澄田さんは綴りたい®︎

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『物語の結末は、まぁいいでしょう』-仮面ライダーセイバー感想・総括

 初めまして。初めてではない方はお久しぶりです。澄田兼鈞と申します。

 今回は、「仮面ライダーセイバー」が最終回を迎えたということで、同番組の感想・総括を書いていきたいと思います。この記事は筆者と同じく仮面ライダーセイバーを視聴した人に向けて書いたものであり、最終回および本編未視聴の方はネタバレ注意です。それから、長文過ぎて色々散らかっています。そこはご了承ください。

 最初に簡単な感想を述べておくと、『やりたいことはわかるけど作品そのものには乗り切れなかった』というものです。面白いか面白くないかで判断するなら、自分は『面白くなかった』と思っています。

 前置きはこれくらいにして、詳しい感想に移りたいと思います。

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目次

 

1.ストーリー全般について

 セイバーのストーリーのあらすじは、小説家の主人公・神山飛羽真が幼い頃にとある剣士から託されたワンダーライドブックの力で仮面ライダーセイバーに変身し、ソードオブロゴスという組織に入って本の力を悪用するメギド達と戦うというものです。その中で、ライドブックの力の根源であるワンダーワールドと現世の均衡も守らなければならないという流れも組み込まれていきます。

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 第1話では、冒頭での世界観の説明やワンダーワールドの登場など、やたらに情報量が多かった印象です。そのことは以前の記事にも書きました。

仮面ライダーセイバー第1章感想『結末は誰がどう決める?』 - 澄田さんは綴りたい®︎

 その後は近年のライダーらしくサブライダーが多く追加されていくことになりますが、主人公や追加されたライダーのキャラが立つ前に人数だけ増やしていっている印象が拭えませんでした。しかもその追加されたキャラも、属性だけを登場回で提示してその後は出オチという印象が強かったように思います。

 例えば仮面ライダーバスター/尾上亮は子連れのベテラン剣士という属性を引っ提げて登場しました。登場した第3話ではベテラン剣士らしい頼れそうな戦いぶりや息子に危機が迫ったときに取り乱す様子が見られましたが、それ以降は自身の属性を発揮する機会に恵まれなかったと思います。一応フォローしておくと、ストーリー中盤にて息子に自分が戦う理由を問われたときに、彼なりにそれを力説していたところは良かったと思います。

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 仮面ライダー剣斬/緋道蓮は、強さを求めていることを度々強調していましたが、その強さを求める理由が見えてこなかったです。テンションの明るい演技と台詞回しから、言い方は悪いですがサイコパスみたいに見えてしまいました。中盤で飛羽真と対立してからは戦闘でメギドよりも飛羽真を優先して攻撃するなど、見ててストレスが溜まる場面もありました。終盤のデザストとの絡みは、中盤あたりでやるべき内容だとは思いましたが、彼の成長にはつながったのかなと思います。

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 仮面ライダーブレイズ/新堂倫太郎も、序盤こそは今までの2号ライダーとは違い最初から好印象だなと思いました。中盤以降は飛羽真の話を頑なに聞こうとしない、初登場時とは真逆な態度が目立ちました。彼の場合は大方話の都合に振り回された故にこうなったと思いますが、キャラの方向性は見えづらくなってしまいました。

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 ここではブレイズ、バスター、剣斬を例に挙げましたが、セイバーのキャラは『登場回で属性を提示して、その後は属性があまり活かされない』、『出オチ』というパターンが多いと思いました。それは主人公の飛羽真も当てはまり、小説家という職業を上手く活かした展開はあまり見られませんでした。『文豪で剣豪』というキャッチコピーも、尚更出オチに思えました。その上にメギドと戦う動機付けも弱く、大切な存在であるはずのルナとの思い出も掘り下げが今ひとつで、何がしたいのかわからない主人公という印象を序盤〜中盤時点では抱かずにいられませんでした。一応フォローしておくと、中盤の後半あたりからはルナにスポットがよく当たるようになった分、少しではありますが彼の戦う理由については『まぁわからなくも無い』と思えるようになりました。

 ヒロインの須藤芽衣も、特に戦闘では何かするわけでもないのに何かとでしゃばって来てということを繰り返しており、このキャラは最後まで何がしたいのかわからなかったです。仮面ライダーファルシオン/バハトを説得する場面もありましたが、そのバハトが飛羽真に一刀両断されたため彼女の活躍には意味があったとは思えませんでした。そもそもバハト自身に彼女の言葉は届いていなかったと思うので、そこは芽衣がどうあがいても焼け石に水だったのでしょう。

 個人的に序盤の時点では、『父の因縁とその真相を探る』というはっきりとした目的のあった富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダの方が主人公に見えました。

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 ライダー変身者については、人数が通算で多く、その追加過程も駆け足であったために、キャラが立っていないライダーも多かったと思います。同じく多人数ライダー制を取った龍騎や鎧武は、退場するライダーも少なくなかった分、それぞれにきちんと見せ場がありました。物語後半では仮面ライダーサーベラと仮面ライダーデュランダルの神代兄妹も仲間に加わりますが、マスターロゴスを見限る過程も駆け足でした。

 敵勢力メギドも『何か悪いことしている』というのはわかるのですが、ワンダーワールドの力を独り占めしてどうしたいのかということが明確でなかったために感情移入しづらかったです。終盤ではストリウスが暗躍していましたが、序盤のころから終盤くらい弾けていれば個人的には好みでした。

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 仮面ライダーカリバーも同様で、真理を求めるという割にはその真理がなんなのか、真理を得てどうしたいのかがわかりませんでした。

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 セイバーの人物描写全般についてまとめると、『属性を提示した後は出オチ』、『目的がはっきりしないため最初から感情移入するのが難しい』と思いました。

 

 中盤に入ると、サウザンベースの使者、仮面ライダーサーベラ/神代伶花の策略によって飛羽真の元から倫太郎達が離れていき、対立する様になりました。この展開には正直違和感を感じました。まず、倫太郎達は少なくとも飛羽真とは数ヶ月共闘しているわけです。それなのに、『飛羽真』は組織を裏切るという伶花の言葉を簡単に信じるのは、騙されやすいにも程があると思いました。

 『乾巧ってやつの仕業なんだ』で有名なやりとりを彷彿とさせる展開ですが、彼方は草加自身が巧(ファイズ)に変装して木場に巧への悪印象を植え付けていた分、余計杜撰に感じました。

 飛羽真も飛羽真で、このやりとりの前に仮面ライダーカリバー/上條大地から組織の裏側について少し聞いていましたが、この時点で彼の言葉を信じるには判断材料が少な過ぎる印象でした。

 話を聞かない倫太郎や蓮。年長者なのにメギドそっちのけで勝負を仕掛けてくる尾上や大秦寺哲雄/仮面ライダースラッシュ。説得に適切な言葉選びをしない主人公。中盤ではこのようなストレスの溜まる展開が続きました。そのときから登場した仮面ライダー最光/ユーリは飛羽真陣営の味方をしてくれましたが、『もっと話し合いをするべきでは』と思うシーンなど、ツッコミどころもありました。仲間割れの最中に飛羽真はパワーアップするのですが、それもトントン拍子で熱さを感じづらいものでした。暴走フォームのプリミティブドラゴンは、敵であるストリウスの手によって飛羽真の手にやってきたもので入手過程でドラマを欠いていたと思います。そもそも仲間割れの最中に暴走フォームを出せば余計に話が拗れると思いました。

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 プリミティブドラゴン克服のためのエレメンタルドラゴン入手では、部分的に面白いと思う箇所もありました。ですが、プリミティブの本の中にいる少年を救う話で飛羽真の仲間達があまり絡まないかったことと、その少年がそれ以降の展開で活かされなかったことが少し残念でした。

 その一方で、倫太郎や蓮のような若手よりも先に尾上や大秦寺のような年長者が組織に見切りをつけていく構図は中々面白かったです。

 飛羽真達が和解したあとは、ブレイズのタテガミ氷獣戦記習得などの良さげな展開もありました。特にタテガミ氷獣戦記習得回とそれ以降の話は、それまで組織の自分は人間だからという理由でしか戦ってこなかった倫太郎が成長し、目の前の人を守るために自ら戦える剣士になれた素晴らしいエピソードだと思いました。

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 倫太郎だけでなく、中盤の後半に差し掛かると各キャラの成長も深く描かれるようになり、序盤と中盤前半の欠点は改善されたかのように思えました。

 しかし、マスターロゴスが本格始動するようになると、仲間割れ以来の駆け足な展開が目立ちました。Twitterや動画サイトで『セイバー坂』として注目されているシーンの回では、剣士達があっさりとブックと剣を奪われました。バハトに対抗するために劇場版以来エモーショナルドラゴンが登場したときも、何故か敵であるマスターロゴスの力を何の疑いもなく借りていました。極め付けにはセフィロトに囚われたルナが唐突に光の坂を召喚し、それを登っていった飛羽真があっさりとルナを助けるという展開がありました。この時は映像面も雑な作りであったと感じています。

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 仲間割れとルナ救出については、何の前振りもなく作り手が狙った展開が強引に進められているという印象を受けました。

 セイバーの最強フォームであるクロスセイバーを習得する回では、セイバー坂の回とは見違える映像美を見せてくれたと思います。しかし、そのクロスセイバー入手前に世界に絶望して悪に堕ちたバハトに飛羽真が『あんたは勝手に絶望していただけ』と言い切った部分はやってしまったなと思いました。人に裏切られて絶望した悪役に自己責任を問うのは理不尽にも程があるように見えました。

 クロスセイバーの習得、マスターロゴス打倒から物語は終盤へと動いていくことになります。

 

2.設定など

 仮面ライダーセイバーは、ファンタジーをベースにした設定となっています。しかしその設定も上手く活かせていない部分もあったと思います。

 セイバーではワンダーワールドという異世界が重要な鍵を握っており、ライドブックの力もそこからもたらされたものでした。序盤ではメギドを追って度々ワンダーワールドに行くこともありましたが、中盤で人間がメギドになる展開が始まってからはワンダーワールドの掘り下げも少なくなっていきました。ソードオブロゴスはワンダーワールドと現実世界の均衡を守るために戦っていると触れられていましたが、ワンダーワールドについての情報不足が目立ち、世界の均衡が崩れることへの危機感が伝わりづらかったように思います。そのワンダーワールドが現世にもたらす危機についても、キャラの台詞だけでしか触れられていませんでした。

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 あえて過去作を引き合いに出しますが、龍騎のミラーワールドならミラーモンスターが人間を捕食しに現世にやってくる、鎧武のヘルヘイムの森ならそこから来る植物によって地球の生態系が壊され、その植物の果実を食べた生き物はインベスになってしまうという目に見えた脅威を実際に描写していました。故に、主人公達がそれらをどうにかしないといけないと考える様子に説得力を持たせられていたと思います。


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 セイバーのワンダーワールドは過去作の異世界設定に匹敵する危機感の描写が希薄でした、だから主人公達が世界の均衡を守るために戦う姿にも、メギド達が世界を意のままにしようとする思惑にも感情移入しづらかったと思います。

 世界をつなぐ少女についても、彼女達がどこから現れたか、また、ワンダーランドに干渉できる力はどこからもたらされたのかの掘り下げが少なかったです。セカイ系のアニメの影響を感じる設定だなと思いましたが、ただそれだけに見えました。

 

 ライダー達の装備の名前についても少し違和感がありました。世界観はナルニア国物語ハリーポッターのような西洋ファンタジーをベースにしていましたが、装備の名前が『火炎剣烈火』、『水勢剣流水』など和風ファンタジーっぽい名前なのがミスマッチだったと思います。それについては見ているうちに慣れました。

 

 他にも、ソードオブロゴスに所属するライダー達の生活背景がハッキリしなかったのも難点でした。小さい頃から組織に育てられた倫太郎のような人もいれば、賢人のように親子で組織にいながらも人並みに俗世間に触れている人もいました。それから、蓮が大晦日の行事について知らない様子などもあり、彼らの生活背景はきちんと考えられているのかと引っかかる部分もありました。あえてその辺はファジーにしているという見方もできるのでしょうが、個人的にはその辺もハッキリした方が良かったと思います。

 

3.そして迎えた最終回

 もう公式サイトでも見ましょうよ。

セイバー 第46章:「さようなら、私の英雄。」 | 仮面ライダーWEB【公式】|東映

 と言うとこの記事を見ていただく意味がなくなってしまうので、最後までお付き合いください。

 ラスボスのストリウスはかつて詩人であり、数々の素晴らしい作品を残していたそうです。しかしそれも全知全能の書にあらかじめ書いてあったもので、自分は知らず知らずのうちにそれの後追いをしていたに過ぎなかったことに絶望し、世界を滅ぼすことを決意しました。それに対する飛羽真は、それでも人間は新しい物語を作っていける、だからそれを終わらせてはいけないという意思を持ってストリウスに挑みました。そして仲間達やルナも力を貸してくれて、ついに巨悪を撃って世界を救いました。本筋には全然関係ないと思われたプリミティブの少年も飛羽真の背中を押してくれたことには驚きました。飛羽真とプリミティブの少年の絡みが活かされた結果でしょう。

 「仮面ライダーセイバー」が伝えたかったことは、ストーリー中盤でも触れられていた『人が世界を作る』というもの。いわゆる人間賛歌的なテーマだったと自分は踏んでいます。最終的に人の想いから新たなワンダーワールドが生まれたことも、それを表していると思います。ですが、それならそれでもっとキャラの掘り下げを全編かけて真面目にやるべきだったと思いますし、仲間割れなどの寄り道も多過ぎたように思います。ワンダーワールドが消えると現世も消える理由は、現世の文明がワンダーワールドからもたらされたものだから、起源がなくなればその産物も消えるという理屈だったとわかりました。それならワンダーワールドの掘り下げもやっておくべきでした。終盤で触れられた『物語』の大切さも、中盤時点で飛羽真の小説家設定が活かされず、ストリウス戦でぽっと湧いたものに見えました。だから全体的な納得感を欠いたように思いました。余談ですが最終回は、まだ救いのあった「まどマギ」という印象を受けました。それから、最後のパワーアップではブられた神代兄妹は何気に可哀想でした。

 

 劇中の全ての出来事が全知全能の書のシナリオに沿ったものであったとストリウスから説明されていましたが、そこに関しては醒めてしまう視聴者もいなのではないかなと思います。自分はそちら寄りの人でした。ただし、セイバーのテーマ自体は全知全能の書のシナリオを超えて人が新たな世界を作るというものでしょうから、とりあえずそこだけは良しとします。

 

 とはいえ、少なくともしこりを残すような終わり方ではなかったと、自分は考えています。そこは評価したいと思います。

 

あとがき

 「仮面ライダーセイバー」、一年間お疲れ様でした。流石に同じスタッフのゴーストよりはテレビシリーズだけでも綺麗に終わらせようという気概は感じました。でもゴーストはVシネマや小説版が面白かったので、その分の評価を加味すればどうなるかはわかりません。

 あとは個人的な感想なのですが、昨年度の「ゼロワン」も、最終的な評価としては『面白くない』に1票を入れました。好きな人には申し訳ないですが、少なくとも自分は『令和ライダーはこれでいいのかな…』と思ってしまいます。『なんなら平成末期からこの調子だぞ』という文句はこの際受け付けないものとします。あくまで自分の感想ですので。

 次回作の「リバイス」には頑張ってほしいと思います。一応仮面ライダーも50周年ですので、令和ライダーとしては3度目の正直では収まらないところでしょう。とりあえずバトスピに実装されるのは楽しみにしています。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

super start & super restart「ラブライブ!スーパースター!!」第1〜3話総括

 初めまして、初めてではない方はお久しぶりです。澄田兼鈞と申します。

 今回からラブライブ!シリーズの4作品目となる「ラブライブ!スーパースター!!」の感想を書いていきたいと思います。「スーパースター!!」では4代目のグループ、Liella!を主役にしています。

 以前感想を書いていたアニガサキと違い、無印やサンシャインのような一つの目標に向けて動くタイプの話であるため、山場の話ごとの感想を書いていきます。今回は1〜3話を扱います。

 前置きはこれくらいにして、本題に移ります。

 

目次

 

第1話

 第1話は、1人歌を歌う澁谷かのんのシーンから始まります。とても綺麗な歌声で、周囲の生徒を魅了していました。

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 とても歌が好きなはずのかのんですが、今までは『いざ』というときに声が出ず、人前で歌うことが苦手になっていました。それにより、これから入学する結ヶ丘の音楽科の試験で落ちてしまいました。そのために家族にはやさぐれた態度をとっています。『制服(普通科の)、似合っているよ』と言われても何の気休めにもなりません。幼馴染の嵐千砂都やその他にかのんを知る人も、それだけにかのんの音楽科不合格を残念がっていました。

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 澁谷かのんの物語は挫折から始まったといえます。歴代でも史上初の要素であり、前作の高咲侑とは違った意味で異色の主人公といえるでしょう。

 人前で歌うことは苦手でも、感情が昂ったときは持ち前の歌唱力を無意識に発揮します。ある朝、その様子を中国からの留学生・唐可可に目撃され、『スバラシイコエノヒト』と呼ばれて付き纏われることになります。

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 可可はスクールアイドルが好きで、自身もスクールアイドルをやるために日本の結ヶ丘に留学してきました。かのんの歌唱力に魅了され、共にスクールアイドルをやらないかと勧誘してきます。「スーパースター!!」では可可がグループの発起人となりました。主人公でこそないものの、歴代主人公の要素を一部継承しているように見えます。その他にも、感情が昂ると母国語(中国語)が出るところも可愛いと思いました。

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 可可はかのん以外の子もスクールアイドルに誘っており、そのためにビラも配っていました。そのビラ配りが葉月恋にバレて注意を受けることになります。彼女は学校の創始者の娘で、生徒の中でも重役に就いているそうです。なお、学校の理事長と恋の母は別の人です。

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 結ヶ丘は音楽に力を入れており、創始者の娘・恋もその理念を重んじています。また、結ヶ丘では入学式の理事長挨拶で『特に音楽科の生徒は』と、普通科と音楽科での序列を感じさせるような発言がありました。入学式でも、音楽科の生徒が普通科の生徒よりも前の位置に並んでいました。魔法科高校の劣等生」や「暗殺教室」のクラスごとの序列に近いものですが、まさかラブライブシリーズでそれを見るとは思いませんでした。とはいえ流石に上の2つほど露骨ではないと思います(特に暗殺教室に比べれば…)。恋自身もその思想を拗らせ過ぎているためか、普通科の生徒はスクールアイドルをやるのはやめておけ(意訳)』と可可に言い捨てます。頭ごなしに自分の気持ちを否定された可可が可哀想になったためか、かのんも恋に反発しました。納得のいく根拠を示して欲しいと迫ると、『学校に相応しくないからです』と返されました。この口喧嘩では明らかにかのんが優勢だったものの、恋に『あなたはスクールアイドルをやらたいのか』と問われると、特にそんなことを考えていなかったかのんは黙ってしまいます。口喧嘩の勝敗はともかく、理不尽に正面から立ち向かえる主人公らしい姿勢を見せてくれたと思います。

 かのんは可可から何度も勧誘されるものの、『きっと才能ないんだよ』と遠慮してしまいます。しかし、かのんの歌に惚れ込んだ可可はそのことを伝えた上で、『好きなことを頑張ることに、お終いなんてあるんですか?!』と問いかけます。

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 かのん自身は可可の誘いを結局断ったものの、可可の夢は応援したいと彼女に協力します。しかし可可は、『かのんさんは歌が好きな人を応援してくれる、そんな人とスクールアイドルがしたい』と諦め切れない様子でした。かのんもそのことでついに声を荒げてしまいましたが、可可は『かのんさんが歌えるようになるまで諦めない』と言いました。可可の元から離れたかのんは、自分の歌を肯定してくれる人が現れたのにあんな態度をとってよかったのかと悩んでいました。覚悟を決めたかのんは、再び可可の元へやってきて、彼女に手を差し伸べました。このときに可可から差し伸べられた手を取るのではなく、自ら可可に手を差し出すところが主人公らしいと思いました。可可が今までのシリーズ通りの『新しいことに挑戦する主役』なら、かのんは『挫折の後で再挑戦する主役』といえるでしょう。この2人の対比しつつ、2人で新しいことを始める構成が素晴らしいと思いました。

 覚悟を決めたかのんがリードし、ラブライブシリーズ1話恒例の劇中歌が披露されます。

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 披露されたのは『未来予報ハレルヤ』。新しいことが始まることを予感させる明るい曲調でした。ここではかのんの心象風景を描いていたためか、Liella!メンバー全員で歌っていました。ただ、曲が終わった後にかのんが『歌えた!?』と言っていたところは引っかかりました。曲そのものは心象風景の中の出来事だったのか、それとも冒頭の無意識に歌っていたときと一緒の状態だったのかはわかりません。今一つ整合性が取りづらいと思います。μ'sの『ススメ→トゥモロウ』やAqoursの『決めたよhand in hand』もこのポジにある曲ですが、こちらは完全にイメージ描写でした。アニガサキの『Dream with you』はあれで劇中のPVができたそうなのでどうともいえない部分もあります。ただ、これを機にかのんもスクールアイドルを始め、物語は次のステップに移ります。

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第2話

 第2話では、かのんと可可がスクールアイドル部を結成したため生徒会に申請しにいきます。しかし、当然恋に反対されてしまいます。恋がスクールアイドルに反対する理由は、『結ヶ丘は音楽において他校に引けをとってはならない。スクールアイドルも音楽であり、そこで中途半端な真似をされればこの学校の価値が下がる(要約)』というものでした。その上で、『スクールアイドルがしたいなら他の学校に行けばいいのでは(意訳)』と言い捨てました。部活動設立の自由が個人の意思で認められないどころか、『嫌なら他の学校に行け』という理屈は横暴にも程があると思います。それを間に受けた可可はかのんと共に退学を図るものの、流石に反対されました。当然かのんの家族も驚きましたが、杞憂に終わりました。

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 スクールアイドルを始めるために千砂都も交えて作戦会議を行いました。会議では、『一旦別の部活動を作ってからしばらく後にスクールアイドルを始める』、『他の部活に入って、その中でスクールアイドルをやる』といった案が出ましたが、かのんは『それではあの学校は全て恋の思い通りになる、それだけはダメ』と反対しました。やはり部活動は自由であるべきだと思った可可は、かのんを無理やり誘って学生運動やデモ活動を思わせる行為に出てしまいました。

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 学校が一生徒の思いのままになってしまう展開で直近の出来事といえば、スクスタのストーリーのことが思いやられます。ある者は任期を待たない生徒会選挙に加えて私情で同好会廃部を目論み、ある者は学校の催し物の手柄を奪った挙句に監視委員会で主役サイドを妨害する……やってることだけでもかなりものですが、ロクにヘイトも解消されずに加害者が仲間化という理不尽な展開が連なっていました。そんな展開の数々を滅多刺しにせんとばかりのかのんの台詞には恥ずかしながら笑いました。恋の言動にはスクスタのキャラの所業の片鱗が見られますが、スクスタ本編で読み手のストレスになっていた部分について主役サイドがはっきりと指摘している様子には好感が持てます。

 これらの展開は恋自身の性格や考え方によるものだと想像できますが、あえて上記のような台詞回しを行うのには何か理由があるのでしょう。スクスタを踏まえた上であえて理由を推測するなら、ラブライブは決して理不尽や不正が許されるような作品ではない』という製作陣なりの意思表示だと思います。また、結ヶ丘の序列やそれに対するかのん達の反応も加味すれば、ラブライブは才能や環境に恵まれた者だけが勝つ話ではない』という意思表示も含まれていると思います。

 恋の言い分についてはスクーアイドル部設立を反対するには根拠が弱過ぎます。流石にそれを理事長も許すはずがなく、かのん達の申請はひとまず通りました。しかし、『存続のためには代々木のイベントで一位を取れ』という難題を課せられます。

 躍起になった2人達はダンスが得意な千砂都にコーチを頼み、練習と作曲に挑みました。このとき可可は千砂都もグループに誘っていますが、かのんが『ちぃちゃんはダンスがあるから邪魔しちゃ悪い』と言って返答を待たずに事が進んでしまいました。そのときの千砂都の顔つきは、何か思うところがあるようにような素振りでした。

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 練習では、可可の運動音痴がバレてしまいました。千砂都も『それでよくスクールアイドルやろうと思ったね』と厳しくしごきます。ダンスの方も、かのんにさえ追いつきません。誰かが新しいことを始めることを止める権利は誰にもありませんが、やりたい気持ちだけでは務まらないのだなと思います。

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 それでも日々練習をこなし、何とかパフォーマンスが務まるくらいには技術も体力もつきました。

 一方で、作曲の方も進んでいました。歌詞は可可が書き、曲はかのんが付けます。この曲の歌詞は『あきらめない気持ち』がキーワードになるらしく、かのんもそれを意識して曲作りに励みました。

 やがて曲が完成し、可可にも聴いてもらうことにしました。そして、一度歌ってみないかと可可に言われ、そこで次回に移ります。

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第3話

 いよいよラブライブシリーズでは序盤の山場となる第3話に突入しました。これが放送されるまでに、オリンピックで2週間放送休止となっていました。

 第1話で何とか人前で歌えたかに思えたかのんでしたが、やはりそう簡単に苦手意識を克服することはできません。そこで千砂都も協力して、あの手この手でかのんが人前で歌えるように手助けしようとします。このとき千砂都がバイト先のたこ焼き屋でかのんを厨房に立たせていましたが、現実世界で見るなら無茶なことだと思います。それに、千砂都自身も1話でバイト初日と言っていましたが、既に厨房に1人で立っています。たこ焼き自体はそこまで難しくない料理だとはいえ、そこはかなり不思議に思います。

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 その後は可可と千砂都がかのんを服屋に連れて行きますが、2人が暴走して着せ替えごっこと化してしまいました。

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 2人が手を尽くしても人前で歌えそうにないかのんに、可可は『今は歌えなくてもいいから、歌えるようになるまで諦めない』と言ってくれました。可可のかのんを信じる気持ちはブレなくて良いと思いますが、かのんの方は自分のせいで可可の夢を壊してしまうのではないかと申し訳なさそうにしていました。

 今回は可可の背景についても少し触れられました。可可の実家は教育熱心な家庭で、可可自身も親の言うことをよく聞いて育ってきました。しかしあるとき、日本のスクーアイドル・サニーパッション(以下サニパ)の映像を見て、自分のやりたいことはこれだと思い、日本に来たそうです。ちなみにサニパが、今作のライバル枠になると思われます。余談になりますが、このサニパは神津島(東京都の離島)出身ながらも一年前のラブライブ大会で東京都の代表に選ばれています。このことはスクーアイドル文化の広まり具合を感じさせるとともに、第2話の段落で触れた『ラブライブは才能や環境に恵まれた者だけが勝つ話ではない』という側面をより強固にしています。

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 また、可可はもう一度千砂都をグループに誘ってみましたが、『私にはダンスがあるから』と断られてしまいました。しかし、千砂都自身はスクーアイドルに興味を持っていました。千砂都とかのんの間の話は、まだまだ引っ張ると思います。

 一方、かのんは自分も変わらなければいけないと思い、自分も可可と同じステージで歌う決意をしました。そのとき可可に『かのんって呼んでよ』と呼び捨てを許可しました。この台詞ひとつで、2人が同じステージに立つ対等の関係になれたことがわかりました。

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 そして迎えたライブ本番、サニパも急遽参戦することとなり、ランキング1位は厳しい見通しになりました。このときの可可の反応が強敵が来たときの焦りではなく、好きなグループが来た喜びが先行していました。明らかにファン目線の反応で面白かったです。また、本作の舞台は原宿ですが、そこの女子高生の間でもスクーアイドルが流行っている様子でした。μ'sからアニガサキ、「スーパースター!!」と時代が進むにつれて、ラブライブ世界でもスクーアイドル文化が浸透していっている様子は微笑ましいです。

 自分達の番が来たとき、気丈に振る舞っていた可可も初陣なだけあったか怖がっていました。そこでかのんが可可を励ませたところは、彼女の成長を感じる場面でした。このとき何者かによって照明の電源が落とされるというトラブルがありましたが、事前に配っていたペンライトのスイッチを観客が入れることで舞台に光が灯りました。そして、お待ちかねのライブシーンに入ります。

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 今回披露されたのは『tiny stars』。和訳すると『小さな星』という意味であり、何かが始まる予感と小さな気持ちから物語が動き出す様子を歌った良曲でした。再挑戦のかのん、新たな挑戦の可可、そんな2人の初陣にふさわしいナンバーです。また、今回は夜空の下でライブが行われました。夜空の下のライブといえば、μ'sの『ユメノトビラ』や『kira-kira sensation』、虹ヶ咲の『vivid world』や『夢がここから始まるよ』などの山場の展開で見られることが多かっただけに、序盤からクライマックスのような雰囲気を感じました。また、ライブの衣装がμ'sの『僕たちはひとつの光』と似たデザインである気がしましたが、これも何か理由があるのでしょうか。


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 また、先程照明を止めてしまった何者かは、力技でコードを繋いでステージを元通りにしていました。

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 フェスの結果は特別新人賞で1位には届きませんでした。しかし、この結果は序盤でライバル枠の格を落とさず、その上次のステップにもきちんと繋がりやすいものであり、良い落とし所だったと思います。

 ラブライブシリーズの第3話の中では随分と苦味がある結末だと思いましたが、それ以上にかのんと可可の成長に焦点を当てていたと思います。そのためか、見ていて気持ちの良い回でした。かのんと可可がスクーアイドルを続ける上ではまだ課題がありそうですが、これからの話を楽しみにしたいと思います。

 

あとがき

 今回は「ラブライブ!スーパースター!!」の1〜3話の感想を書きました。見た感じスタートは好調だと思います。記事を書いてて気がつきましたが、アニガサキは各話ごとにライブシーンのある話が多かったのに対し、「スーパースター!!」を含むその他の作品は数話ごとの山場でライブシーンを用意しているというパターンが多かったです。そのため、「スーパースター!!」は数話ごとの山場を迎えたときに感想を書く方が書きやすいと思いました。

 これは知り合いと話したときに出たことなのですが、『今までは主人公が挫折するのは山場の展開が多かっただけに、スーパースターはこれからどうなるか楽しみ』という感想が出ました。そういう意味では、「スーパースター!!」の話は『最初からクライマックス』という言葉が似合うでしょう。ちなみに上記の感想は自分が直接言った訳ではないので、ありがたく拝借させていただくという形で記事に載せています。

 また、記事本文にも書きましたが、歴代主人公よろしく新しいことに挑戦する可可と、挫折からの再挑戦を図るかのんの対比は素晴らしいと思いました。思えば「サンシャイン!!」の千歌と梨子、アニガサキの侑とせつ菜の流れから今回のかのんと可可を見ると、ラブライブも『ガールミーツガール』色が強くなってきたように見えます。

 そして、かのんが歌えるようになったのは彼女自身の技術や度胸の成長もあると思いますが、一番の決め手は可可やライブの観客のように自分の歌を肯定してくれる存在がいたことだと思います。『tiny stars』歌唱直前の2人の会話がまさにそれを表していると思います。まずは序盤の山場を乗り越えました。4話以降の展開も楽しみです。

 

 次回の第4話では、『ギャラクシー』が口癖の平安名すみれが加入すると思われます。照明を止めたあの人です。諏訪部順一さんは関係ありません。

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 一方で、千砂都の加入はもう少し先になる気がします。とはいえ次回も楽しみにしています。

 それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

シビアで苦い、だけど可愛い、ウマ娘の世界-「ウマ娘 シンデレラグレイ」

 はじめまして。はじめてではない方はお久しぶりです。好きな作戦は『逃げ』『追込み』、澄田兼鈞と申します。

 

 今回は、今や大人気のゲームである「ウマ娘」についての話です。自分もゲームは楽しくプレイしております。

 今回の記事では、そのウマ娘の媒体の一つである漫画、ウマ娘 シンデレラグレイ」について軽く語っていきたいと思います。

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 「シンデレラグレイ」は、オグリキャップというウマ娘を主人公に、モチーフ元のオグリキャップの戦歴をウマ娘の物語でなぞるストーリーとなっています。集英社ヤングジャンプという青年誌で連載されていることもあって、ゲームやテレビアニメとは毛色の違う作風になっています。コミックスは3巻までしか出ていませんが(2021年6月現在)楽しく読んでいます。

 前置きはこのくらいにして、実際の感想を書いていきたいと思います。

 

 物語は、岐阜県カサマツトレセン学園から始まります。現実のオグリキャップも、岐阜県からやがて中央のレースを走れるまでに出世していきました。

 カサマツのウマ娘のレースでは中央とは違い、スター的存在となるウマ娘が不在でトレーナーもウマ娘達も一部の努力家を除いてモチベーションが上がりづらい状態でした。学園内の授業でもゲームやアニメの舞台となるトゥインクルシリーズについて少し触れられてはいるものの、そこを目指そうとするウマ娘は現れず、先生方も特に気に留めない様子でした。しかし、オグリキャップ(以下オグリ)がカサマツトレセンに入学してから状況は一転します。序盤のカサマツ編でオグリのトレーナーを務める北原穣は、彼女の見事な走りを見て自分の元にスカウトします。そのときのオグリの友人であるベルノライトも、北原のチームに入ります。

 ここまでが第1話のあらすじで、ここからオグリキャップのシンデレラストーリーが始まるのです。

 

 ストーリーの作風は、ゲームやアニメのウマ娘シリーズと同様、スポ根ものとなっています。その一方で、勝負の世界の厳しさ、躍進には代償も伴い、それに無関心ではいられない様子などのシビアな描写がゲームとアニメ以上に盛り込まれており、いかにも青年誌といった苦味があります。特に、第2巻でオグリキャップが中央にスカウトされたときに、一度同じ舞台で闘うと決めたライバル・フジマサマーチとの約束を反故にしてしまったときや、中央への移籍に伴うトレーナーとの別れが細かく描かれているところにそれが顕著に現れていると思います。

 中央に移籍してからは、長らく地方にいたオグリキャップは特別な手続きが必要なレースに出られないという出来事に直面します。当然オグリ自身もそのレースに出たがるのですが、中央のトレセン学園生徒会長・シンボリルドルフからはこう言われてしまいます。

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 また、ウマ娘のレースを取り巻く世間やメディアの動きも細かく描かれていることが特徴です。

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 その他にも、地方から中央へやってきたウマ娘が結果を出さずに地方へ帰っていくことが多いことも説明されているなど、ウマ娘界の苦い一面も明らかになっています。そう思えば、アニメやゲームで活躍しているウマ娘達はエリートの中のエリートということがよく伝わってきます。

 

 一方で、暗い話ばかりではなく、ウマ娘らしい明るく熱い作風も取り入れています。特にレースのシーンは、豪快な画風も相まってスピード感と緊張感が伝わってきており、胸が熱くなること間違いありません。

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 強力なライバル達と切磋琢磨する様子も本家同様に描かれ、スポ根ものとしての面白さも十分です。

 登場人物も、トレセン学園理事長秘書のたづなさんや、オグリのライバルとなるスーパークリークタマモクロスなどのお馴染みのキャラクターが登場します。


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 また、サクラチヨノオーヤエノムテキなど、シンデレラグレイで初登場となり、ゲームに逆輸入されたキャラも多数いるので、そこにも注目です。


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 その他にも、主人公オグリキャップの天然さもあり、可愛らしいシーンやコミカルなシーンも満載です。自分は、オグリ初のウィニングライブ(ウマ娘がレース後に行うライブ)で踊る曲がなく、即興で盆踊りを踊るシーンが特に笑えました。

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 まだ始まったばかりの漫画ですが、これからが楽しみです。

 それでは今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

俗・自分とラブライブの歩み-ラブライブくんさぁ…の巻

 最近はウマ娘に夢中になっています。澄田兼鈞と申します。

 

 「ラブライブ!」シリーズも、2010年からスタートし、今年(2021年現在)に入って11年目を迎えました。自分はμ'sの劇場版が公開されていた2015年に「ラブライブ!」にはまったため、シリーズの半分くらいの年数しか追えていませんが、それでも5年以上経ちました。しかし、今はコロナ禍でリアルライブも思うようにできず、その上コンテンツ内部でも不満が募る出来事が連発し、どの目線から言ってんだと言われそうですが『このままで大丈夫?』と思います。今回はそれについて軽く書き連ねていこうと思います。

 

 まずは虹ヶ咲の(一応の)母体であるスクスタのことから。詳しいことは以下のリンクにある記事を読んでいただければ幸いですが、今現在こちらの件でライバー内では賛否が別れており、自分も大いに不満が残りました。

ラブライバーの自分がスクスタを引退するまでの話 - 澄田さんは綴りたい®︎

 メインストーリーの2ndシーズンが炎上状態となり、最近では運営元のklab gamesが赤字状態になったというニュースも聞きました。目立って炎上するようになったのは2ndシーズンからですが、自分から言わせてもらえば上記の記事にあるように1stシーズンの頃から大概でした。ただ、自分はもう既にスクスタからは足を洗っていますが、1stシーズン以上に2ndシーズンが度を超えて読み手の悪感情を増幅させる展開であるという意見には同意します。イメージ商法の側面がより強いアイドルもののアニメで、しかも人気投票まで行なっているコンテンツで特定のキャラが露骨にヘイトを稼ぐ話をやらない方が良いと思います。ヘイトを稼いだとしてもそれを帳消しにできる活躍や禊があればまだいいのですが、スクスタにそれができていたとは思えません。その上新しく追加したメンバーも媒体によってはいるときといないときとがあって媒体同士の連携が取れているとは言い難い状況です。自分はスクスタの追加キャラがはっきり言うと嫌いなのでそんなことはどちらでも良いと言えばそうなのですが、流石にこのままで良いとは言い切れません。

 虹ヶ咲のアニメ版はスクスタと違って虹ヶ咲の魅力を最大限引き出し、2期も発表されています。しかし、スクスタの要素を踏襲していた部分もあり、必ずしもその影響が及ばないとは限りません。事実、アニメでもスクスタの要素が足を引っ張っていると感じる部分も少しありました。

 

 スクスタが炎上状態となっていても、「ラブライブ!」はアニメやライブなどの媒体が充実していますし、スクスタがダメだからと言ってラブライブそのものがダメだとは思っていません。しかし、コンテンツを追う上で一度負の感情を抱けば、それを上回る面白い出来事でも起こらない限りはそれを簡単に拭うことはできません。この影響が次期シリーズの「スーパースター!!」にも及ばないとも断言はできません。

 

 ここで話を「スーパースター!!」に切り替えていきます。アニメがNHKEテレで、ゴールデンタイムでの放送となりとても楽しみです。舞台も青山・表参道というオシャレな地域をチョイスしており、異色作になりそうな一方で、制作陣には初代スタッフが揃っているためラブライブらしさも溢れる作品になりそうで期待しています。

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 しかし、その舞台のことで先日このようなことがありました。

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ラブライブ公式Twitterより)

 

 主人公・澁谷かのんの実家のモデルとなった喫茶店とトラブルがあり、かのんの実家の外観も変えるとのことです。アニメは7月から放送ですが、アニメの絵を差し替える作業が急ピッチで行われそうです。

 そして、喫茶店側の言い分がこちらになります。

一年ほど前、株式会社サンライズ様より当店へ5分程度の簡単なお電話を頂きまして、これから製作する予定のアニメに出てくる喫茶店のモデルとして

外観イメージを使用したいという旨のご連絡をいただきましてその時はお電話で承諾いたしました。

ただ、その時に「明日、スタッフ数名で現場を見にお伺いいたします。」とおっしゃっておられたので

次の日、お待ちしておりましたが、結局どなたもいらっしゃいませんでした。

それ以降、サンライズ様からのご連絡は一切無かったので、この話は流れたのだろうと判断しました。

それから1年以上が経過した今年の4月に入り、

ラブライブ!スーパースター!!に当店のイメージが使用されており、

しかもすでにテレビでイメージ画像が放送されていることも知りました。

正直に申しまして、とても動揺いたしました。

(引用:https://cafecasa.net/2021/06/02%EF%BC%89

 

 「それでいいのかラブライブ(というかサンライズ)…」

 

 これは流石にいただけません。

 

 サンライズはスクスタのシナリオも監修していますが、そのスクスタでも新キャラのランジュが『曲が素晴らしく聴こえるのはパフォーマーの力』、『ハンバーグとソーセージは肉じゃない』という発言が見られました。しかし考えてみてください。『曲が素晴らしく聴こえるのはパフォーマーの力』という発言は作曲家を軽視する台詞ですし、「ラブライブ!」シリーズ自体、様々な作曲家に支えられているコンテンツであることを考えても、彼らに対する侮辱とも取れる発言に他なりません。

 『ハンバーグは肉じゃない』という発言にしても、「ラブライブ!」シリーズは過去にそのハンバーグを看板メニューにしている店とコラボしていたことを考えれば無神経な発言だと思います。

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 これは流石にまずいと思います。そのような台詞を通してしまう監修のこともそうですし、先程の喫茶店の件といい、『本当に大丈夫?』とファン目線ながら思ってしまいます。

 

 そもそも「スーパースター!!」自体も、舞台設定からしてかなり大胆なことをしたなと思います。青山などの地域といえば、今までの作品の舞台となった秋葉原やお台場よりも、アニメなどのサブカルには厳しい場所というイメージが少なからずあります。「サンシャイン!!」の沼津・内浦もだいぶそのような傾向はあるでしょうが、あちらはそれでも数年続けており、絶妙なバランスでなんとか保っていると思われます。しかし「スーパースター!!」は、うどん屋でラーメンを売るみたいな商売にならないかが少し心配になります。キャストの一般公募を行ったり、アイカツシリーズの絵師を起用したりするなど、女児や若い女性へ向けていると思われるアプローチも見られますが、そのターゲットの層に振り向いてもらえるかは課題が残りそうだと思います。また、放送される枠も『鉄腕DASH』の裏であるため、視聴率も苦戦することが予想されます。それでも、一ファンとしてはアニメを楽しみにしており、応援する気でいます。

 

 それでは今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

澄田さんは広めたい第6話『自分のお気に入りのボカロ曲6選』

 初めまして。初めてでない方はお久しぶりです。

 

 前回はこの『広めたいシリーズ』でボーカロイドを題材にしたリズムゲームプロジェクトセカイ(以下プロセカ)のユニット紹介をしました。

澄田さんは広めたい第5話「プロジェクトセカイのユニット紹介」 - 澄田さんは綴りたい®︎

 プロセカを始める以前にも、筆者はボーカロイドの曲を聴いていました。今回はプロセカがハーフアニバーサリーを迎えたことも記念して、自分が好きなボーカロイド曲の中の6つを紹介します。

 

 それでは本題に移ります。

 

目次

 

1曲目:紅一葉

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作詞:黒うさP

作曲:黒うさP

編曲:黒うさP

歌:初音ミク初音ミク版)、巡音ルカ巡音ルカ版)

 

 『千本桜』などで知られる黒うさPの楽曲の一つです。『千本桜』と同様に和のテイストが強く、時代背景の設定は明治、大正、昭和あたりだと思われます。

 大切な人との別れを秋の季節になぞらえて歌っており、巡音ルカの儚げな歌声と歌詞がとてもマッチしています。

 以下は楽曲の動画のリンクになります。

『巡音ルカ』紅一葉『オリジナル曲・PV付』 - ニコニコ動画

 

2曲目:上弦の月

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作詞:黒うさP

作曲:黒うさP

編曲:倉内達也

歌:KAITO

 

 『紅一葉』と同じく、黒うさPの楽曲です。こちらの曲は『千本桜』と世界観を共有しています。

 やはりこちらも和風テイストが強めな楽曲であり、KAITOの清涼感ある歌声も相まって渋くもカッコいい曲となっております。

 これは個人の解釈になりますが、何かのきっかけで別れてしまった相手の本心を再び信じようとする心情を歌っている歌詞にも思えます。『KAITOの本気』が見られる曲の一つでもあるので、以下のリンクからぜひ聴いてみてください。

『KAITO v3』上弦の月『オリジナル曲PV』 - ニコニコ動画

 

3曲目:夜咄ディセイブ

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作詞:じん(自然の敵P)

作曲:じん(自然の敵P)

編曲:じん(自然の敵P)

歌:IA

 

 ボカロ曲界で一躍ブームを巻き起こしていた「カゲロウプロジェクト(通称カゲプロ)」の楽曲群の一つで、知っている人も割と多いと思います。これをカゲプロの物語の1つとして紹介すると、カゲプロの楽曲群の順番やら世界観やらを説明しないといけなくなるため、今回は一ボカロ曲として紹介します。

 前奏および曲中のギターパートがとてもカッコいいです。歌詞の方は、主人公が周囲に嘘をつき続けてきたことによってどのような端末を辿っていくかを歌っており、カッコ良さと恐ろしさが入り混じるナンバーです。カゲプロを知らない人でも楽しんで聴けると思います。

 プロジェクトセカイにも収録され、筆者の推しユニットであるVivid BAD SQUADがカバーしているので、そちらもぜひどうぞ。

じん / 夜咄ディセイブ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

 

4曲目:明正ロマン

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作詞:亜沙

作曲:亜沙

編曲:亜沙

歌:重音テト

 

 亜沙さんと重音テトによる楽曲です。重音テト自体がボーカロイドキャラの中でもそこまで有名ではないと思うので、その分この曲を知らない人も多いと思います。ですが、個人的にはとても良い曲です。

 主人公の心が晴れていく様子を文明の変化とリンクさせて歌っている歌詞がとても見事だと思います。また、明治時代を題材にしているためか、和風なテイストもあります。

 黒うさPの楽曲もそうですが、筆者は和風テイストが大好きです。話が少し脱線しかけましたが、以下のリンクからぜひお聴きください。

【重音テト】明正ロマン 【オリジナル】/【KASANE TETO】Meisyou Roman【original】 - YouTube

 

5曲目:天樂

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作詞:ゆうゆ

作曲:ゆうゆ

編曲:ゆうゆ

歌:鏡音リン

 

 『深海少女』などでも知られるゆうゆ氏の楽曲です。こちらもギターパートが光る曲となっております。歌詞の方も、音を刃物や攻撃に例える部分がカッコよく、中二心をくすぐられます。

 それから、個人的にどのキーで歌ってもカッコいい曲だと思うので、カラオケでもぜひ歌ってみるといいかもしれません。

【鏡音リン】 天樂 【オリジナル】 - ニコニコ動画

 

6曲目:放課後ストライド

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作詞:Last Note.

作曲:Last Note.

編曲:Last Note.

歌:GUMI

 

 『セツナトリップ』などで知られるLast Note.さんの楽曲群プロジェクト、「ミカグラ学園組曲(以下ミカグラ)」シリーズの第1弾です。前奏からテンションが高く、歌詞もとても前向きで聴いててとても元気になります。自分も、カラオケで度々歌うことがあります。一楽曲としてのクオリティも高いですが、ミカグラの入門にも最適な楽曲です。もちろんミカグラ を知らなくても、楽しんで聴けます。

 以下のリンクから聴くことができますので、ぜひ聴いてみてください。

【GUMI】放課後ストライド【オリジナル】 - ニコニコ動画

 

終わりに

 今回は自分のお気に入りのボーカロイド曲を紹介しました。ボーカロイドを聴く前にも音楽はそこそこ聴いていましたが、やはり自分の音楽の原点はボーカロイドです。最近プロセカをやるようになって、そのことを尚更強く感じました。

 今回紹介した曲の中で気に入った曲はあるでしょうか。紹介されずとも知ってる曲もあったよ、という人も、ぜひその感想を語り合ってみたいです。

 

 それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

続・自分とラブライブ!の歩み-スーパースター‼︎に向けて過去作を振り返る編

 「ラブライブ!」シリーズの新たなるスクールアイドルグループ、Liellaが主役となる「ラブライブ!スーパースター!!」が7月にEテレで放送されることが決定しました(2021年現在)。

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 今回は、2020年に「ラブライブ!」シリーズ10周年を記念して書いた『自分とラブライブ!の歩み』シリーズの一環として、「スーパースター!!」に向けて過去作のアニメを振り返っていきたいと思います。

 今では知っている人も多いと思いますが、「ラブライブ!」シリーズでは学校を拠点に活動する“スクールアイドル”の姿を全シリーズ通して描いてきており、作品ごとに様々なスクールアイドルの物語を描いています。過去作を見たことがある人は過去作の魅力の再確認を、見たことがない人は新たに見てもらえるきっかけになれば幸いです。

 それでは本題に移ります。

 

目次

 

#ラブライブ!

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 「ラブライブ!」シリーズのアニメの記念すべき第1作にして、初代のグループ・μ'sの物語。監督は京極尚彦さん、脚本は「シュタインズゲート」や「境界の彼方」の花田十輝さん、キャラクターデザインは室田雄平さんです。話数は2013〜14年にかけて1期と2期で各13話、2015年の劇場版を含めて合計27話になります。東京都の秋葉原周辺が舞台です。

 

 ストーリーは、学校が廃校になることを聞いた後で偶然スクールアイドルの映像を見た高坂穂乃果が、幼馴染の南ことり園田海未とともにμ'sを結成するところから始まります。そこから更に作曲担当の西木野真姫、身体能力抜群の星空凛、アイドルに憧れる小泉花陽の1年生メンバー、アイドルオタクでスクールアイドル経験者の矢澤にこ、μ'sの名付け親で占い好きな東條希、バレエ経験のある生徒会長絢瀬絵里の3年生メンバーを加え、ときにぶつかり合い、つまづきながらも次々と快進撃を重ねていきます。

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 1期では母校音ノ木坂学院の廃校阻止、2期ではラブライブ!大会優勝を目標に展開がなされました。作風は『友情・努力・勝利』の少年漫画3原則(少年漫画ではないですが)に忠実で、美少女アニメでかつアイドルアニメながら、スポ根モノのテイストが強めです。比較対象として度々出される「アイドルマスター」がプロの事務所に所属して仕事をするアイドルの姿を描いている職業ドラマであるのに対し、「ラブライブ!」は部活モノや青春ドラマとしての側面が強いと感じます。だからこそ、2期の終盤で3年生メンバーの卒業と同時にμ'sを解散する決断には驚くと同時に限りのある青春の尊さを感じました。

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 その他にも、最初は人数が少なく、ファーストライブも客が数人しか集まらなかったのに、廃校回避やラブライブ!優勝に向けて次々と小さな目標が叶い、μ'sが人気者になっていく様子も見ていて面白かったです。

 また、ライバルグループのA-RISEも、μ'sと違ってリアルライブをやらないのがもったいないと思うくらい良いキャラで、持ち歌も素晴らしかったです。

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 最終章となる劇場版は人気になったμ'sが今後どうするのかを描いた話で、アニメの後日譚の側面が強かったです。エンディングの僕たちはひとつの光とともに有終の美を飾ってくれました。そして同劇場版で、μ'sは未来のスクールアイドルに夢を託していったのです。

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 筆者の推しは南ことりです。

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 癒し系の雰囲気や柔らかい態度、可愛らしい歌声が筆者に刺さり、1期9話の『wonder zone』披露回で推すことを決めました。

 

#ラブライブ!サンシャイン!!

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 無印「ラブライブ!」の続編にして2代目グループAqoursの物語。前作とは地続きですが、後々触れる舞台のことやストーリーの作風のこともあって、前作とは違った雰囲気のある作品です。脚本は花田さん、キャラクターデザインは室田さんが続投していますが、監督は酒井かずおさんが務めています。話数は2016〜17年にかけて1期と2期で13話ずつ、2019年の劇場版を含めて計27話となります。舞台は前作が東京都であったのとは打って変わって、静岡県の沼津・内浦と、「ラブライブ!」シリーズでは今のところ唯一地方を舞台にしております。そのため、ご当地アニメとしての側面も強いです。

 

 ストーリーは、秋葉原でμ'sのライブ映像を見た高海千歌が幼馴染の渡辺曜とともに母校浦の星女学院でスクールアイドルを始め、その次に東京からの転校生でAqoursの作曲担当となる桜内梨子を引き入れてグループを発足します。そこから更に、姉とお揃いでスクールアイドルマニアの黒澤ルビィ、図書委員で本が好きな国木田花丸、自身を堕天使ヨハネと称する現役中二病患者の津島善子からなる1年生と、お堅い生徒会長ながらスクールアイドルマニアの黒澤ダイヤ、家でダイビングをやっている松浦果南、高校生にして学校の理事長を務める小原鞠莉の3年生をメンバーに迎えます。ラブライブ!大会優勝、そして浦の星女学院の廃校阻止に向けて、自分達の『輝き』とは何なのかを探し続けながらAqoursは歌い続けます。

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 前作同様に『友情・努力・勝利』の3原則を抑え、前作の作風や雰囲気を継承しつつもハードな作風を取り入れています。1期8話では地元で名を挙げても本場で自分達の実力が通用するとは限らないこと、2期全体ではラブライブ!大会に優勝できても廃校を救えなかったなど、『努力が思った形に実を結ばないことの苦悩』を描いていました。しかし、テレビシリーズでの闘いを通して千歌達は『自分達の頑張ってきた軌跡こそが“輝き”である』と気づき、劇場版ではそれが未来にも繋がっていくと確信しました。

 「サンシャイン!!」のアニメは、『努力が思った形に結びつくとは限らないけど頑張ってきたことは無駄じゃない。だけどそれを否定せずに前に進めるか』というテーマであったと思います。無印「ラブライブ!」のテーマが2期最終話の穂乃果の『やり遂げたよ、最後まで』という台詞に詰まっているなら、「サンシャイン!!」のテーマは劇場版エンディング『next sparkling』『今だって未熟だけど、先へ進まなくちゃ、それしかないんだよね』という歌詞に詰まっているとも解釈できます。

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 ハードな作風の一方で、前作以上にライバルグループとの関係性が掘り下げられたのも特徴です。

 Aqoursのライバルとして登場したSaint Snowは、Aqoursと競い合うだけでなく一緒に歌を歌ったり、現実ではCDリリースやリアルライブへの参加があったりするなど、「サンシャイン!!」の看板グループの1つに数えられる様になっていきました。

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 更にはAqours同様に劇場版限定曲も用意されるなど、シリーズとしては新しい試みがなされました。

 

 ちなみにAqoursの筆者の推しは黒澤ダイヤです。

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 基本はクールでありながらもテンションの幅が広く見ていて面白かったのと、妹思いなところに好感が持てました。何気にAqoursの名付け親だったところも好感が持てるポイントです。

 

#虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

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 「ラブライブ!」シリーズのスマホゲーム・スクスタ発のグループである虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を主役にした作品です。アニメはスクスタと違ってμ'sとAqoursは登場せず、虹ヶ咲だけの物語となっております。ファンの間では虹ヶ咲を3代目のグループとして数えない動きもありますが、アニメとしては3代目です。虹ヶ咲のアニメということで、ファンからは『アニガサキ』の愛称で親しまれています。

 スタッフは前作、前々作から入れ替わり、監督とキャラクターデザインに「三ツ星カラーズ」の河村智之さんと横田拓巳さん、脚本はメインライターに田中仁さん、サブライターに伊藤睦美さんといったプリキュアシリーズで活躍された方々が起用されました。そのために、前作や前々作、そしてスクスタとは絵柄も大きく違っています。


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   (なんということでしょう…!)

 2020年に放送され、現在は全13話です。舞台は東京都のお台場になっています。

 

 本作では「ラブライブ!」史上初のスクールアイドルではない主人公・高咲侑が登場しました。彼女は同好会のアイドルキャラ達をサポートする立場にいます。

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 虹ヶ咲のアニメは、侑がスクールアイドルに出会ってから同好会の仲間達との交流を通して自分のやりたいことを見つけていく話でもありました。 

 そんな主人公の侑が、幼馴染の上原歩と共に正体不明のスクールアイドル優木せつ菜のライブを見たところから物語は始まります。その後、可愛いことへの拘りが強い中須かすみ、ギャルで天才肌の宮下愛、スイスからの留学生エマ・ヴェルデ、機械に強い天王寺璃奈、寝ることが大好きな近江彼方、演劇部を兼部している桜坂しずく、読者モデルをやっている朝香果林といった個性的な仲間達が集まってきます。

 また、虹ヶ咲といえば各メンバーのソロでの活動が目玉であり、個人個人のスクールアイドルとしての方向性や曲風が異なっているところも魅力です。その設定を活かすためなのか、前作、前々作とは違い、話ごとに視点キャラが異なるオムニバス形式でストーリー展開がなされました。各メンバーに必ずソロのMVがもらえたことも、贅沢だったと思います。

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 ストーリー全体の作風は、ラブライブ!大会は目指さず、それぞれのメンバーが自分の好きなことを追求していく個人プレーが意識されています。無印「ラブライブ!」と「サンシャイン!!」がスポ根モノなら、虹ヶ咲は文化系であると筆者は解釈しています。また、前作、前々作に比べると日常系アニメに近い作風だとも思いました。それでも、『届け、トキメキ』というキャッチコピーの通り、せつ菜が発信した“大好き”が侑に届き、それを侑自身がスクールアイドルフェスティバルという形にしていったことで『誰かの大好きから新しい大好きが生まれる』というテーマは一貫していたと思います。このテーマはスクールアイドルを含むエンタメへの賛歌でもあると筆者は解釈しています。


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 終盤のスクールアイドルフェスティバルは、花形のスクールアイドルだけでなく、ファンも何かができるはずだと思わせてくれる展開でおり、逆にスクールアイドルからファンへお返しをする話だったと思います。

 

 ゲストメンバーとしてスクフェスの一般生(通称モブライブ)が登場したことも特徴的です。本作では彼方の妹・近江遥に代表される東雲学院のメンバー、綾小路姫乃に代表される藤黄学園のメンバーが登場しました。


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 虹ヶ咲のメンバーであるしずく、彼方、エマがモブライブ出身のキャラであるためにできた試みであると思います。

 その他にも、フェスなどの現場やネット上のコメントを含め、一般人のスクールアイドルに対する反応を細かく描いていたところも面白かったと思います。

 

 作品全般の話から一旦話題を変えます。

 虹ヶ咲における筆者の推しにして「ラブライブ!」シリーズ史上最も筆者の心を掴んだスクールアイドル、優木せつ菜の勇姿をぜひご覧ください。

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 クール寄りの熱血系な性格が刺さり、アニメ好きなところも親近感が湧きます。また、生徒会長・中川菜々としての姿も魅力的で、この二面性がまた面白いです。まるで変身ヒーローの様な面白さのあるキャラだと思います。

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 過去作同様に第2期があるからわかりませんが、これからもアニメの展開を楽しみにしています。

 

#あとがき『改めて、スーパースター!!に向けて』

 今回は「スーパースター!!」のアニメに向けて、読者の方々と一緒に「ラブライブ!」シリーズのアニメを振り返るという記事でした。こうして過去作を全て振り返ると、「ラブライブ!」も時代ごとに形を変え、遠いところまで来たのだと思えてきます。

 「スーパースター!!」では、無印「ラブライブ!」のメインスタッフだった京極さんと花田さんが加わっています。ここ最近はアニガサキを多めに追っていたため、久しぶりにスタンダードな「ラブライブ!」が見られるかもしれないことと、今までの「ラブライブ!」シリーズでは見られなかった試みがあることに期待しています。舞台は表参道とのことなので、聖地巡礼の方も機会があればしてみたいです。

 

 それでは今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

以下、このシリーズ過去の記事

自分とラブライブ!の歩み【上】全ての始まり、μ's・Aqours編 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

自分とラブライブ!の歩み【中】変革の虹ヶ咲・スクスタ編 - 澄田さんは綴りたい®︎

 

自分とラブライブ!の歩み【下】9周年、そして時代は変わる編 - 澄田さんは綴りたい®︎

「仮面ライダーセイバー」のゴールらしいものが見えてきた気がする件

 現在放送中の仮面ライダーセイバー(2021年現在)。ゼロワンに次ぐ令和ライダーとして、ニチアサの枠を飾っています。

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 そんな仮面ライダーセイバー、筆者は毎週のように見ていますが、いつまでも話に乗り切れないという気持ちが強いです。理由としては、主人公サイドは主人公を含め世界を守りたいと思っている理由がはっきりしない、悪役サイドのメギドは『何か悪いことをしている』というのはわかるのですが、本をたくさん作って何をしたいのかわからない、本をたくさん作って世界を意のままにするという目的はあるらしいけど、そうしたい理由もわからないため緊張感に欠ける。それでいて新要素やキャラはどんどん増えていく。そもそも主人公の小説家設定が活きていないといった感じで乗り切れない状態です。その上現在の展開では主人公サイドの仲間割れを引っ張っている状態で、一部視聴者からは『お仕事5番勝負の再来』とも揶揄されるくらい評判はよろしくないみたいです。

 そういった理由から、ストーリー全体を通して何がしたいのか分からず、キャラクターにも感情移入するのが難しいため作品に乗り切れないといった気持ちが強いです。

 

 ですが、自分はここ最近の展開で『セイバーのゴールはここなんじゃないか』と思われる部分が見えてきた気がします。

 それは何かと言うと…

 

 仮面ライダーセイバーは、『創造主に抗う人類』を描きたいのではないか?

 

 ということです。

 

 そこで、自分がそう思った理由をここで3つ挙げていきます。

 

 まず、第一部の仮面ライダーカリバーとの決着のときに、仮面ライダーカリバーこと上條大地が主人公・飛翔真に『もしこの世界が何者かに作られたものだとしたら?』という疑問を投げかけ、その上で自分はその真相を確かめるために真理と、世界を作ったといわれる全知全能の書を求めていると話していました。

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 ここで仮面ライダーセイバーの世界には創造主らしき者が存在しているかもしれないことが示唆されています。飛翔真自身も、カリバーの言葉がずっと引っかかっているため、この要素はのちの展開に繋がっていく可能性があります。

 

 続いて劇場短編の話です。劇場短編では、ワンダーワールドと現実世界を両方消滅させて世界をリセットしようとする不死身の剣士仮面ライダーファルシオン/バハトと飛翔真達ソードオブロゴスの仮面ライダーが戦いました。

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 ファルシオン『人類は争いを繰り返し、今も同じことを繰り返しているため世界を一度リセットするしかない』として動いており、それに対して飛翔真達は人間はそれらを乗り越えていくことができると説き、ファルシオンに立ち向かいました。ここでも「セイバー」のゴールを考える上でのヒントがあったように思います。ファルシオンは先程のカリバーのくだりで述べた創造主には当たらないと思いますが、おそらくそれに近い、人智の及ばない存在であったことは触れられています。そういった存在に抗うソードオブロゴスと人間という構図が、すでに劇場短編で見え始めていたように思います。

 

 最後に、テレビシリーズの21,22章の話です。これらの話の中で飛翔真は、『人が世界を作っている』『世界を救うということは人を救うということだ』という旨の話を仮面ライダー最光/ユーリに説いていました。

 カリバーによって示唆された創造主らしき者の存在、劇場短編におけるファルシオンへの反論を踏まえてこの台詞を振り返ると、『創造主に抗う人類』というのがおそらく「セイバー」のゴールなのではないかと尚更思えてきます。自分としては、終盤でその創造主らしき者が現れ、それと戦うときに『人類のことは人類が決める』というゴールに持っていきたいのではないかと思います。

 創造主に抗う人類というテーマは2001年の「仮面ライダーアギト」を思わせます。

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 「アギト」の場合は、アギトの能力を持った人類と神の戦いを通して、『創造主であっても人の未来を奪うことはできない』ということを描いていました。

 平成2発目の「アギト」と令和2発目の「セイバー」が似たようなテーマを扱うかもしれないと思うと、謎の巡り合わせを感じなくもないです。

 

 それから余談になりますが、ソードオブロゴスのライダー変身者達は全員苗字に『かみ』『しん』という言葉や読み方を含む漢字や熟語が含まれています。これも「セイバー」の結末と関係していそうだと自分は踏んでいます。また、エックスソードマンを入手した後のユーリが『昔はただ1人強い英雄がいればよかったが、今は誰もがヒーローになれる時代だ』とソードマンの元ネタの漫画にあやかった台詞を言っていたことも、のちの展開に繋がる前振りなのかもしれません。

 

 証拠は少ないですが、以上のことから「仮面ライダーセイバー」のゴールは『創造主に抗う人類』を描くことだと自分は考えています。しかし、これは決して確定情報ではなくあくまで憶測に過ぎないため、ネタの範疇を出ない話になります。ですが、他の視聴者が「セイバー」の話を見る上で参考になれば幸いです。

 それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。