夢がスクールアイドルを知るきっかけも大きく違ってきます。そのきっかけとなったのがせつ菜のライブというところも高評価ポイントで、スクスタ始動前からあったせつ菜の実力あるスクールアイドルという設定を上手く活かしています。自分はせつ菜推しでもあるため、そこは素直に嬉しいポイントでした。

 後に同好会に入る愛と璃奈の動かし方についても中々綺麗だと思いました。また、スクスタストーリーのようなテキストの塊だけどではイマイチしっくりこなかった璃奈の無表情な部分も、アニメでよりリアルさが増したと思います。

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 アニメ時空の璃奈は最初からボードがあるわけではないため、ボードを作る話もおそらくこれからやると思われます。

 せつ菜、かすみ、彼方、しずく、エマからなる初期同好会の空中分解についても、スクスタでは報連相が上手くなされておらずにあやふやになってしまっていたところをしっかり理由づけされている様子があり、そこも良き改変ポイントであると思いました。その理由については現時点では不明ですが、スクスタ以上に納得できる理由付けがされていることを信じます。また、エマが果林に同好会の廃部のことについて相談しているところも、果林の見せ場にも期待できる改変箇所であると思いました。

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 それから、歩夢と侑の関係性がスクスタとは大きく変わっているところにも驚きました。スクスタの歩夢は、あなたちゃん(スクスタにおける侑ポジのキャラ)に引っ張られる感じでしたが、アニメでは侑の『スクールアイドルを応援したい』という希望に応えるべく自らがスクールアイドルになるという、スクスタに比べて積極性が強化されているように見えます。それだけでなく、歩夢自身もせつ菜のライブに感銘を受けていることが説明されていたところも高評価できるポイントです。細かい見方をすればスクスタ同様にあなたちゃん/侑ありきなところは変わりませんが、自分から何かしたいということを早めに言えるあたり、スクスタとは大きく違うポイントだなと思いました。

 そして、侑がスクールアイドルを追いかけたいと言った時に歩夢が『予備校に通うって言ったでしょ』と言ったあたりは、リアルな高校生らしい事情が見られてよかったです。

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 余談になりますが、流しそうめん同好会なるものの存在には笑いました。

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 以上が、虹ヶ咲アニメ第1話の感想です。冒頭でも触れましたが、スタートとしては最高だと思いました。ただし、虹ヶ咲の母体コンテンツにして一応アニメの原作であるスクスタについては、キャラの扱いの格差や不自然なストーリー展開、それから、追加メンバーの不快感もあったため、ゲームを引退するくらいに失望してしまいました。おかげで虹ヶ咲運営については手放しに信用することが難しく、当記事のタイトルもやや含みのあるものとなっております。ですが、第1話の完成度は確かに高かったため、この調子で行けば面白い作品になると思います。主役メンバーが10人もいてソロ主体となると、掘り下げることも山ほどあると思いますが、それらを上手くまとめれば具沢山で面白い作品に仕上がると思います。一方で、スクスタで追加されたメンバーについては流石にアニメでは扱っているほどの尺はないように思います。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

『これが本当の原作昇華』今更ながらの鬼滅の刃アニメ版感想・総括

鬼滅の刃といえば、2016年から2020年まで週刊少年ジャンプで連載されていた吾峠呼世晴氏による漫画作品です。主人公・竈門炭治郎が鬼になった妹・禰豆子を人間に戻すための術を探すべく、鬼殺隊の一員として戦うダークファンタジーです。2019年にはアニメ化もされ、社会現象ともいえるヒットを記録しました。今となっては知っている人が大勢いる漫画となっています。2020年10月にはコミックス7、8巻の内容に当たる「無限列車編」が劇場版として公開されます。

自分は「鬼滅の刃」をジャンプでかなり初期の頃から読んでいましたが(本当です)、今のようなヒットをするのは予想外でした。原作も面白い漫画だとは思っていましたが、やはりアニメの影響が大きいでしょう。自分がコミックスの方を集めるようになったのもアニメの影響です。

 

今回は、そんな「鬼滅の刃」が大ヒットするきっかけになったアニメ版の感想・総括を今更ながら述べていきたいと思います。

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鬼滅の刃」のアニメ版は現在、炭治郎の妹・禰豆子が鬼になるところから下弦の伍・累との戦いの後の蝶屋敷での療養生活、コミックスでいうと1〜7巻までの話をアニメ化しています。7、8巻の無限列車編は映画でやるので、アニメ 二期があるとすれば9巻からになるでしょう。

 

原作経験者として見、てアニメ版「鬼滅」のどういうところがすごいと思ったかというと、以下に挙げるものが特にそうであったと思います。

 

戦闘シーンの作画

鬼滅の刃」はバトル漫画であるため、まず戦闘シーンのアクション、カッコよさは重要になります。本作では『全集中の呼吸』という身体能力を飛躍的に上げる呼吸術とそれを用いた剣技を用いて人間が鬼に立ち向かいます。その呼吸もと様々な属性があり、剣技を使うとそれぞれの属性に対応したエフェクトが出ます(実際に水や炎が出ているわけではありません)

例えばこちらの水の呼吸。

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(こちらは水の呼吸・玖ノ型のシーンです)

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(こちらは拾ノ型、カラーではこんな感じ)

吾峠先生の絵柄もあってか、浮世絵を思わせる豪快かつ美しい演出となっております。

これがアニメではどうなっているかというと……

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原作以上の綺麗さと躍動感。アニメだからこそ出せる美しさだと思います。

水の呼吸の演出も素晴らしいですが、アニメ版では特に、神回と名高い19話で登場したヒノカミ神楽のシーンが印象的でした。

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作画良し、カメラワーク良し。(実際にそうはならなかったとはいえ)累に逆転勝利するまでの流れや挿入歌『竈門炭治郎のうた』と相まってとても胸が熱くなるシーンでした。

水の呼吸やヒノカミ神楽以外の呼吸の剣技の演出もこの二つに負けない素晴らしさなので、まだ見たことがない人にはぜひ見ていただきたいと思います。特に我妻善逸の雷の呼吸は、構えを真似する子供が多くなってきたみたいですね。

 

一方、鬼が使う異能・血鬼術については、こちらの作画も良かったのですが、アニメ一期の時点では個人的にまだ派手な血鬼術を使う鬼が登場しないと思うため、二期以降に期待したいです。原作を見る限り、上弦の鬼達の血鬼術は(幹部キャラだから当然とはいえ)とても演出が凝っているためアニメではもっと映えると思います。ただ、累の糸攻撃や禰豆子の爆血はとても映えていたと思います。

???『珠世様の血鬼術の作画はとても美しかったです!』

 

鬼滅の刃」がアニメ化されるとジャンプ本誌で知ったときは、正直原作の独特な絵柄や演出をアニメで表現しきれるのかと疑問に思うことがありました。アニメを作る会社が「Fate」シリーズなどでお馴染みのufotableであるとわかったときは、ここならいい感じのアクションを描いてくれるだろうと思いました。そしてアニメがオンエアされたときは、期待以上のものを見せてくれました。これなら劇場版も、(もしあれば)アニメ二期も期待できます。

 

声優さんの演技

鬼滅の刃」のアニメ版は声優陣も凝っていることも有名です。特に鬼殺隊幹部剣士・の面々のキャストは、水柱・冨岡義勇櫻井孝宏さん蟲柱・胡蝶しのぶ早見沙織さんを始め、アニメファンなら名前だけでも知っているであろうという方々が集結しています。それだけでなく、炭治郎達が戦う敵である鬼の面々も、幹部格でなくともベテラン・有名な声優さんを起用しています。最初に戦ったお堂の鬼が緑川光さん最終選抜のボスキャラである手鬼が子安武人さんだったと知ったときは少し驚きました。アニメ最終話のパワハラ会議の被害者の面々でさえ、植田佳奈さんや保志総一朗さんといった豪華声優陣が揃っていました。『出番が少ない鬼もいるのに凝りすぎだろ』と思いましたが、そのおかげでより強敵感、簡単には倒せない相手という雰囲気が強調されていたと思います。

 

自分が特に印象に残っているのは、炭治郎の同期、我妻善逸役の下野紘さんの演技です。

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善逸といえば、よく泣いたり喚いたり、たまにしょうもないことで怒ったりするシーンが良く見られます。そのような性格であるからこそ、「鬼滅の刃」の会話劇の面白さに一役買っている人物であるともいえます。特に、蝶屋敷での療養生活では機能回復訓練でアオイ、すみ、なほ、きよの女性4人組が相手をしてくれることに興奮して恥ずかしい発言を連発するシーンがありますが、自分は見ていて正直『声優さんしんどそうだな』と思っていました。話している内容のことではなく、単に息をつぐ暇がなさそうな感じに台詞を連発していたことについてです。それも上手くこなしているため、改めて『声優さんってすごい…』と思いました。

善逸は泣き叫んでいるシーンばかりではなく、雷の呼吸を使うときは別人のように落ち着いた表情で技を繰り出し戦います(ただし壱ノ型しか使えない)。そのときの下野さんの切り替えも素晴らしく、技を出すときは泣き虫は鳴りを潜め、声の出し方からもイケメンオーラが濃くなります。

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他のアニメでも見られることですが、このように声優さんの演技がキャラの台詞に合わさることで、キャラの魅力を底上げしています。善逸は無限列車の戦いの後、より頼もしさが増していくので、二期の下野さんの演技にも期待しています。

 

ストーリーの補完描写

原作経験者としてはこの部分が一番すごいと思いました。

漫画作品のアニメ化で原作にないシーンが追加されることはよくあり、「鬼滅の刃」も例外ではなかったのですが、その原作にないシーンの使い方が「鬼滅の刃」アニメ版は上手いと思います。

例えば、コミックス2巻の内容に当たる浅草の戦いでは、原作にはなかった愈史朗の戦闘シーンがあります。原作では直接戦闘を行わなかった愈史朗ですが、ここで彼の見せ場が一つ増えたと思います。戦法はというと、自身の血鬼術でステルス化して相手を殴るという割とシンプルなものです。

那田蜘蛛山の戦いの姉蜘蛛の回想シーンでは、母蜘蛛、父蜘蛛、姉蜘蛛、兄蜘蛛以外にも累の家族が本当はたくさんいたことも追加で描写されました。その回想では“家族”から脱走しようとした鬼のことを姉蜘蛛が累に告げ口しており、炭治郎と対峙する頃までにはその“家族”の人数も激減しているため、累の“家族”の歪さが際立っていました。

 

これらのような補完描写の中で、特に自分が気に入っているのは柱合会議の様子が実際に描写されたところと、蝶屋敷での炭治郎達の療養生活におけるカナヲの描写です。

柱合会議では、柱同士の絡みや、親方様と柱達の絡みを補完してくれていたことが嬉しく思いました。細かい部分ですが、風柱・不死川実弥『最近の隊士は質が低い』と言った後で音柱・宇髄天元『昼間の小僧(炭治郎)は見込みがある。不死川に派手な一撃(頭突き)をお見舞いしたからな。』と返したシーンは、宇髄の言動の特徴をアニメオリジナルの台詞に上手く落とし込んでおり、結構好きです。

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カナヲについては、炭治郎達が自主訓練をしている中で自分も混ざりたそうに彼らを見ているところを、しのぶに『あなたも同期なんだから混ざれば?』と促されるシーンがありました。これにより、炭治郎が銅貨を投げるときの『カナヲは心のままに生きる!』と言ったシーンにより説得力を持たせています。

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その一方で、炎柱・煉獄杏寿郎が無限列車捜索に出動する前にしのぶと会話をするシーンも追加されているのですが、7、8巻および劇場版の展開を思うと死亡フラグ味を感じさせるものとなってしまった様に思います。

 

漫画作品のアニメ化において、原作にない描写の追加は尺稼ぎに使われることも度々あり、その様な場合は話のテンポを悪化させている原因になることもありますが、「鬼滅の刃」のアニメ版ではアニメオリジナルの描写を原作のストーリー展開と上手く繋ぎ合わせていると思います。また、その描写自体も『これは原作でも欲しかったやつだ!』と思えるものが多く、総じて作品全体の魅力を底上げしていると思います。原作のポテンシャルも高いですが、そのポテンシャルの高い作品の魅力を底上げする描写を挿し込むことができている辺り、『そりゃハマる人も増えるよね』と思いました。原作ではページの都合などもあって描ききれない部分もあるところをアニメで表現できているのは素晴らしいと思います。

アニメ単体でも十分楽しめますが、原作を読んでいるとさらに楽しめるアニメ版だと思います。

 

また細かい部分の話になりますが、次回予告の大正コソコソ噂話でコミックスのおまけページやファンブックで触れられている内容を扱うのも良い取り組みだと思いました。

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他にも、原作ではメタ視点でのナレーションで済ませてしまっている部分を、あえてナレーションを入れなかったり、またそのナレーションの文章の一部をキャラの台詞に落とし込んでいる部分も見事だと思いました(例:19話の走馬灯の下り)。

 

○あとがき

今回は2019年に放送された「鬼滅の刃」のアニメについて、原作を踏まえた上で『ここがすごい!』と思う点をピックアップし、今更ながらその感想を書かせていただきました。「無限列車編」も控えており、コミックスも完結に向かっているため、まだまだ盛り上がっていると思います。

自分は今のところ原作コミックスを全巻持っていますが、コミックス7、8巻の内容に当たる劇場版も見に行こうと思っています。また、アニメ二期以降のテレビシリーズが作られるなら、そちらも見たいと思います。普段原作付きのアニメを見てコミックスを買うと、原作を全部見れば二期以降のシリーズは見なくて良いかなとなる場合が多い自分ですが、「鬼滅の刃」は上記に挙げた三つの理由から原作を全部見た後でもアニメシリーズを追いかけたいと思いました。今度はどんな補完描写があるのか期待しています。また、上弦の鬼達の声優さんが誰になるかも楽しみです。

 

それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

仮面ライダーセイバー第1章感想『結末は誰がどう決める?』

 

2020年9月6日より、「ゼロワン」に次ぐ令和2作目の仮面ライダーシリーズ、仮面ライダーセイバー」がスタートしました。

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仮面ライダーセイバー」は、小説家の主人公が仮面ライダーに変身し、異世界と現実世界を繋ぐ不思議な本の力を悪用する敵と戦うファンタジー色の強い作品です。プロデューサーは高橋一浩氏、シリーズ構成は福田卓郎氏の仮面ライダーゴースト」のタッグとなります。

 

前置きはこれくらいにして、第1話を見た感想を書いていきたいと思います。

 

まずは主人公の神山飛羽真

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冒頭にも書いた通り小説家です。作品はファンタジーを多く書いています。作家なのですが浮世離れした人みたいな感じではなく、子供達に絵本を読み聞かせてあげていたり、知り合いの子供の誕生日に絵本をプレゼントしてあげたりするなど、まるで近所のお兄ちゃんのような親しみがあって子供向け番組の主人公として好感が持てます。その他にも、作品の締め切りは必ず守る真面目さや、相手の様々な言動を『個性』として肯定する器の広さ(?)もあります。その一方で、本を悪用する者は許さないというヒーローらしい熱い信念もあり、今後に期待できそうなキャラです。

ライダーに変身できる能力は幼い頃に手に入れているみたいですが、そのときの出来事の記憶を失っているようです。そこはおそらく今後掘り下げられるでしょう。

 

ヒロインも明るく可愛らしいです。脇役のライダーキャラ達、悪役の方は、第1話の段階ではまだ人物像の詳しい描写がなされていないため、そちらも2話以降に期待したいと思います。

ただ、飛羽真が剣を抜くときのこちらの台詞は中々面白かったです。

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(不破さんなら抜けるとか言ってはいけない

ここで『普通の人間には聖剣は抜けない』という言い方をするとそれこそ普通の台詞になってしまいますが、『普通のホモサピエンス』という言い回しでかなり印象に残るなと思いました。彼の名は新堂倫太郎といい、飛羽真と同じく仮面ライダーなのですが、この台詞は彼のキャラ付けにも関係してそうなのでそちらも掘り下げが楽しみです。

 

続いては映像について

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こちらは本の力で開かれる世界の様子なのですが、

まぁ綺麗!!

ホビット精霊の守り人を思わせる、とても美しいファンタジーの世界が広がっています。

また、本の世界が開かれたときにシャボン玉が飛ぶ演出も美しさの中にどこか得体の知れなさが含まれていていいと思います。

しかし、映像が綺麗な分、予算は大丈夫なのかという心配もあります。凝ったCGといえば、「OOO/オーズ」のガタキリバのことが脳裏を過ぎるので、同じようなことにはならないといいなと思います。

 

変身シークエンスや必殺技にはバンク映像が使われており、スーパー戦隊を思わせる感じになっています。「響鬼」以来となるエンディングではダンスがあり、ここも戦隊みたいだなと感じました。ついでに敵が巨大化する展開もありますが、ここも戦隊っぽいと思います。ここまで挙げた物の中にはコロナ禍の影響で撮影時間を短くする工夫もあるのかなと思いますが、それでも令和2作目として色々と新しいことを模索している感じは伝わってきます。

 

キャラにも映像にも期待できそうだなと思った一方で、

第1話からとにかく情報量が多すぎる!!

と、思いました。

 

まず1話で明らかになった特筆すべき情報を挙げると、

  • 物語開始時点で多数のライダーがいることが示唆されている。
  • 冒頭の説明によると、本によって作られた世界があり、その本の力を巡って今でも争いが起きている。
  • 主人公の幼少期の回想でも本の世界が開いた。
  • そこで幼馴染と思われる女の子がその世界に吸い込まれた。
  • 本の世界が開いた日に謎の人物から不思議な本(セイバーのワンダーライドブック)を託される。
  • 当の主人公はそのときの記憶を失っている(と思われる)。しかしベルトの使い方は知っている。
  • 不思議な本はファンタジーのような世界と現実世界を繋げることができる。
  • 本の力を悪用する者達は仮面ライダーカリバーを中心に集団で行動している。
  • 敵怪人は巨大化する上にフィールド操作で本の世界にワープできる。
  • 本の世界の様子は写真に撮っても記録に残らない。
  • 第1話の最後に2号ライダーが青いライオンに乗って主人公の本屋を訪れる。
  • 冒頭と結びに出てくる謎の解説おじさん。

 

……という具合に、情報量がとにかく多いです。謎の解説おじさんは本当に何者なんでしょうか。

沢山挙げたつもりですが、多分見落としている部分もあると思います…。

 

この点に関しては、プロデューサーとシリーズ構成の前作である「ゴースト」のような情報の出し惜しみはしないぞという気概も逆に感じますが、「セイバー」の場合は1話でこれとなると処理と理解に時間がかかりそうです。

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「ゴースト」は劇中の設定を理解するのにYouTubeのショートドラマや劇場版を見ていないとついていけない部分があったり、話自体も主人公タケルの復活のしすぎや終盤の展開がイマイチ盛り上がらないなどでかなり賛否が分かれ、個人的にも控えめに言って高く評価しているとは言い難い作品でした。ただ、Vシネマや小説版は重厚なストーリーと本編の伏線回収がなされており面白いと思います。とはいえ、『それくらい本編でやって欲しかったよー!』と思う部分も多く(特に小説版)、結局本編そのものの物足りなさは解消されませんでした。それでも、世界観自体はかなり作り込まれていたことは伝わってきました。

 

「セイバー」も「ゴースト」に負けないくらいの情報量があると感じますが、今は2話以降でそれらの情報をどう綺麗に整理していくのかが見ものだと思います。なので、これからも楽しみに見ようと思います。第1話から衝撃的な面白さがあることも大切ではあると思いますが、自分はむしろ掴みはともかく2話以降で描写や伏線を積み重ねて盛り上げていく作品の方が成功すると考えているので、「セイバー」もそうなることを願っています。

 

というわけで、今回は令和2作目のライダー、「仮面ライダーセイバー」の第1話の感想を書きました。平成のシリーズである「響鬼」や「キバ」、「ウィザード」もファンタジー色の強い作品でしたが、今回はそれら以上にファンタジーしていると思います。少し心配な点もありますが、これから先も楽しみです。

 

それでは感想のまとめです。

  • 主人公は良いキャラしている。
  • ファンタジー世界の見せ方はとても美しい。ただし予算が心配。
  • 第1話から情報量が多い。
  • その情報を2話以降でどう綺麗に整理するか、そのやり方次第では良作になれると思う。

以上になります。

まだまだ明かされていない設定が控えているのでしょうが、第1話でかなり風呂敷を広げたような印象を受けます。初見で『これは面白い!』とはなりませんでしたが、それらの設定をどう使うかを楽しみにしたいと思います。

 

あと、セイバーもまたバトスピのカードになりました。

 

こちらはまだ先行登場みたいな扱いです。「セイバー」という作品自体が本格参戦するのは12月ごろからでしょうか。

 

先程も書きましたが、ただでさえ多い情報をこの先どうまとめるのかが気になります。そのやり方次第ではおそらく良作になれるでしょう。

 

それでは、今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!