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「“今”と“その先”を想う気持ち」虹ヶ咲アニメ11話『みんなの夢、私の夢』感想

 虹ヶ咲アニメも11話、ストーリーも終盤に到達します。今回は主人公・高咲侑とその幼馴染・上原歩にスポットを当てた話でした。

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 そして、ストーリーが終盤に向けて加速する起爆剤が用意された怒涛の展開も見られました。

 

 今回の話も、前回に引き続きサブライターの方がストーリーを買いていました。

 

 今回の記事は書きたいことが多過ぎたせいかいつもより長くなってしまいましたが、ご了承ください。それでは前置きはこのくらいにして、本題に移りたいと思います。

 

目次

 

内容の振り返り

①みんなの夢~広がる“大好き”の輪~

 前回第10話でスクールアイドル好きみんなが楽しめるお祭りのような企画、スクールアイドルフェスティバル(以下スクフェスを開催することを目標に定めた侑と同好会のみんな。まずはその申請のために発案者の侑と同好会(自称)部長のかすみが生徒会に話をつけに行きます。

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 そこで生徒会副会長がスクールアイドルを知らないということで、生徒会長の中川菜々が『学生が部活としてアイドル活動を行うもの』と親切丁寧に教えてくれました。その前にもかすみが説明しようとしてくれましたが、『元気で可愛いかすみんのことで〜す』といきなり自己紹介を始めてしまったため副会長には伝わりませんでした。

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 そこで菜々が副会長からスクールアイドルにやけに詳しいことを指摘されて焦っていました。普通に自身がスクールアイドル・優木せつ菜その人あることがバレるのを恐れていたのでしょう。

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 申請書の内容はというと、内容が漠然としていることやどこの学校と合同でやるかを決めていないこと、そもそも開催場所を定めていないことを指摘されました。


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 侑はというと、その指摘された部分を具体的にすれば申請を通してもらえると前向きです。一方、副会長も『楽しいライブになりそうですね』と侑達の背中を押してくれました。

 

 申請を通してもらうために、同好会のみんなは会場探しを始めました。


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 みんなが巡った場所は今までの話で登場した場所で、同好会の活動を少しずつ振り返っているような感じもありました。

 会場探しの途中でも、かすみは『ファンの皆さんと近い方がいいです』、エマは『自然の中で歌いたいな』、愛は『街の中で歌いたい』とこれまたバラバラな願望を話していました。

 

 他校との打ち合わせにて。合同でスクフェスに参加する学校を募るべく、東雲学院と藤黄学園のスクールアイドル部に話をつけにいきました。どちらも参加には積極的で、すぐにOKしてくれました。

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 このとき、第9話で虹ヶ咲をDiver FESに誘った姫乃が果林と共にステージに立てることを喜んでおり、仲間の美咲に果林のファンであることをカミングアウトされました。それを知った果林がすかさずファンサービスをしてくれました。

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 会場が決まりきらない同好会は最終手段に出ます。かすみが『かすみんボックス』なるかすみ顔のダンボーのようなものを作って、そこにファンのみんなからスクフェスの会場を決めてもらおうとしていました。

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 しかし、誰もそこに何も入れていませんでした。

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 そこで愛が機転を利かせ、具体的にどんな要望を入れてほしいのかを書いた紙を箱に貼り付けます。しかしその結果、かすみんボックスというよりは、貼り紙がボードに見えるせいか『璃奈ちゃんボックス』という感じになってしまいました。


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 みんながかすみんボックスを置きに行った中で、璃奈がスクフェスのホームページを作っていました。そこで、第6話で仲良くなったクラスメイト達が焼き菓子同好会で作ったクッキーを差し入れに来てくれました。

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 クラスメイト達もスクフェスの話は聞いており、それをクラスの他のみんなにも話していいかと璃奈に言っていました。


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 璃奈もまた、第6話での成長やライブを通してクラスメイトに“大好き”の輪を広げていった1人です。それから、クラスメイト達が璃奈のことを6話の頃の『天王寺さん』呼びから『璃奈ちゃん』呼びに変わっているところもポイントです。ここでのやりとりが、おそらくこの後の展開につながっていると思います。

 

 しばらくすると、かすみんボックスにはたくさんの意見や要望が入っていました。

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 どうやら口コミでスクフェスの話題が生徒中に広まっていたみたいです。おそらくここで寄せられた意見を参考にして、会場も決したと思われます。

 そして、申請書の方もまとまったらしく、生徒会室に再度申請に行きました。

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 かすみんボックスには、スクフェスへの要望だけでなく、同好会メンバーへの応援メッセージも寄せられていました。

 まずはバスケ部の人と思われる人物からのメッセージ。

彼方ちゃんの歌によって励まされていて、インターハイに出られました。フェスが開催することになったら、何かお手伝いがしたいです。 


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 普段から様々な娯楽に励まされ、次の日も頑張る糧にしている我々にも重なるワンシーンです。

 

 続いて、服飾同好会の人からのメッセージ。

エマさんのPVに毎日癒されています。たくさん着せたい衣装があるので、フェスが実現するのを楽しみにしています。


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 璃奈の友人がいる焼き菓子同好会からも、応援のメッセージが来ていました。

スクールアイドル同好会が大好きで、クッキーも作っちゃいました。フェスがあるなら、みんなにも食べてもらいたいです。


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 10話の感想でも触れましたが、虹ヶ咲のアニメは一般人のスクールアイドルに対する反応や応援が細かく描写されている部分も面白いです。ある意味、高咲侑という視聴者目線のキャラがメインメンバーとして登場しているからこそできることでもあると思います。さらに、スクールアイドル同好会が知らず知らずのうちに広げてきた“大好き”の輪が、スクフェスに向けての大きな力になっているということを、お便りを読むシーンでなおさら実感できました。

 みんなからの応援メッセージを見て、侑は『本当にスクールアイドル好きのみんなが楽しめるにはライブをするだけじゃない』と気がつき、かすみも『応援してくれるみんなのやりたいことも叶った方が絶対楽しいじゃないですか』と侑に賛同しました。第2話で『かわいいもカッコいいも共存できる場所』を目指すと決めたかすみの夢もまた、際限なく広がっていることの表れです。そして、肝心の会場も、希望が出た場所全てにし、街全体を巻き込むものにすると決めました。その理由は…

色んなところで色んなアイドル達が自分らしいライブを披露する。そして、スクールアイドルが大好きな人達も自分の好きを自由に表現できる。みんなの夢が集まって、それを全部叶える場所、みんなが好きになってくれたスクールアイドル同好会らしいフェスの形ってそういうものだと思うんです。

 それを聞いた副会長は、自分からはもう何も意見はないとし、会長の菜々の方は申請書に承認のハンコを押しました。

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 スクフェスの構想がより具体性を増したところで、副会長も参加してみたいと手を挙げました。

 実は、副会長はスクフェスの話が持ち込まれたその日、スクールアイドルについて調べていたそうです。好きなスクールアイドルは優木せつ菜だそうです。

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 よりによって副会長がファンになってしまったせつ菜は、正体バレをさらに危惧します。ひとまずこれで、スクフェス自体は開催できることになりました。

 

②侑の夢と歩夢の本懐

 ここからは侑と歩夢の話に移りたいと思います。

 歩夢については、前回の第10話で侑がスクフェスの話をした時にみんなは一致団結ムードの中で1人だけ乗り切れていない様子を見せていました。その上せつ菜と侑が距離を縮めているかのような様子を目の当たりにして、侑が遠くへいってしまうのではないかと恐れているのだと思われます。

 

 さらに、ここでは街の風景やオブジェクトを2人の心情を表現する演出に使っているところも印象的でした。

 

 まず、東雲と藤黄との打ち合わせの前のバス停のシーンです。侑はバスに乗ってスクフェスの打ち合わせに向かうのに対し、歩夢はバス停に残って1人俯きます。侑が向かう場所のこともあって、2人の心の距離を表現しています。

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 璃奈がクラスメイトからもらった虹をかたどったクッキーが、ちょうど歩夢のイメージカラーでもあるピンクの部分が欠けていたのも、同好会のみんなが先へ進んでいる一方て歩夢だけ違う方向を向いていることを示唆していたようにも思います。

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 かすみんボックスが登場した日の放課後は、歩夢は部室で1人佇んでいました。

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 彼女の視線の先に映るのは、第1話で侑に『私の夢を一緒に見てほしい』と渡したパスケース。歩夢はただ、侑と一緒に夢を追いかけたいと思っていたのに侑の方は夢が際限なく広がっていく、つまり歩夢の時間は第1話で止まっていたとも受け取れます。


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 その日の帰り道では、意味ありげに分かれ道の標識が映されており、2人の道が分たれたことを表していました。

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 生徒会にスクフェスの申請が通った日の放課後は、歩夢がジュースの買い足しを口実に部室を離れようとするとせつ菜もついていくと言い出しました。歩夢としては侑についてきてほしかったのか、今一番2人きりになりたくない人物についてこられて少し嫌がっているのか、残念そうな表情を浮かべていました。

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 せつ菜との会話にて、合宿の夜、2人は何をしていたのか聞くと、侑が音楽室でピアノを弾いていたことを聞かされました。せつ菜は『新しい好きが生まれるって素敵ですよね』と嬉々として語っていましたが、それは歩夢も知らない侑の姿でした。歩夢と侑は、今までの話でも幼き日の思い出話をするなど、ずっと一緒にいたことが触れられてきました。そんな歩夢が知らない侑の姿を、よりによってせつ菜に見せていると知ったことは相当こたえたようです。別にせつ菜は悪いことをしているわけではないため彼女を責めることなどできず、それでも精神的にこたえる出来事に遭ったという状況は辛いと思います。

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 家に帰った後、侑から自分の部屋に呼ばれました。

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 侑はそこでピアノのことについて歩夢に明かしました。部屋にあったのはピアノというよりキーボードでしたが、少し前から手に入れて練習を始めたそうです。ちなみに、キーボードの上にはヘッドホンも置いてありました。マンション住まいなため、他の住人に対する配慮なのでしょうが、そのために歩夢が侑がピアノを弾いていることを知らずにいたのだと思います。

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 侑が自分の見えない努力をせつ菜には見せていたことについて、歩夢は『せつ菜ちゃんの方が大事なの?!』と詰めますが、侑は『違うよ』即答します。

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 この場合の違うよとは、歩夢よりせつ菜が大事なのかという問いについて、歩夢が不満の不満の原因を彼女の言動から理解した上で『今はそういう話をしたいんじゃない』という意味なのだと思います。そして即答ができたのも、ブレブレな歩夢に対して侑は何かが定まっているからなのかなとも思いました。実際、侑はある大事なことを歩夢に伝えるために彼女を部屋に呼びました。

 『歩夢に伝えたかったのは、その先のこと』と続け、そこから侑のターンに入り歩夢の誤解を解く………

 

 ………と思っていた時期が自分にもありました。

 

 『私ね、夢が…』と言いかけたとき、『いや!』と遮られ、侑はソファーに押し倒されてしまいます。

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 『私の夢を一緒に見てくれるって言ったじゃない… 私、侑ちゃんだけのスクールアイドルでいたい。だから、私だけの侑ちゃんでいて…』と続けました。

 

 この時に歩夢のスマホが侑のスマホに覆い被さっている演出も背筋が凍りました。

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 スマートフォンといえば、ある意味外の世界とお手軽につながれる代物であり、際限なく広がる侑の夢よりも、ただ一緒にスクールアイドルがしたいだけという心情は伝わってきます。

 また、足を絡ませるシーンがあり、まさか「ラブライブ!」のアニメでそんな生々しいシーンを見るとは思いませんでした。

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 こうして歩夢の葛藤を抱えたまま、11話は幕を引きます。

 

感想・総括

 「ラブライブ!」でこうも生々しい描写を見るとは思いませんでした。虹ヶ咲は初見だよという人の反応が気になります。

 侑としては、ピアノのことを話していなかったのも、歩夢を蔑ろにしていたわけではなく、もっと上手くなった段階で話そうとしていたのではないかと最後の会話シーンから考えられます。

 歩夢と侑の最後のシーンについては、男性視聴者からは恋愛感情や性愛、またはそれに近い物、いわゆる『百合』として捉える声が多かったのに対し、女性視聴者の中では『自分も似たような経験があった』『女の子同士の複雑な友情をリアルに描写している』といった声が上がっていました。この描写については、性別ごとに意見が違う部分にも驚きました。だから、必ずしも恋愛感情やそれに近いものが絡んでいるとは言い切れないとも思います。これについては、「クズの本懐」というアニメが女性視聴者からの共感の声が多かったことを思い出しました。ちなみに「クズの本懐」の方は男女間、ときに女性同士の恋愛感情を通して人間の負の面を描写する作品であり、「ラブライブ!」シリーズである虹ヶ咲とは題材が全く違います。

 それよりも今まではずっと当たり前だと思っていた侑との日常が、侑がスクフェスなどで際限なく夢を広げていくことで崩れていってしまうのではないかと恐れているのだと思います。また、2人の夢のすれ違いの例え話をするなら、侑はせつ菜が撒いた種から育った作物の味をもっと色々な人に広めたがっているのに対し、歩夢はその作物を侑と一緒の畑で共に育てて味わいたいのかなと思います。

 今までの話でも、かすみが侑に抱きつくところに困惑したり、侑がエマと写真撮影がしたいといった時に真っ先に自分も一緒に撮ると言い出したりするなど、歩夢が侑に対していわゆる正妻ポジをキープしたがるかのような描写はありました。それでも無意識に侑と自分はずっと一緒にいられると思っており、これからもそれが続くと思っていた中でせつ菜と侑の合宿での様子を見た上にスクフェスの話も持ち上がり、歩夢は焦っているのだと思います。思えば歩夢自身も、同好会では侑以外の人物と仲良くしている、仲良くしようとしている描写があまり見られなかったこともあり、それゆえにどうしても侑に執着してしまう部分もあるのでしょう。ただ、歩夢の理由も行き場もない嫉妬心をここまで生々しく表現したことは評価します。

 そして、ここで侑が歩夢に言おうとしていたことこそ、おそらくこの話の本旨であり歩夢の心を救う鍵になる思うので、次回の展開を待とうと思います。

 

 歩夢と侑のシーンに持って行かれた感じはしますが、スクフェス準備サイドでのシーンの数々もとても大切であると自分は考えています。虹ヶ咲の生徒達がスクールアイドルフェスティバルに協力したいというメッセージを送ってきたことや、スクールアイドルを知らなかった副会長がせつ菜のファンになっていたことなどは、まさしく第10話で侑が言っていたスクフェスを通して新しい大好きが生まれる』ということを体現して見せていると思います。また、色んなスクールアイドルがそれぞれの場所で自分らしいパフォーマンスを披露するという発案は、カッコいいも可愛いも共存するための同好会のソロ活動の方針の発展形でもあると受け取れます。その他にも、スクールアイドルが好きな人達が自分の好きを表現するという部分も、ファンとスクールアイドルの垣根を越えるという主張につながっていると思います。

 

 ここからは余談になりますが、個人的にはさらに見てほしいシーンが一つあります。

 せつ菜がスクフェスの申請書に承認のハンコを押す直前のシーンです。この時のせつ菜はとても嬉しそうな表情をしており、副会長にスクフェスを承認しても良いかと聞かれたときに間を置いているのが特徴です。

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 一度は自分の大好きを追求するあまり、仲間を傷つけ挫折してしまったせつ菜のスクールアイドル活動が、侑のトキメキを誘発し、同好会を再び始め、やがてスクールアイドルという大舞台につながっていったことで、せつ菜の頑張ります無駄ではなかった、それどころか、そこからさらに“大好き”の輪が広がっていくという実感を得られ、せつ菜推しの自分はとても心にくるワンシーンでした。せつ菜のスクールアイドル活動も、ある意味一つの形として報われたのだなと思いました。

 それから、正体を誤魔化そうとするシーンも可愛かったです。

 以上、せつ菜オタク全開の話でした。

 

next虹ヶ咲

 次回のタイトルは『花ひらく想い』。文字の色が歩夢のイメージカラーであるため、次回で歩夢と侑の話に決着がつくのでしょうか。また、このタイトルからして、歩夢の持ち歌の一つである『開花宣言』を連想します。

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 この話に関しては、当然侑とせつ菜に非があるはずもなく、歩夢が1人で乗り越えなければならないという部分が苦しいところですが、次回も楽しみにしています。

 

 それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

『あなただからできること』虹ヶ咲アニメ第10話「夏、はじまる」感想

 虹ヶ咲のアニメも第10話を迎え、いよいよ終盤に入りました。今回の第10話は、スクールアイドル同好会の合宿回であり、“アニメのあなたちゃん”こと主人公・高咲侑の実質的な個人回でもありました。そのためか、今回は虹ヶ咲アニメでは初のライブシーンがない回でした。

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 今回のお話は第5話ぶりにサブライターの伊藤睦美さんが脚本を担当しました。

 それでは、前置きはこのくらいにして本題に移ります。

 

目次

 

内容の振り返り

 期末テストを終え、夏休みムードに突入しかけている同好会メンバー達、かすみの点数はとても悲惨でしたが、スクールアイドル同好会としての活動も何かしらしなければならないため気持ちを切り替えていきます。

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 夏休みに入ったということで、第9話の頃から触れられていたある計画を実行に移します。すなわち、合宿です。

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 合宿はせつ菜の発案であり、そのせつ菜自身が合宿に行くにあたってどうやって厳しい親の目を誤魔化せたのか、せつ菜推しとしては気になりますが、次回以降で触れられるのでしょうか。

 

 オープニング明けで同好会のみんなは合宿の場所に行きます。しかし、そこはいつもの虹ヶ咲学園の校舎でした。


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 しかし、校舎と敷地そのものの規模が大きいこともあり、寝泊まりできる場所も充実していました。どうやら研修施設であるみたいです。同好会一同はその施設の和室に泊まることにしました。

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 宿に着いた時間はだいぶ遅かったらしく、夕飯タイムに入ります。彼方が焼いているピザが、さすがライブデザイン科という感じでとても美味しそうです。

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 一方で、せつ菜も夕飯作りに参加していましたが、彼女は料理がとても下手らしく、キッチンでダークマターを生成していました。


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 ちなみにそのダークマターは彼方の手によって食べられる程度の味に仕上がり、食品ロスを防ぐことができました。

 

 夕飯のシーンにて、『楽しくて合宿だってことを忘れちゃいそう』、『たまごパーティーがしたい』などとみんながお遊びムードに入りかけている中でせつ菜が『自分達の合宿は普段やらない練習やこれからのライブの予定を練るためにある』と再度合宿の目的を確認させたのに釣られて侑が9話のDiver FESでの出来事を振り返っていました。それを受けて、まずはかすみが『かすみんのめちゃかわパワーで、お客さんをメロメロにしちゃいます』、続いてしずくが『自信を持って自分を表現したいです』、彼方が『彼方ちゃんはベッドの上でリラックスしたいなぁ』、愛が『ライブでダジャレをぶちかましたい』、エマが『来てくれた人達と手をつないで踊ったりしたいな』、璃奈が『オンライン中継で離れた人ともつながりたい』、果林が『Diver FES以上に本気の私を見せるつもりよ』、せつ菜が『私は、私の大好きを叫びたいです』、歩夢が『ステージに立つだけで胸がいっぱいになっちゃいそう』と、皆次々にバラバラな願望を言っていました。侑はそんなみんなのことを『バラバラだ』と言いながらも、『個性がぶつかり合ってお互いを刺激し合えるような』楽しいライブができそうだと言いました。ソロの集まりでそれぞれの方向性が違う虹ヶ咲だからこそ、侑のような非アイドルの目線でみんなを客観的に見てくれるサポートメンバーが光るのかなとも思えます。

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 侑の発言を受けて、せつ菜も『バラバラな私たちだからこそできるソロステージの集合、そんな虹ヶ咲のライブがしたいです』とまだ見ぬ次のライブへの熱意を高めていました。それに続いて愛が『ゆうゆ(侑のあだ名)はどんなライブが見てみたい?』と聞くと、『私は、みんなのライブが見れるだけでときめいちゃう』と答えました。こうしてスクールアイドルメンバー達にただ純粋でまっすぐな好意や応援の気持ちを向けているところも、侑の好感が持てる部分だと思います。

 

 夕飯の後の皿洗いは、侑と歩夢が一緒にやっていました。

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 皿洗いの最中に二人は小学校の林間学校のことを思い出す、などと思い出話に花を咲かせていました。歩夢が侑に『これからもずっと一緒にいたりして』と言うと侑が『よろしくね、歩夢おばあさん』と茶化すなど、高齢になっても仲良くしていくつもりらしいことが伺えました。

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 同好会が泊まる部屋ではかすみ、しずく、璃奈の1年生組が合宿の定番(?)であるおばけに扮装してみんなを驚かす遊びのために部屋を留守にしていました。一方で、侑の姿もありませんでした。

 侑はどこに行っていたのかというと、夜の学校の音楽室のピアノでせつ菜の持ち歌の一つ『CHASE!』を弾いていました。

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 同好会のみんなが、それぞれ自分のやりたいことがはっきりしているがために、自分も何かしたいと思っていました。そのためかピアノもみんなの見えないところで練習していたらしく、第3話でぎこちなく単音を弾いていた頃に比べて上手になっていました。それもそうですが、『CHASE!』は侑が自分をスクールアイドルの世界に引き込んでくれた曲ということもあり、彼女の中では本当に特別な存在であることがわかります。

 ピアノを弾いているところを、侑を探しに来たせつ菜に見つかり、そこから2人は話を始めます。ここでのせつ菜と侑の会話が大変印象的でした。

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 せつ菜は侑に、『私が今スクールアイドルを続けられているのは侑のおかげです。侑さんの言葉がなかったら、きっと私は大好きを叫べないまま自分を押し殺して生きていました。私の大好きを受け止めてくれてありがとう』と話していました。侑もせつ菜に、『せつ菜ちゃんやみんなの歌を聴くと、すっごく元気がもらえるんだ』と言いました。せつ菜もまた、『いつか侑さんの“大好き”が見つかったら、今度は私に応援させてください。侑さん自身の大好きを』と言いました。

 せつ菜と侑の関係は、大好きを発信するアイドルとそれを受け止めるファンといった感じで、個人的に虹ヶ咲でとても好きな要素の一つです。そして今度は侑自身の大好きをせつ菜の方から応援したいという流れになるのもまた美しく思います。ファン目線のキャラである侑だからこそ、第3話で期待の呪縛に囚われていたせつ菜を救うことができたと思っているので尚更です。

 

 部屋へ戻る途中、せつ菜が転びそうになったところを侑が抱き止めて支えます。

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 その様子をなんと、せつ菜と同じく侑を探しに来た歩夢に偶然見られました。

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 一見するとイチャイチャしているように見えてしまう2人の様子を見る歩夢の表情は不安げに曇っていました。

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 部屋にて、かすみ達が部屋にいるメンバーを驚かそうと帰ってくると、果林、彼方、エマに、逆に驚かし返されてしまいました。それをせつ菜に叱られた後、みんなは寝る時間に入りました。この時かすみがいたずらを仕掛けようとしたところ、眠ったままのせつ菜が枕を投げてきたため阻止されました。せつ菜は『ねごと(ポ○モンの技の一つ)』を覚えているか、雷の呼吸の素質が備わっていそうです。


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 歩夢はというと、皿洗いのときに『ずっと一緒にいるのかな』と侑と話し合っていた後でせつ菜と侑が仲睦まじそうにしている現場を見てしまったためか、寝ているときもどこか不安そうな顔つきをしていました。このときの歩夢はおそらく、侑の関心が幼馴染の自分から遠のいていってしまうのかもしれないと考えていたのかもしれません。

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 翌日から練習が本格的始まりました。最初はランニングをしていましたが、単調な練習に皆飽きてきたためか、かすみの機転で鬼ごっこに以降しました。鬼ごっこの内容はケイドロ(またはドロケイ)であったらしく、侑は鬼役の彼方に捕まって牢屋(に見立てた部室)に囚われてしまいました。

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 牢屋という名の部室にて、侑はパソコンでスクールアイドルの動画を見ていました。内容は、Diver FESにおける果林のライブと、東雲学院、藤黄学園のライブでした。

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 Diver FESが自らのチャンネルを持っていたことと、果林の動画が何気に10万回も再生されているのは驚きです。

 それはさておき、侑は東雲学院と藤黄学園の動画のコメント欄もチェックしていました。今までのシリーズに比べ、ネット上と現実含めて一般人のスクールアイドルへの反応が細かく描かれているところも虹ヶ咲アニメの面白い部分だと思います。

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 それらの動画をみて、侑は何かを思いついた様子を見せました。

 

 ランニングでみんな汗だくになったため、夜は学内のプールでリフレッシュしました。ここにきて水着回の需要も満たしてくれました。


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 みんながはしゃいでいる中で、侑と歩夢が2人で何か話していました。

 侑は歩夢に、『スクールアイドルの夢を一緒に見てくれるって言ってくれたの、すごく嬉しかった。あのとき歩夢が勇気を出してくれたおかげなんだ。歩夢の夢を一緒に追いかけて、今の私がいる』と第1話の出来事を振り返りながら話していました。

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 こうして歩夢の侑に対する『自分への関心が薄れている』という誤解は解けた…とこのときは思っていました。

 侑がその後に、『そして、みんなも』、『周りにどんどん広がっていって、スクールアイドルが好きな人達が集まって、いつのまにか大きな力になってた。ありがとう歩夢』と続けたため、歩夢は再び不安げな表情を浮かべました。

 

 そうこうしているうちに、お台場の夜空に花火が上がり、みんなの関心がそちらに向いたところで侑がある提案を出しました。

『スクールアイドルもファンも、全部の垣根を超えちゃうような、ニジガクとか東雲とか藤黄とか関係なく、スクールアイドル好きみんなが楽しめるお祭りみたいなライブ。 知らなかったスクールアイドルに出会ったり、ファンの熱い声援に勇気をもらえたり、そこにいるみんなの心が強く響きあって、新しい“大好き”が生まれる。 そういう場所でみんなにも思いっきり歌ってほしい!』

 

『アイドルじゃない私だからできることもあるって思うから。 私もそこから何かを始めたい!』

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 『スクールアイドルとファンの垣根を越える』という部分を押し出すところも、ファン目線の主人公である侑らしい一面であると思います。みんなも侑の提案に乗ってくれました。

 そして侑はこの催しを、スクールアイドルのお祭り、『スクールアイドルフェスティバル』とここで名付けました。おそらく、前回の『Diver FES』にインスパイアされたネーミングでもあるのかなと思います。3話でラブライブ大会には出なくても良いとしましたが、ここでまさしくラブライブに出なくてもスクールアイドルが輝ける場所を作れるという着地点に持って来れたのは見事です。

 スクールアイドルフェスティバルに向けてメンバーは一致団結……と思いきや、歩夢だけは先程の出来事もあってか、いまいち乗り切れていない様子で第10話は幕を閉じました。

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感想・総括

 まさか、アニメの時空でもスクールアイドルフェスティバルを開く展開になるとは思いませんでした。おそらくこれが物語終盤のキーになるのでしょう。

 今回の話では、高咲侑という人物が第1話以上に鮮明かつ詳細に見えてきました。今後の活躍にも期待したいです。

 思えば虹ヶ咲のアニメの第1〜9話までは、第5話までに仲間集めが完了し、第6話からはファンタジック演出ではなく実際のステージでのライブシーンが増え、他校との繋がりも増えるという物語のスケールが少しずつ広がっていくという構成になっていました。彼方の妹・遥のスクールアイドル設定を残した上で他の東雲学院の面々や藤黄学園の面々と共に登場させたのも、単なるファンサービスではなく第10話で物語が転換点を迎えるにあたっての布石であったと思います。スクールアイドル同好会のみんなのパフォーマンスを見てきて、他校とのつながりも得た侑だからこそ、スクールアイドルフェスティバルの提案を出せたのかなと思います。第1〜10話はまさに、第1話で述べていた『夢に向かって頑張る誰かを応援できたら何かが始まる気がする』というところから、同好会のみんなとの交流を通して侑自身がやりたいことを見つけるまでの話でもあったと思います。

 そして、スクールアイドルフェスティバルという名の一つの『みんなで叶える物語』の中心になってみんなを巻き込んでいく姿は、アイドルキャラでこそありませんが高咲侑も紛れもない「ラブライブ!」主人公と言えるでしょう。虹ヶ咲のラブライブ大会に出ないスクールアイドル活動も単なる自己満足ではなく、スクールアイドルフェスティバルを通して、せつ菜から侑と同好会メンバーへ大好きが繋がっていったように、他の誰かに“大好き”のバトンを繋いでいけるようになるという部分が素晴らしいと思います。その一方で、今までの主人公とは違い、アイドルキャラとの交流を深めて物語がある程度進んだところで自分のやりたいことを見つけるという部分も新鮮であり、ファン目線の主人公らしい部分でもあると思いました。また、ピアノが上達していたことも、今後の展開に関係してきそうなので楽しみです。

 

next虹ヶ咲

 スクールアイドルフェスティバルに向けて一致団結ムードがある中で、1人だけ気が進まなさそうな様子の歩夢。第11話のサブタイトルの文字はピンクも混ざっており、彼女の葛藤はそこで解決されるのでしょうか。幼馴染の侑の夢が際限なく広がっていく中で、ただ侑と一緒のスクールアイドルの夢を追いかけたかった歩夢とは気持ちのすれ違いが生じていると思います。

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 そして、予告のせつ菜の表情が何やら気になりますが、彼女も何かあるのでしょうか。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

『未来に残していけるのは?』鬼滅の刃最終巻・幾星霜を煌めく命感想

【注意】この記事には「鬼滅の刃」最終23巻の重大なネタバレが含まれます。

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 吾峠呼世晴先生による漫画、「鬼滅の刃」の最終23巻が2020年12月4日に発売されました。今回はその巻に収録された最終回のお話を軽くしたいと思います。冒頭にも書きましたがネタバレ注意です。

 それでは本題に移ります。

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目次

 

最終回の内容の概略

 物語の時系列は鬼殺隊と鬼舞辻無惨の決戦から100年以上経った現代に話が移ります。そこでは人を食う鬼は存在せず、誰もが平和に過ごしています。主人公・竈門炭治郎達の子孫もいる他、本編で帰らぬ人となってしまった人物の転生した姿と思われる人々も登場します。

 

最終回について思ったこと

 「鬼滅の刃」の最終回では、善逸の子孫・義照が善逸の残した戦いの記録(善逸伝)を読んでいたり、単行本の加筆版では炭治郎の子孫・炭彦が祖母から鬼退治の話を聞いていたりと、炭治郎達の活躍が昔話のように語れています。しかし、炭彦は兄・カナタに『鬼なんていない、おばあちゃんは嘘をついてある』と言い捨て、善逸伝に至っては義照の姉・燈子に『嘘小説』呼ばわりされる始末です。おそらく最終回の時系列では人食い鬼も鬼殺隊さえも昔の出来事として忘れ去られており、みんな何気なく暮らしているのだと思います。しかし、人を食べる鬼が存在せず、誰も理不尽に命を奪われない何気ない日常こそが大事であり、鬼殺隊のみんなが命を賭してまで守りたかったのはそんな日常だったのではないかと思います(この際殺人事件や戦争、貧困で理不尽に命を奪われているなどの現実的な問題とは区別して考えるものとする)。鬼殺隊のみんなは誰かの人生が理不尽に奪われることを良しとせず、多くの人がそうならないように戦ってきました。そういう意味では、産屋敷が言っていたように人の想いこそが永遠という理念を体現した最終回であったと思います。

 

鬼は救われない、救えないのか

 「鬼滅」最終回は現代まで時代が飛び、本編で死亡した人の生まれ変わりと思われる人物が多数登場しましたが、鬼のメンバーは生まれ変わりがありませんでした(キメツ学園で救われてるからセーフと突っ込んではいけない)。ジャンプ本誌で自分が最終回を読んだ時は、『1000年以上人を殺し、また他人を鬼にして人を殺させてきた無惨はどうしようもないけど、鬼になったことを最終的に悔いて散って行った累や猗窩座、黒死牟、それから珠世、人間時代に生まれ育った環境や境遇が悲惨なために悪の道に走ってしまった妓夫太郎兄妹や響凱(鼓の人)は救ってやってもよかったのではないか』と考えていました。しかし、彼らを救うとなると、童磨や玉壺、半天狗のような人間時代から悪事を重ねてきたりどう考えても危ない性格だった人も同じ扱いになるのかなという気がしました(玉壺の過去はファンブックを参照)。これについては、どんな背景や理由があっても人を殺してはいけない、他人の人生を理不尽に奪ってはいけないという無言のメッセージでもあるのかなと思いました。

 一方、珠世に付き添っていた鬼の青年・愈史郎はというと、画家として現代まで生きており、大好きな珠世様の生き様を絵で表現し続けています。珠世のことはこうして忘れて去られることはないというのは愈史郎から珠世への救済だと思いますし、珠世を失っても生き続けている愈史郎自身もとても強いと思います。

 また、単行本の加筆版最終回では、炭治郎の子孫・炭彦も、『神様はきっと鬼も許してくれる』と言って鬼達の冥福も祈っている様子が見られました。

 

最後に

 そんなこんなで「鬼滅の刃」は最終回を迎えました。吾峠先生にはひとまずお疲れ様と言いたいです。

 最終回について、自分は100%納得しているかと言われるとそうでもなく、『痣の発生機序についてもっと掘り下げるべきだった』、『青い彼岸花は鬼の根源でキーになりそうだったのにそうでもなかった』といった未回収の伏線についてのことや、『正直子孫組や生まれ変わりメンバーの話よりも炭治郎達の祝言とかの方が見たかった(願望ダダ漏れなどと色々思うところがあった点もいくつかあります。ただ、話全体を通して言いたいことは何となくわかったと思いました。それがおそらく、この記事本文で自分が書いたことに当たるのかなと思います。ただし、自分としては鬼のみんなも何かしらの形で救ってほしかったなという本音もあります。

 それでも、1000年以上無惨と戦い続け、やっと無惨を倒せた鬼殺隊のみんなや産屋敷家の人たち、炭治郎や禰豆子達のことは素直に讃えたいと思います。

 それから、炭治郎達がしっかり子孫をのこして、その子孫も平和に暮らせているところは素直に嬉しかったです。一方で、亡くなったメンバーが転生していてもそれはよく似た別人でしかなく、失った命はやはり回帰しないという無常感に近い気持ちも感じました。特に悲鳴嶼の生まれ変わりはオリジンと違って目が見えてます(???『貴様は目が見えているだろう』)。そんな平和の時代で、鬼も鬼殺隊も全て過去の出来事になってしまっている本当の意味で昔話になってしまっているという部分も、本編を最後まで読んできた読者としてはノスタルジックな雰囲気すら感じ取れます。

 余談も余談ですが、産屋敷の息子である輝利哉について、『お母さんとお姉ちゃんまでお父さんと一緒に自爆してよかったの?』と少し可哀想な気はしましたが、裏を返せば鬼をちゃんと倒して現代まで移行して、子供が子供らしく過ごせる時代にもなれたのかなとも思いました。それから、義勇が現代に子孫を残していたのは何気に驚きました。口下手で言葉足らずな性格の彼と結婚してくれる女性がちゃんといてよかったですね。ちなみにサイコロステーキ先輩は転生してませんでした。

 

 繰り返しになりますが、吾峠先生、お疲れ様でした。次回作も楽しみにしています。

『競い合い、支え合える場所』虹ヶ咲アニメ第9話「仲間でライバル」感想

 虹ヶ咲のアニメも9話になり、ここで一応全員分の個人回を全て終えました。同好会メンバー全員分の当番回のトリを務めたのは、3年生メンバーでセクシーお姉さん系スクールアイドルの朝香果林です。

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 今回の第9話は、第6話から2週間ぶりにメインライターの田中仁さんがお話を書きました。前置きはこのくらいにして、内容の振り返りと感想に移ります。

 

目次

 

内容の振り返り

 冒頭は果林のモノローグから始まります。果林は(おそらく)同好会のことを、『本当の弱い私を抱きしめてくれた場所』と評していました。第5話でエマに同好会へと誘われた出来事も関係しているのでしょう。

 

 ある日のことです。読者モデルとしても活躍している果林は、校内のファンに声をかけられ、サインをくださいと頼まれます。もちろん喜んでサインをくれました。

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 ファンの子達にサインをあげた後、同好会の仲間であるせつ菜が自分のところに駆け寄ってきました。せつ菜は着替えている途中で他の生徒に見つかりそうになったらしく、それを怖がっていたみたいです。

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 果林はせつ菜に『正体が生徒会長なことがバレてもいいじゃない』と言いますがせつ菜はそれを良しとしません。しかし一方で、『正体のわからないスクールアイドルはまるで変身ヒーローみたいだ』と楽しんでいる節もありました。果林はせつ菜が自分の家庭事情について話した第4話の時点では同好会にいなかったため、おそらくそのことを知らないのでしょう。そしてせつ菜推しである自分は、せつ菜が正体バレを怖がるシーンとこのときの2人のやり取りが後のストーリー展開のフラグになっていると思えてなりません

 これ以上は脱線の恐れがあるため話を第9話に戻します。

 

 部室でのシーンにて。彼方が『色んな人から声をかけてもらえるようになった』と発言しており、同好会が最初の頃に比べて有名になっていることが伝わってきます。そこには今までのPVや第6話での璃奈のライブの効果もあったと触れていました。

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 しかし、部長かすみの次に重役を務めているせつ菜は、『同好会としてはまだ何も成し遂げていません』と現状を分析した上での発言を行い、そこからみんながライブをしたいと言い出しました。

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 そのとき、彼方のスマホに妹・遥から連絡がありました。

 

 遥は藤黄学園のスクールアイドル・綾小路姫乃を連れて同好会の部室にやってきました。姫乃は遥と同じくスクフェスのモブライブキャラの1人であり、ここでもまたスクフェス関連のファンサービスがあり、感心しました。姫乃はどうやら、果林のことをファッション誌でよく見たことがあるそうです。


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 姫乃は虹ヶ咲の同好会に大事な話があるため、そのことで虹ヶ咲を訪れました。その大事な話とはなんと、お台場で開催する音楽の祭典、Diver FESにスクールアイドル枠が3つ設けられており、既に決まっている東雲、藤黄の他に最後の1枠として虹ヶ咲を推薦するというものでした。

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 有名になりつつはあるものの、まだこれといった成果を上げていない虹ヶ咲としては非常に魅力的な話でした。しかし、歌える曲は1つのグループで1曲のみという決まりがありました。虹ヶ咲の同好会は各メンバーがソロアイドルであることを売りにしており、そこがネックであるため出演するメンバーを1人だけに決めなければならなくなりました。主人公・高咲侑の中の人がこの場に居れば、『ヒトリダケナンテエラベナイヨー』と言い出しそうな案件です。

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 1人だけしかDiver FESで歌えないとわかったものの、それだけにやはりメンバー選出は難航しました。果林の方はというと、『今回のライブは同好会が試されるライブになる。それに立ち向かえるメンバーを選ぶべき』とシビアな発言をしていました。読者モデルというプロの芸能界で活躍している果林だからこその言い分なのだと思います。メンバー選出に当たって、同好会の初期の頃からいたメンバーであるかすみやせつ菜は意見の違いで揉めた結果同好会を空中分解させてしまった経験があり、話し合いでは遠慮気味でした。その姿勢についても果林は『衝突を避けたい気持ちはわかるけど、それが足枷になったら意味がない。それで果たしてソロアイドルとして成長したと言えるのかしら』と指摘していました。

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 その後、果林はモデルの方の仕事もあるため、途中で帰ってしまいました。

 

 今回のお話では、果林の読者モデルとしての仕事風景が見られたところも良かったです。


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 せつ菜の生徒会長としての仕事場面といい、彼方の家庭生活といい、しずくの演劇部といい、それぞれのキャラの背景をしっかり画で見せてくれるのもアニメだからこそ光る部分だと思います。

 

 モデルの仕事の後、寄りたいところがあるためそこへいこうとしていましたが、場所がわからず道に迷ってしまいました。その道中で侑、歩夢、せつ菜の3人に遭遇します。


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 果林が訪れた場所は、アニメやゲームなどのサブカルチャーを扱っている店の前で、それらが大好きなせつ菜は果林もそうなのかと興味津々な様子でした。


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 このときのせつ菜の表情がたまらなく可愛らしいです。

 

 店の中には、スクールアイドルのグッズも置かれていました。


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 中には遥が所属する東雲学院や姫乃が所属する藤黄学園のスクールアイドル部のグッズもありました。果林はそこでせつ菜のグッズもないのかと聞きますが、どうやらないみたいでした。せつ菜自身は、『悔しいですが、いつかここに並べてもらえるように頑張りたいです』と言っていました。果林がせつ菜にこのことを聞いたのは、おそらくせつ菜の実力を認めているがための発言であったと思います。しかし、魅力的なパフォーマンスを行い、侑と歩夢、愛と璃奈にスクールアイドルの世界は入りたいという気を起こさせたせつ菜でさえまだグッズを置かれていないというスクールアイドル界のシビアさも感じました。

 店を出た後、果林は3人に仕事の仲間から紹介してもらったダンススクールを探していることを打ち明けました。ですが、そのダンススクールは丁度さっきの店の近くにありました。そのために果林は3人に方向音痴であることがバレてしまいます。侑はそんな果林のことを『可愛い』と評していました。ダンススクールに行こうとしていた訳を聞かれると、『ライバルに追いつくためだ』と答えました。そしてそのライバルとは、他でもない同好会のメンバーのことを指していました。果林としては、せっかく部活に入ったのだから楽しんでやりたいという気持ちはあったものの、手が抜けない性分であるため、こうして陰ながら努力をしていました。

 そこでせつ菜が、改めてDiver FESに出るメンバーを決めないかと提案します。

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 みんなそれぞれの気持ちを込めて真剣に考え、改めてメンバー決めを行い、ストーリーはBパートに移ります。

 

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 Diver  FESの当日、話し合いの結果、歌うメンバーは果林に決まりました。話し合いの様子はあまり細かく描かれませんでしたが、この後の話で姫乃も触れている事実も含めると、読者モデルとして名を上げていてスクールアイドル活動をしているという部分は十分アドバンテージがあり、同好会の名を上げるライブに出るメンバーとして果林はうってつけであると思います。当然同好会のメンバー達がそのアドバンテージだけを見て決めたということはないと思うので、普段の練習などで果林の実力を見て決めたことだと思います。

 果林自身は始めからステージ衣装に着替えており、気合は十分です。

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 Diver  FESにはスクールアイドル以外のアーティストも多数参加しており、同好会にとってはいわばアウェイな場所ということになります。その証拠に、侑と歩夢が道中で虹ヶ咲学園のことを知らない観客同士が会話していたのを耳にしており、尚更そのことを実感させられていました。


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 一方果林本人はというと、同好会にDiver  FESの話を持ちかけてきた姫乃と話していました。果林もまた、姫乃からこのDiver  FESにはスクールアイドルが好きな人だけが集まっているわけではないことを話されており、そのことで大きなプレッシャーを感じていました。しかも、ソロで出なければならないということもあり、そのプレッシャー自体も尋常ではなかったはずです。

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 やがて、Diver  FESのステージでスクールアイドルのターンが始まります。先陣を切るのは遥達東雲学院です。

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 一方、虹ヶ咲サイドでは、控えのテントに果林の姿が見当たりませんでした。侑、歩夢、せつ菜の3人は迷子の可能性を案じ、同好会全員で果林を探しに行きました。

 果林は1人ベンチに佇んでいました。仲間たちに発見された彼女は、アウェイなステージを前にびびっていることを打ち明けました。


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 メンバー選出の話し合いで偉そうなことを言っておいて情け無いと自分を責めてもいました。

 しかしそんなとき、せつ菜、エマ、璃奈が真っ先に彼女に寄り添い、励ましてくれました。せつ菜は果林がライバル視している人物エマは果林の親友にして彼女を同好会に誘ってくれた人物璃奈は果林を含む他のメンバーが支えてくれたから立ち直れた人物です。特に、自分の気持ちを伝えることにかつては自信がなかった璃奈が果林をこうして支えている部分も素晴らしいです。


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 しずくも、『ソロアイドルだけどひとりぼっちじゃないんです』と果林を励ましました。第8話での経験が生かされている台詞だと思います。みんなの励ましを受けて、果林はステージに上がる覚悟を再び決めます。そのときにかすみが、『かすみんの元気を分けてあげます』と言い、そこからみんなでハイタッチの構えを取ります。

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 このハイタッチのシーンが大変素晴らしく、歌うのはソロだけど決してひとりぼっちじゃないという理念を感じられます。


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 このときエマが母国語(スイスの公用語の一つのイタリア語)で『Fozza(頑張れ)』と言っているところも何気に印象的です。

 思えば冒頭のモノローグで、同好会のことを『本当の弱い私を抱きしめてくれる場所』と評していたのも、このシーンの前フリであったように感じられます。実は方向音痴な自分も、アウェイなステージを前に怖気付いてしまう自分も、本当は少し見栄っ張りな自分も受け止めてくれていて、それでもときにライバルとして対等に接してくれる同好会は、果林にとって大切な場所であるはずです。

 その後、侑が『果林さんをしっかり見ていたい』と観客席の方へ走っていきます。第1話の感想でも触れたように視聴者に劇中人物の視点を与える主人公である侑らしい選択であると言えます。
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 これに対して同好会のスクールアイドルキャラ達はステージの裏側から果林を見守っているところもまた素晴らしい演出だと思いました。


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 『仲間だけどライバル、ライバルだけど仲間』、スクールアイドル同好会で培った絆を胸に、お待ちかねのライブシーンに突入します。

 

 今回果林が歌った曲は『vivid world』。1stアルバムに収録されている持ち歌である『Starlight』の様なクールなダンスナンバーです。

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 歌詞も、果林と他の同好会メンバーとの絆を感じさせるものとなっており、今回の話のクライマックスを飾るのにふさわしい曲となっています。

 また、ステージの演出で同好会のアイドルキャラ達のイメージカラーの流星群が流れるところも印象的です。

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 いつもの如く、過去の媒体をリスペクトしたカットも存在しました。


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 ライブは大盛況で、観客席のペンライトはいつのまにか果林のイメージカラーである青色に染まっていました。

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 終盤のシーンにて、虹ヶ咲をDiver  FESに誘った姫乃がチームメイトと会話をするシーンがありました。どうやら姫乃はモデルとしての果林のファンであり、果林がDiver  FESで歌うことに期待していたみたいです。回りくどいツンデレです。

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 観客席にて、昼間はスクールアイドルに興味が無さそうだった客2人が、果林のライブを見て『好きになった』と言っていました。果林の熱意はしっかりと届いていました。

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 そして、同じく観客席にいた侑も、何か思っているかの如くステージの方を見ていました。第1話にて、『夢を追いかけている人を応援できたら何かが始まる。そんな気がしたんだけどなぁ』と言っていた侑。1〜9話まで同好会のみんなの歌を聴き、パフォーマンスを見続けていた彼女の中で、ここにきてその『何か』が始まったのでしょうか。果林のステージを見ていた彼女は、一体どんなことを考えているのでしょうか。次回以降の掘り下げに期待です。

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感想・総括

 今回は虹ヶ咲の個人回シリーズのラストで、そのトリを果林が務めました。『vivid world』のカッコ良さもあり、果林のことがもっと好きになりました。

 原作スクスタの果林といえば、キズナエピソードはともかく、メインストーリーではいい感じの活躍の場に恵まれたとは言い難く、それでいてテスト回などでいわばポンコツな部分がフォーカスされてしまうなど、正直に言ってしまえばどうしても締まりのない人物という印象を嫌でも抱いてしまうという不幸なキャラだなと思っていました。別に残念な美人という属性やギャップ萌え自体は嫌いではないですが、やはりビシッと決めるときは決めて欲しい、そういう場面が欲しいと思っていました。その点アニメ版では、今回の第9話がそうであったように多少ポンコツな面が見られても決めるときはしっかり決めてくれたと思います。やはりギャップ萌えは、カッコよく見える部分もきちんと描かなければギャップにはなりません。

 

 アニメ第1話から今回の第9話までの果林は、自身が実際の仕事として芸能活動をしている背景もあってかシビアな発言が多いものの、仲間のことは大切にする人物として描かれていたと思います。競争心や向上心は強いけど、仲間意識も強い人物でした。そんな果林の活躍はこれからも楽しみです。

 

 また、今回は当番回のラストということもあり、虹ヶ咲アニメにおける一つの集大成であったと思います。今までの話の中で多かれ少なかれ触れられてきた『違う価値観同士が共存し合える場所こそ理想(2話、3話)』『ときには譲らない姿勢も大事(3話)』『ステージの上では1人だけど支えてくれる人が近くにがいる(4話、6話、7話、8話)』といったテーマを決算して『仲間でライバル(9話)』という形に練り上げて昇華し、この作品のコンセプトが本格的に形を成した話であったと思います。ソロの集まりでありながらも同好会という形をとっている理由がこれで明確になりました。そういう意味では、今回当番を務めた果林はやはり大役だったと思います。

 

next虹ヶ咲

 Cパートにて、せつ菜の提案で同好会は合宿に行くことになりました。合宿回はやはり「ラブライブ!」シリーズの伝統であるようです。

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 そして次回のタイトルは、『夏、始まる』。まだ春だったのかと突っ込みたくなりますが、予告では侑の方にスポットが当たっていました。合宿回であると同時に彼女の個人回でもあるのでしょうか。

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 次回も楽しみにしています。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

俗・自分とラブライブ!の歩み『10周年にして迎えた冬の時代編』

 2020年で「ラブライブ!」シリーズは10周年を迎えました。Twitterの公式アカウントではだからといって特にそれに伴う動きがあったわけではないですが、「ラブライブ!」で役を演じてきた歴代キャストの皆様方は祝ってくださっており、やはり10年経つというのはめでたいことなのだと実感しました。

 

 今回の記事は、2020年前半に「ラブライブ!」10周年を記念して投稿した『自分とラブライブ!の歩み』シリーズの続編という名目で書きます。ちなみに前シリーズはこちらです。

自分とラブライブ!の歩み【上】全ての始まり、μ's・Aqours編 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

自分とラブライブ!の歩み【中】変革の虹ヶ咲・スクスタ編 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

自分とラブライブ!の歩み【下】9周年、そして時代は変わる編 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

 そんな「ラブライブ!」ですが、10周年であるはずの今年は冬の時代といっていいと思っています。今年といえば新型コロナウィルスが大流行したせいで「ラブライブ!」の看板コンテンツの一つであるキャストによるリアルライブがsaint snowのワンマンを除いてリモートでしか行えないことに加え、コンテンツ自体の問題点も増えた年であると考えています。それについて今回は書いていこうと思います。

 

目次

 

「スーパースター」Liella発足、しかし天の時は無慈悲

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 2020年初頭には、μ's、Aqours、虹ヶ咲に次ぐ4代目の看板コンテンツが新プロジェクトととして発足しました。しかも、最初からアニメ化が決まっていました。虹ヶ咲の方は外伝扱いで正式な3代目はこちらだろうという意見も度々見かけますが、今は虹ヶ咲の方が先にアニメをやっているため4代目扱いでいいでしょう。その内容は、一般公募で主演キャストのオーディションを行うという画期的ないものでした。プロジェクトの名前もラブライブ!スーパースター」に決まり、グループ名も投票の結果Liellaという名前になりました。

 しかし、2020年は新型コロナウィルス大流行もあってオーディションの二次選考は延期状態に。その後もそちらの情報はファンサイドでは明らかになっておらず、プロジェクトを進めたくても進められない状況であることが伝わってきます。早くコロナが終息して、スムーズにプロジェクトを進められるようになることを願っています。

 

ラブライブ!史上初の追加メンバー登場

 一方その頃、同じく現行の虹ヶ咲およびスクスタでは…

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 「ラブライブ!」史上初の主役グループへの追加メンバーとして、三船栞子というキャラクターが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に加入しました。しかし、自分はスクスタのストーリー展開や劇中での栞子の言動が気に入らなかったため、彼女のことは嫌いです。スクールアイドル同好会を家族問題の八つ当たりといってもおかしくない理由で潰そうとした支離滅裂さ、虹ヶ咲における自分の推しである優木せつ菜が生徒会長属性を栞子に奪われるなど、彼女にいいようにされていた中での加入であり、栞子の話をやるために既存の虹ヶ咲メンバーが蔑ろにされていため、自分がスクスタを引退する大きな原因の一つになりました。とはいっても、彼女にもファンはついており、シリーズ初の追加メンバーという点でもある種の盛り上がりイベントの一つであったことは間違いなく、その事実を今更否定のしようがないためこの記事の歴史的出来事としてカウントしておきます。

 おそらく虹ヶ咲、というよりスクスタは昨今のソーシャルゲームのようにキャラをたくさん増やす商売を「ラブライブ!」でやりたいのだと自分は考えました。そこで、運営の意図は多分こうなのではないかという記事も過去に投稿しました。

スクスタ、ラブライブ版FGO説 - 澄田さんは綴りたい®︎

 三船栞子の加入について思ったことは過去の記事にも書いているため、そちらも参照していただけるとありがたく思います。

『こんなの絶対おかしいよ』三船栞子加入の感想 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

 本当の問題はそこから先の出来事にありました。

 

そして事は20章へ

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 スクスタのストーリー20章が公開される頃には自分はスクスタを引退しており、多くを言えない部分もありますが、Twitterではトレンドに上がるくらい炎上していました。20章の内容はというと、ショウ・ランジュという理事長の娘が虹ヶ咲でスクールアイドル同好会とは別にスクールアイドル部なるものを作り、そこへ同好会メンバーである朝香果林、宮下愛が移籍したというものだそうです。栞子も移籍しましたが、ランジュのことをなんとかするためであるそうです。しかし、そのランジュのやり方が部室を乗っ取って魔改造したり、監視委員会なるものを作って同好会の活動を弾圧したりするなど横暴であり、その監視委員会があるせいで果林、愛の2人は損得勘定で同好会を離れたように見えてしまうなどキャラのイメージを損なう描写がなされ、主にそれが炎上に繋がったらしいです。これらは全て、栞子が加入するまでに『不自然な学園描写』、『キャラの扱いの偏り』などの負の要素を積み重ね続けていて20章でも同じことをした故に起こるべくして起こったことだと考えています。加えて同好会が潰れそうになる展開というのは第1章の同好会空中分解騒動や栞子の件も含めれば3回連続の出来事であり、そのうち2つは政治的権力を使った妨害工作というマイナスな対立であったため、そこも「ラブライブ!」としてどうなのかと思いました。

 20章が更新される頃にはすでに虹ヶ咲のアニメが始まっており、今のファンの注目はそこに多く集まっているとは思いますが、その虹ヶ咲の母体がスクスタであるという事実だけは覆らないため、虹ヶ咲にとってもダメージは大きいと言えるでしょう。

 

アニガサキという最後の希望

 リアルライブも思うように行えない、スクスタは荒れている、まさに「ラブライブ!」にとっては冬の時代といっていいくらいですが、希望はちゃんとありました。

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 虹ヶ咲のアニメ、アニガサキです。

 

 本来はアニメ化の予定がなかった虹ヶ咲のテレビアニメということで、プロジェクトがファンに発表されたときは大盛り上がりでした。放送も2020年の10月に決まり、自分もとても楽しみにしていました。しかし、絵柄が前のシリーズから変わったことや、虹ヶ咲の原作にあたるスクスタのシナリオがゲームの引退を考えてしまうほどのものだったということもあって、少し不安もありました。しかし、蓋を開けてみると、とても面白いアニメだと思いました

 スクスタを含む今までの虹ヶ咲の媒体の小ネタを色々なところに散りばめて、キャラ描写もスクスタから大幅に洗練されたものとなり、とても面白いと思います。また、アニメ独自の解釈がたまに見られる部分もあり、視聴者を飽きさせない工夫ができていると思います。さらに、スクスタをやっていない、虹ヶ咲初見はだよという人も楽しめる内容です。

 特に、第3話のせつ菜の描写については、詳しくはこちらの記事を見ていただければ良いのですが、せつ菜推しとして大変救われた気分になりました。

『本気系スクールアイドルの復活』虹ヶ咲アニメ第3話「大好きを叫ぶ」感想 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

 前作、前々作作のように続編があるかはわかりませんが、作られるといいなと思っています。ライブが思うようにできない中で、在宅で楽しめるメインコンテンツという意味でもこの冬の時代を支えてくれていると思います。

 

あとがき

 今回は自分とラブライブ!の歩みシリーズの続編という名目で記事を書かせていただきました。現在コンテンツがこの調子で不安に思う点も多いですが、なんとか乗り切って欲しいなと思います。2021年はある意味コンテンツにとっては正念場となることでしょう。

 

 それでは今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

『“理想のヒロイン”でいるために』虹ヶ咲アニメ第8話「しずくモノクローム」感想

 虹ヶ咲のアニメも第8話を迎え、いよいよ後半戦に本格的に突入しました。今回の第8話は、1年生メンバーでスクールアイドル同好会と演劇部を兼部する桜坂しずくの個人回でした。

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 今回もメインライターの田中仁さんではなく、サブライターの人が話を書いていました。第8話の書いた人は大内珠帆さんといい、「八月のシンデレラナイン」や「魔王学院の不適合者」で田中仁さんのサブライターをしていた人です。

 前置きはこのくらいにして、内容の振り返りと感想に移りたいと思います。

 

目次

 

内容の振り返り

 今回の出たしはいつもより独特で、しずくの一人芝居らしきものから始まります。

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 ある街に一人の少女がいて、その少女はその街で1番の歌手になることを夢見ていました。その少女は『あなたの理想のヒロイン』になるために、今日も奮闘していました。しかし、そんな少女の願いを阻むかのように、少女と似た姿の仮面をつけた人物が黒装束を纏って現れます。この黒装束の人物のことを、以下より黒しずくと呼ぶことにします。

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 黒しずくは少女に『あなたの歌は誰にも届かない。』『あなたは私だもの』と、まるでしずくの影の面や深層心理を象徴しているかのような言動をしています。そして、仮面の左目のデザインは涙を流しているかのようにも見えます。

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 舞台は現実に戻ります。スクールアイドル同好会の部室に、新聞部(おそらく)が写真撮影及びインタビューに来ていました。

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 しずくの元にも、新聞部の部員の一人が取材に来ており、しずくはそれに応対していました。しずくは新聞部員に『どんなスクールアイドルを目指しているか』と聞かれたときに、『みんなから愛されるスクールアイドルを“演じたい”です』と答えていました。そしてインタビューに答えているこの瞬間にも、まさに理想のスクールアイドルを演じているとのことです。

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 さらに、しずくには演劇部の方でも自分が主役を務める舞台の発表会が控えており、そのことについて聞かれたときも『楽しみにしていてください』と嬉々として答えていました。その発表会はスクフェスのモブライブ勢力の一つである藤黄学園との合同であり、ここでもまたモブライブネタが回収されました。

 

 しかし、演劇部の部室にて、しずくは部長から主役の降板を言い渡されてしまいます。理由はしずくがその主役に合わないからであるそうです。役柄が合わないという理由はあったもののオーディションで役を勝ち取り、そこから本番に向けて練習を積み重ねていたであろうことを考えれてみれば理不尽な気がします。演劇部の部長はとても厳しくシビアな人物であるみたいです。

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 部長としては、その役は『自分をさらけ出す感じで演じて欲しかった』とのことで、しずくにはそれができていないと判断したようです。それでも主役を諦めきれないしずくはもう一度チャンスをくださいと部長に頼みます。

 

 オープニング後のシーンにて、ある日かすみがしずくが一人で演劇の自主練をしているところを目撃します。その様子をかすみは複雑そうに見ていました。

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 同好会の部室では、先の新聞部のインタビュー記事が出されたことが侑からみんなに知らされました。何気に、主役スクールアイドル校内新聞が校内新聞に取り上げられる展開はシリーズでも初めてのことであると思います。

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 その記事にはしずくの舞台のことも書かれていました。

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 主役を下ろされてしまったしずくはその記事を見て焦ります。その様子を見ていたかすみは璃奈にそのことを相談しました。


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 璃奈のクラスメイトから、かすみはしずくが主役を降ろされてしまったことを聞きます。そこでかすみは、落ち込んでいるしずくを励まそうと、璃奈とともに動きました。

 しずくを捕まえるときのシーンで璃奈ちゃんボードの新作を使うところがまた面白いです。

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 しずく、かすみ、璃奈の1年生組は、第7話で彼方のライブシーンにも使われたヴィーナスフォートの店に行きます。そこでパンケーキを食べたり、いろいろな店を回ったりしました。ヴィーナスフォートのマウンテンパンケーキはかすみが5回食べに行って5回とも完食できなかったそうで、食品ロスが悔やまれます。この日3人で行った時はなんとか完食できました。


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 道中にて、しずくがあるポスターを目撃します。そこには英語で『オードリー』と書かれていました。当然お笑いコンビの方ではなく、しずくの持ち歌の一つのモデルにもなったオードリー・ヘップバーンのことだと思われます。

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 同じくポスターを見ていた璃奈が、それが好きなのかとしずくに聞きます。するとしずくは、昔から古い映画や小説が好きだけど、そういう子は自分以外にはおらず、変な子だと思われたくないからお芝居をするようになったと話しました。そして、『芝居をしているときは自分が桜坂しずくであることを忘れられる』とまで言いました。

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 浮かない顔をしていたところをかすみに見つかり、主役を降ろされたならまたオーディションに受かればいいと励まされますが、そのまま2人に別れを告げて帰ってしまいました。

 

 ここでまたしずくの心の世界の描写がなされます。しずくは再び黒しずくと対話していました。

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 黒しずくはしずくが本当の自分を見せるのを怖がっていることを指摘します。しずくの方はそんなことはできないと拒むも、黒しずくは『私は歌いたい』と本音を言います。そして、そのためには自分を受け入れてほしいと迫るま、しずくはそれを拒み、やはり自分をさらけ出すなんてできないと落ち込みました。

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 上記のように、しずくは周囲から変な目で見られたくないがために演技をしながら生きてきたことが伺えます。そして、そのようにしか振る舞えない自分のことを嫌ってもいました。思えば第4話で同好会はソロでやろうという話になったときに『自分1人にステージを盛り上げられる魅力を出せるのか』という旨の発言をしずく自身がしていたことも本来の自分に対する自信の無さからくる発言であり、今回の8話に向けての伏線であったと考えられます。しかし、演劇部に入りながらもスクールアイドル同好会を兼部しているしずくには、純粋に自分を表現してみたいという気持ちもないわけではなかったと思います。黒しずくはそんなしずくの内なる願いを代弁している存在であるといえます。

 

 翌日のお昼の時間にて、かすみがしずくに連絡してみたところ、返事は返ってきませんでした。かすみも璃奈も、しずくのことを心配しました。

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 そこで璃奈が、『落ち込んでいるしずくちゃんしずくちゃんなんだと思う』とかすみを励まし、自分自身も今のしずくと同じように自分のことが嫌だったことがあるとしずくの心境に理解を示していました。

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 璃奈には愛がいたように、今のしずくにはかすみがいることをかすみに気づかせ、それに勇気づけられたかすみはしずくを説得に行きました。第6話にて、自分らしいやり方で自分をスクールアイドルの世界に適合させ、璃奈ちゃんボードという仮面をつけることでこそ本音で語り合えるようになった璃奈だからこそ、この後のしずくの再起に一役買うことができたのだと思います。

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 しずくを探していたかすみは、教室で1人発生練習を諳んじるしずくを見つけました。かすみと再会したしずくは、璃奈にも話した自分が演劇を始めた背景をかすみにも打ち明けました。その上で、自分をさらけ出すことが役者にもスクールアイドルにも必要だというのなら、自分はどちらにもなれないと嘆きます。そこでかすみは『何甘っちょろいこと言ってんだ』としずくに寸止めパンチからのデコピンをお見舞いし、『嫌われるからなんだ』『かすみんだってこんなにかわいいのに褒めてくれない人だってたくさんいる』『しず子にだってかわいいと言ってもらえたことがない』と叫びました。その後、しずくに自分はかわいいかと尋ねる、『かわいいんじゃないかな』と答えてもらえました。

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 かすみの発言は、スクールアイドルという表現者の1人であるが故に悩んでいることや難しいと感じていることが滲み出ているように思います。第2話の感想でも触れましたが、かすみは自分はの自信に溢れていていかにも『私には何も怖くない』、『私ってかわいいでしょ?』といった感じの人柄に見えて周りの反応を無視しない態度や他人の気持ちを気遣う姿勢を持っているところが素晴らしいと思います。これもある意味優れた表現者には必要な心構えです。それでも表現者としての道を進み続けたいのならば、自分が信じた道を貫き、自分の『かわいい』を発信していかなければならないという強さも感じました。

 そして、『頑固で意地っ張りで、自分に自信がない』などといったしずくの性質を全て受け入れ、その上で『桜坂しずくのことが大好きだから』『しず子のことが好きって言ってくれる人も絶対いるから』としずくを強く励ましました。

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 その発言を受けて、しずくは再起しました。一連のやりとりは流石のかすみも恥ずかしかったようで、『かすみんにここまで言わせたんだから再オーディションは受かりなさい』と言って教室から去って行きました。

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 一連のやりとりを終えたしずくの表情は、憑き物が落ちたかのように晴れやかなものでした。

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 藤黄学園との合同発表会の当日、虹ヶ咲学園サイドの演目のポスターを見ると……

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 『主演 桜坂しずく』の文字とともに、彼女がの写真がポスターにありました。

 舞台は、スクールアイドル同好会のみんなも見にきていました。特にかすみは、ほかのみんなに比べて緊張した様子で見ていました。

 

 演目の内容は、ある街でその街1番の歌手を目指す少女の話です。話の流れは、少女の歌の評判が悪いからと、劇場から追い出されてしまうなど、今回のしずくの境遇と重なります。

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 劇場を追い出されたことで大いに落ち込み、それでもなお歌を諦めきれなかった少女の元にしずくの心象風景にいた黒しずくに似た人物が実際の演劇の登場人物の1人として現れました。


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 黒しずく似の女性もまた、歌を歌うことを諦めておらず、そのために自分を受け入れて欲しい、本当の自分をさらけ出したいと少女に迫ります。少女はずっと見て見ぬふりをしてきた自分の影の一面=黒しずくに対して謝り、これからも歌い続けるために彼女を受け入れる決意をします。このとき、演技をしていないときのしずく自身も、黒しずくを受け入れる心構えができたように思います。

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 表の気持ち深層心理が一つになるとき、少女は再び立ち上がり、お待ちかねのライブシーンがスタートします。

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 今回しずくが歌った曲はsolitude rain、しずくの今までの持ち歌で例えるなら、『オードリー』に近いアップテンポな曲です。ライブシーンの中で見られる雨の演出も、しずくが抱えていた葛藤や自己嫌悪の念を綺麗に洗い流してくれているみたいで素晴らしかったと思います。

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 また、しずくのモブライブ時代の服装をリスペクトしたカットや、藤丸さんの4コマ漫画をリスペクトしたカットがあった部分も好感が持てるポイントです。


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 藤丸さんがまたも喜んでくれていました。

 

 さりげなくオフィーリアも映っていました。


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 さらに、画像ではわかりにくいですが、降り注いでいた雨が静止する演出も幻想的でした。そこは是非ともYouTubeで公開されているMVをご覧ください。

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 このようにして、しずくの舞台は無事に幕を引きました。演目が終わった後に拍手をするかすみも可愛らしいです。

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 舞台袖にて、黒しずくがついに素顔を見せます。舞台における黒しずくの正体は演劇部の部長でした。

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 舞台が終わった後、しずくは再び新聞部からインタビューを受けていました。そこで『スクールアイドルとして、役者として一言はありますか』と言われたときに、『本当の私を見てください』と笑顔で答えていました。演技をしている自分もまた自分であるということの表れであると思います。

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感想・総括

 今回の話は、しずくが本当の自分をさらけ出した表現ができるようになるまでの話でした。演技をしているときの自分も、していないときの自分も紛れもない『桜坂しずく』なのであると思いました。どんなに自分のことが嫌いでも、それを受け入れてこそ前に進める、自分をさらけ出すということは、自分を受け入れ肯定するところから始まるというメッセージが込められていたように思います。だから、別にしずく自身が演じることをやめたわけではない、しずくが演じることを持ち味とするのを否定しているわけではないと考えています。

 また、今回の第8話はしずくとかすみを通して、表現者としてのスクールアイドルというものに踏み込んだ話でもあったと思います。内容の振り返りでも触れましたが、かすみがしずくを再起させるときの一連の台詞にはまさに表現者であるが故に悩んでいることや難しいと感じている部分をそれこそさらけ出していたと感じています。このようにして、各々違うスクールアイドル像を持っているメンバーが様々な形でスクールアイドルというものに切り込んでいくところが虹ヶ咲の面白い部分であると思います。

 それから、虹ヶ咲はオムニバス形式をとっていると感じますが、自身のかわいいを追求するだけでなく他者への気配りもできるかすみ、自分に合った戦い方で成長できた璃奈といった具合にそれぞれの個人回で成長した部分がこうして違うメンバーの個人回で活かされているところも好感が持てるポイントです。

 

next虹ヶ咲

 物語は次回へと進みます。同好会のアイドルキャラの個人回シリーズでトリを務めるのはセクシーお姉さん系スクールアイドルの朝香果林です。

 その回のタイトルはなんと…

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 『仲間でライバル』

 ここにきて虹ヶ咲のコンセプトの核心に触れる話をやるそうです。しかもその話が果林の個人回に回されるとなると、序盤に侑と歩夢をスクールアイドルの世界に引き込んだせつ菜とは別の意味で、果林はきっとアニメの中で大役中の大役を務めることになるでしょう。次回も楽しみにしています。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

『熱く優しい姉妹愛』虹ヶ咲アニメ第7話「ハルカカナタ」感想

 虹ヶ咲のアニメも第7話に突入し、物語は後半戦に入ります。

 

 今回の第7話は、3年生メンバー近江彼方の個人回でした。

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 今回の話は、前回の璃奈回とは別の意味で虹ヶ咲ならではの話だと思いました。また、今回は第5話と同様にシリーズ構成の田中仁さんではなくサブライターの人が担当しました。

 それでは前置きはこのくらいにして、本編の振り返りと感想に進みたいと思います。

 

目次

 

内容の振り返り

 彼方の家は、控えめに言っても経済的に豊かであるとはいえない環境であり、彼方が学業の傍らでアルバイトをして家計を支えたり、母が忙しいので自ら妹のために料理を作ったりしながら生活していました。

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 彼方の妹・遥も、東雲学院でスクールアイドルをやっており、彼方は家庭のことや学業、それから自身のスクールアイドル活動を頑張りつつ彼女の夢も応援していました。

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 ある日の晩御飯、いつも頑張っている姉の姿を少し不安そうに見ていた遥は『お姉ちゃんの同好会を見学したい』と言います。彼方としては可愛い妹が自分の活動に興味を持ってくれることはとても嬉しく、快く承諾してくれました。

 

 翌日、彼方は妹・遥を連れて同好会にやってきました。

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 冒頭でも述べたように、遥は東雲学院のスクールアイドルであり、スクールアイドル好きの侑もリサーチ済みでした。しかもその東雲学院のスクールアイドル部といえば、果林が知名度はうちの同好会と天と地ほどの差』というくらいとても有名らしく、遥はその有名なスクールアイドル部の期待の新星であり、そういった意味でも侑は遥に会えることを喜んでいました。

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 こちらのカットでは同じく東雲学院に所属するスクフェスのモブライブである支倉かさねクリスティーが映っていました。

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 東雲学院の知名度は伊達ではなく、同好会(自称)部長のかすみは『敵情視察だ』と警戒していました。そこで果林が『敵じゃないでしょ』となだめるところも『スクールアイドルはライバルであっても敵ではない』という理念の表れとして好感が持てるポイントなのですが、かすみは頑として譲りませんでした。

 

 見学に来た遥は、まず練習風景を見せてもらうことにしました。彼方はというと、可愛い妹にいいところを見せようと必死です。

 ランニングのシーンでは、お姉ちゃんがあんなに走ってると遥が驚いており、練習以外で普段は運動をしないことがよくわかりました。

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 柔軟の方はあまり向上していないようで、かなり苦戦していました。そのとき、第4話のときのようなここだけ見るといかがわしいシーンに見えるカットを再び披露してくれました。

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 その隣で柔軟をやっている璃奈は人並みに上半身を前に倒せるようになり、成長を感じます。

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 続いて腕立て伏せのシーンに入りますが、ここでもまたいかがわしいシーンに見えるカットを披露してくれました。今度は柔軟のときなんてものではなく、左肩をはだけさせている服装をしており、汗をかいていて目線も上によっていることもあってますますグレードアップ(?)しています。

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 バランスボールを使ったトレーニングのときも苦戦しており、またも倒れ込んでしまいました。そのときの表情もなかなか素晴らしいです。

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 朝香果林が虹ヶ咲のお色気担当なら、彼方は無自覚にその片鱗を見せている『隠れお色気担当』といったところでしょうか。少しアブナイ話はここまでにして次に進みます。

 

 練習がひと段落したところで、部室でお菓子やお茶をたしなむシーンもありました。

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 音楽を題材にしたアニメで、部室でお茶をするシーンとなると、「けいおん!」を連想します。

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 お茶のシーンにて、遥は虹ヶ咲の同好会のことを『それぞれの個性に合った練習メニューもやっていて面白い』と評していました。遥のいう通り、そこも虹ヶ咲の面白いところだと思います。

 練習の疲れもあり、お茶の後で気が抜けたのか、彼方は寝てしまいました。遥は同好会のメンバーに、『お姉ちゃんはいつもこんな感じで寝ているのか』と聞いたところ、しずくは『練習中もよく寝る』、愛やエマが『時々みんなが膝枕をやってあげている』とまで言いました。そのことを聞いた遥は、何か思うところがある様子でした。

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 そのまま彼方は夕方まで寝ており、目覚めたときは『遥ちゃんにカッコ悪いところをみせちゃった』と焦っていました。

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 そこで遥は、姉に対しての胸の内を明かします。遥は『お母さんが忙しい中で、家庭のことやアルバイトを頑張っている傍らでスクールアイドルをやっていては、このままではお姉ちゃんは体を壊して倒れてしまうのではないか』と心配していました。そして『お姉ちゃんには好きなことをちゃんと続けてほしい』と思っており、これ以上は姉に無理をさせたくないがために、自分はスクールアイドルを辞めようとしていました

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 彼方は妹がやりたいことをできなくなるのは嫌であるためにそれを止めようとし、自分は無理なんてしていないとなだめようとしますが、『お姉ちゃんのわからずや』と逃げられてしまいます。部室から出て行った遥を侑が追いかけ、『本当にそれでいいの?』と問いかけるも、遥はそれでいいとそのまま帰ってしまいました。

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 翌日、昼食にてみんなが彼方の相談に乗っていました。遥の同好会見学の日の晩御飯にて、遥は『次回のライブが私の出る最後のライブになるから絶対来て』と姉に言っていました。

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 彼方はそんなことになるくらいなら自分が辞めようと言い出そうとしたところ、エマに『本当にそれを望んでいるの?』と聞かれ、違うと答えました。彼方としては、自分が好きなスクールアイドルとしての活動を続けたいと思っており、同時に妹・遥にも自分の夢を大切にしてほしいと考えていました。彼方はそんな自分のことを『わがままだ』と言いましたが、みんな『そんなことはない』、『二人とも似たもの姉妹だ』といった具合に彼方を励ましてくれました。自分の夢も大切にしたいけど家族にも自分のやりたいことを大切にしてほしい』というのは年長者ほど考えることであり、そんな彼方自身も家族のことをとても大事にしていることが伝わってきました。それを聞いた侑が、『遥ちゃんはもう守ってもらうだけの人じゃないと思うよ』と彼方を励ましました。遥だって、お姉ちゃんのために何かしたいからこそ考えてしまうのです。侑の説得を聞き、ここで彼方自身もあることを決めました。

 

 東雲学院スクールアイドル部のライブ当日、同好会メンバーもそこに集まっていました。

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 実はこの会場、かすみ、璃奈、彼方、エマの4人からなるユニット・QU4RTZの1stシングルの背景となったヴィーナスフォートです。

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 さらにここで、遥と同じく東雲学院のメンバーであるかさねとクリスティーナも声付きで登場しました。

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 スクフェスのネタもこうして回収しているところは本当に愛を感じます。

 

 実は東雲学院のライブの前に、ある人物のステージが用意されていました。遥が舞台の上を見上げると………

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 そのにはステージ衣装に身を包んだ姉・彼方の姿がありました。

 そのままお待ちかねのライブシーンに突入します。

 

 今回披露された曲はButterfly、「デジモンアドベンチャー」ではありません。彼方には珍しくややアップテンポな曲ですが、『眠れる森にいきたいな』、『My own fairy tale』、『Märchen star』で培われてきた彼方曲のメルヘンチックで優しいテイストを伴奏で表現できていた良曲でした。

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 さらに、『Butterfly』のライブシーンはダンスパートが映ることは少なく、ボーカロイド曲のMVを思わせるファンタジックな映像が流れていました。

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 ボーカロイド曲だけでなく、シャフトのアニメでよく見かけるような演出であるとも思いました。それから、この映像にてモブライブの絵を担当していた藤丸さんの4コマ時代のイラストを意識した絵も用意されており、尚更スタッフの作品愛を感じました。

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 シャフト的な演出が彼方の曲の雰囲気にマッチングしており、大変良きライブシーンでした。さらにこのライブ自体も、突然乱入してきた感じではなくあらかじめ用意されていたものであったと説明があった部分も何気に高評価ポイントです。ライブ中に遥が映るカットがあった部分も好感が持てます。

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 彼方のライブの後、彼方は妹・遥に自身の胸の内を明かします。そして、お互いの好きなことをこれからも続けていくために姉妹二人で助け合っていくことを決めました。彼方は遥にも家のことを手伝ってほしいと言い、そこから遥も家事に少しずつ参加するようになりました。卵焼きを作るシーンで四苦八苦している様子も微笑ましいです。

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 彼方自身も、遥がお手伝いをしてくれるようになってからアルバイトの作業効率が上がったみたいです。

 それから、彼方と遥の母についてですが『娘二人にこんな大変な思いをさせて…』と思う視聴者もおそらくいると思います。そこで、第7話終盤のカットで二人の母からの置き手紙がありました。そのことから、決して母と娘達の絆は解けてはいない、母も二人のことを想っているということが伝わってきました

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感想・総括

 今回は彼方の家庭事情や彼方の年長者ならではの悩みに踏み込み、彼方と遥の姉妹愛を丁寧に描き切った回でした。そしてその姉妹愛に心打たれた30分でもありました。

 今回のお話は、自分達の生活を守りながら好きなことを続けることの難しさを説いていました。それと同時に、自分の生活を守ることも、好きなことを続けることも両方同じくらい大切なことであり、そのために助け合っていく必要がある、そうすることも好きなことを続けるための努力のうちだということも伝えていた回であったように思います。この話も、グループではなくソロを主体とする虹ヶ咲だからやりやすかった回であったと思います。また、家庭のお手伝いやアルバイトもそうですが、側からみれば辛そうでも本人は意外と苦にしていないことも多いのかなとも思いました。近くに頑張っている人がいるからこそ、その人のために自分も頑張れるという家族愛に満ちた近江彼方のお話でした。

 また、彼方も遥もモブライブ出身のキャラであるためか、今回はさらにその辺のネタの回収が充実していました。相変わらずアニメスタッフは愛に満ちていてとても信用できます。 

 その他にも、彼方のライブシーンの後で、彼方は『スクールアイドルとしてはライバルだよ』と遥に言っていました。虹ヶ咲の内部の出来事でこそないものの、まさしく『仲間でライバル』というこの作品のコンセプトを姉妹二人で体現してみせた瞬間でもありました。

 

next虹ヶ咲

 物語は次回へ移ります。同好会の部室で台本を読むしずく、その表情は物憂げに感じられ、高校一年生とは思えない凛々しさを湛えています。

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 予告を見る感じだと、演劇部の部長と一悶着あるみたいです。

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 タイトルも『しずく、モノクロームと、何かシリアスの予感がします。次回も楽しみです。

 

 それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。